【弥生賞】高額馬ダノンエアズロックは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10回の弥生賞『前走がJRAの非重賞』かつ『前走上がり36.0秒以上』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の中山記念は3頭が消去データを免れていたが、いずれの馬も馬券圏内はおろか掲示板にも食い込むことができなかった。勝利したマテンロウスカイも最後のデータで消去対象としており、悔しい結果となった。

今週は3月3日に中山競馬場で行われる弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)を予想する。今回は登録馬12頭を対象に絞りこみを行う。過去10年(14~23年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。

『前走OPクラス未満』×『前走2着以下』 ★0.0%★

前走のクラスに着目すると、OP未満を走っていた馬は【2-3-0-41】(複勝率10.9%)と振るっていなかった。それでも5頭が馬券に絡んでいるが、これらは全て前走で勝利していた馬であった。前走で2着以下に敗れていた馬に限ると、【0-0-0-15】(同0.0%)と全く好走馬が出ていない。

このデータには3頭が該当し、ホープフルSでは4着に善戦したアドミラルシップも該当する。前走のゆりかもめ賞では1番人気を裏切る惨敗を喫しており、使い詰めのローテーションで状態面にも不安が残る。データ通りに消去して問題ないと判断する。

【今年の該当馬】
・アドミラルシップ
・エコロレイズ
・コスモキュランダ

『前走がJRAの非重賞』×『前走上がり36.0秒以上』 ★0.0%★

先程のデータと重なる部分もあるが、前走でJRAの非重賞レースを走っていた馬の成績は【4-3-1-48】(複勝率14.3%)となっている。この組の中で、前走の上がり3ハロンが36.0秒以上だった馬は【0-0-0-19】(同0.0%)と成績が落ち込んでいる。

当レースは10頭程度の少頭数での実施が多く、また3歳馬にとってはタフな条件でもあることから落ち着いた展開になりやすい。過去10年のうち9年は、前半の1000mが61.0秒以上のスローペースであった。必然的にレース終盤での瞬発力勝負になりやすく、前走の上がり3ハロンが極端に遅かった馬の不振にも納得がいく。

このデータには新たに2頭が該当し、ホープフルSで3着に好走したサンライズジパングも含まれる。前走の若駒Sは見事な差し脚で勝利を収めたが、重馬場が味方した部分も大きかった。良馬場での末脚比べとなれば分が悪いと判断し、消去対象とする。

【今年の該当馬】
・サンライズジパング
・レッドテリオス

『前走京成杯』×『前走上がり2位以下』 ★0.0%★

前走レース別に成績を見ると、京成杯から転戦してきた馬が【0-0-1-9】(複勝率10.0%)と苦戦していた。同じ中山の2000mで行われる重賞だが、意外にも相性の悪いローテーションのようだ。

この組から唯一好走していたのは14年3着のアデイインザライフだが、この馬だけが前走で上がり1位をマークしていた。前走上がりが2位以下の馬は【0-0-0-8】(同0.0%)と全く好走馬が出ていない。

この中には19年2番人気7着ラストドラフト、17年3番人気6着コマノインパルスなどの人気馬も含まれており、この2頭は京成杯で勝利を挙げていた馬でもあった。

今年のメンバーではニシノフィアンスがこのデータに該当している。京成杯の勝ち馬が通用していない点を踏まえれば、5着だった当馬に期待を寄せるのは酷である。順当に消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・ニシノフィアンス

『前走3角2番手以内』×『キャリア3戦以内』 ★0.0%★

前走の3角位置に着目すると、2番手以内に付けていた馬は【1-1-1-20】(複勝率13.0%)と成績が振るっていない。この組をさらに、キャリア3戦以内の馬に限定すると、【0-0-0-9】(同0.0%)と厳しいデータが浮かび上がる。

このデータにはシュバルツクーゲル、ダノンエアズロックの2頭が新たに該当する。それぞれ前走では先行勢に有利な馬場、展開の恩恵を受けており、着順通りに能力を評価することは難しい。相手も一気に強くなる中で同様のパフォーマンスを出せるかは未知数で、今回はデータを信頼して消去対象とする。

【今年の該当馬】
・シュバルツクーゲル
・ダノンエアズロック
・(レッドテリオス)

『前走馬体重減』×『関東馬』 ★0.0%★

前走で馬体重が減少していた馬は、【1-3-1-30】(複勝率14.3%)と当レースで結果が出ていない。この中でも、関東所属馬に限ると【0-0-0-13】(同0.0%)と1頭も好走できていない。

この中には18年3番人気に支持されていたオブセッションが7着に敗れている。当馬は新馬戦、1勝クラスと連勝して当レースへと挑んだが、人気に応えることは叶わなかった。

今年は同じく2戦2勝で臨むファビュラススターがこのデータに該当している。前走は-2kgと微減であったため杞憂かもしれないが、好走馬ゼロという強力なデータには逆らえず消去対象とする。

【今年の該当候補馬】
・ファビュラススター

全ての条件を終えて不安データに該当しない馬は、シリウスコルト、シンエンペラー、トロヴァトーレの3頭となった。中でも今回はシンエンペラーを推奨する。

前走のホープフルSは2着に敗れたが、後方有利の展開を考えれば、先団から粘り込んだ内容は十分に評価できる。また、近2走を見る限りではタフな消耗戦に強いイメージだが、新馬戦では上がり33.8秒をマークしており、瞬発力勝負にも対応可能だ。

加えて、父・ノーザンダンサー系は過去10年で【2-2-2-13】(複勝率31.6%)と好成績で、血統面からも強調できる。人気を集めることは重々承知だが、当馬を軸に据えて馬券を組み立てたい。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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