【東京新聞杯】マスクトディーヴァは血統から消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

2024年東京新聞杯の消去法データ,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の根岸Sは2頭が消去条件を免れ、特注としたサンライズフレイムが3着に好走した。しかし、もう1頭の推奨馬タガノビューティーは出遅れが響き13着に惨敗。2頭そろって馬券に絡むことを期待していただけに、個人的にはやや消化不良な結果だった。

今週は2月4日に東京競馬場で行われる東京新聞杯(GⅢ)を予想する。今回は登録馬22頭から、除外対象となる6頭を除いた16頭から絞りこみを行う。過去10年(14~23年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。

『前走1600m』×『前走10着以下』 ★7.1%★

前走距離に着目すると、1600mからの転戦は【6-6-5-79】(複勝率17.7%)と、多くの馬が馬券圏内に好走している。しかし、これを前走10着以下だった馬に絞ると【2-0-0-26】(同7.1%)と大きく落ち込む。2頭が勝利を挙げているが、どちらも前走でマイルCSを使った馬だった。

今年は5頭が該当し、昨年にこのデータを覆して勝利したウインカーネリアンも含まれる。当馬は近4走で連続して馬券に絡めておらず、能力のピークを過ぎた印象だ。ローテーションも昨年とは異なっているだけに、再度の好走は難しいと判断する。

【今年の該当馬】
・ウインカーネリアン
・コナコースト
・サウンドビバーチェ
・ドルチェモア
・ルージュリナージュ

『前走1800m以上』×『前走OP~GⅡ』 ★4.8%★

前走1800m以上を使っていた馬は、【4-4-2-28】(複勝率26.3%)と前走マイル組よりも好走率が高い。しかし、これを前走クラス別に見ると、OP~GⅡを使っていた馬が【0-0-1-20】(同4.8%)とほとんど好走できていない。

この中には人気馬も含まれており、14年ショウナンマイティ(2番人気10着)、18年グレーターロンドン(1番人気9着)といった面々が敗北を喫している。

このデータには新たに2頭が該当するが、それぞれ前走は2桁着順に敗れており、大きな上がり目も感じない。過去の人気馬も屈しているデータだけに、順当に消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・サクラトゥジュール
・ホウオウビスケッツ

『前走京都金杯』×『前走3角7番手以下』 ★8.7%★

当レースには京都金杯からの転戦が非常に多く、成績は【1-2-3-28】(複勝率17.6%)となっている。この組を前走3角での位置に着目して絞りこむと、3角7番手以下だった馬は【0-2-0-21】(同8.7%)と苦戦を強いられている。

当レースは開幕2週目の施行であり、良好な馬場状態が先行勢に有利に働くケースが多い。同じマイル重賞の流れで後手を踏み、中団から後方でレースを進めていた馬は、当レースでは好走が難しいとデータから読み取れる。

これに該当する15年エキストラエンド(6着)、18年クルーガー(8着)の2頭は、それぞれ京都金杯で2着と好走していたものの、次走の当レースでは着外に敗れている。前走の結果に関わらず、京都金杯で先行できなかった馬は評価を下げたい。

【今年の該当馬】
・アヴェラーレ
・フリームファクシ

『父キングマンボ系』×『母父が北米生産馬以外』 ★0.0%★

種牡馬系統別の成績を見ると、父がキングマンボ系の馬は【1-0-3-23】(複勝率14.8%)と振るっていない。共に日本競馬を牽引する父サンデーサイレンス系が【6-8-4-56】(同24.3%)と結果を残している点からも、キングマンボ系の相性の悪さが際立つ。

この系統のうち、母父が北米生産の馬は成績が【1-0-3-8】(同33.3%)と良好だった。一方、母父が北米生産でない馬は【0-0-0-15】(同0.0%)で、一頭も好走馬が出ていない。

このデータには新たに3頭が該当し、上位人気が想定されるマスクトディーヴァも該当する。当馬については今回、古馬や牡馬との力関係、マイル戦への対応と未知数な要素が多い。血統的に当レースと適性が合わないとなれば、馬券的な妙味も鑑みて今回は軽視する。

【今年の該当馬】
・ウンブライル
・ダノンタッチダウン
・マスクトディーヴァ
・(サウンドビバーチェ)
・(ドルチェモア)
・(フリームファクシ)

『7、8枠』×『前走馬体重500kg以上』 ★7.7%★

最後は枠順データから絞り込みを行う。当レースで7、8枠に入った馬の成績は【0-2-4-33】(複勝率15.4%)となっており、勝ち馬は1頭も出ていない。当レースは馬場の内が傷んでいない開幕2週目で行われ、外枠の馬にはやや不利な条件となっている。

これをさらに前走馬体重500kg以上だった馬に限ると、【0-1-0-12】(同7.7%)まで落ち込む。唯一の好走例は15年アルフレード(2着)だが、この年は稍重馬場での実施であり、馬体重が548kgと大柄だった当馬のパワーが存分に生きる条件だった。

近8年は良馬場で行われており、基本的には長い直線でトップスピードが要求されるレース。パワータイプの大柄な馬が不利な外枠に入ってしまった場合は、特殊な馬場状態にならない限りは割り引くべきだ。

【今年の該当候補馬】
・ジャスティンカフェ
・(サウンドビバーチェ)
・(サクラトゥジュール)
・(ダノンタッチダウン)
・(フリームファクシ)
・(ホウオウビスケッツ)

全ての条件を終えて確実に凡走データに該当しない馬は、アスクコンナモンダ、トゥードジボン、マテンロウスカイの3頭。この中でも今回は特に、アスクコンナモンダを推奨したい。

前走キャピタルSは、スローペースの中を後方から脚を伸ばして3着。この時の1着はOP勝ちの実績馬、2着は重賞勝ち馬で、展開面でも分が悪かったことを考えれば3着は上々の結果である。また、この時に同じく後方からレースを進めて4着だったセッションは、次走の京都金杯で2着に好走している。これを基準にすれば、当馬にも重賞で通用する力はある。

10頭の少頭数だった前走とは異なり、今回はフルゲートが濃厚。先行意識の強い馬も複数おり、前走のような展開にはならないはず。下馬評では伏兵扱いの1頭だが、「ドンナモンダ!」と言わんばかりの激走に期待だ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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