【菊花賞】4つのデータからタスティエーラは大幅割引 ソールオリエンスの二冠達成が濃厚
門田光生
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皐月賞馬とダービー馬参戦で二冠馬誕生なるか
2023年10月22日に京都競馬場で行われる第84回菊花賞。昨年は皐月賞、ダービー2着馬イクイノックスが当レースを回避して天皇賞(秋)へ出走。残念に思ったファンも多かったと思うが、無理をして3000mを使わなかったことが、その後の快進撃につながったのかもしれない。イギリスやアイルランドでは、クラシック好走馬が三冠目のセントレジャー(長距離)を回避することはよくあること。今は海外を含めて選択肢が多い時代。馬の適材適所を考えて、今後も同様のことが起こるのだろう。
しかし、今年は幸運なことに皐月賞馬とダービー馬がそろって登録し、出走の構えを見せている。二冠馬が誕生するのか、それとも伏兵の台頭はあるのか。そんな注目の菊花賞を過去15年の成績を基にデータ検証していきたい。
☆所属
美浦3勝(4連対)、栗東12勝(26連対)。この数字だけを見れば栗東が圧倒的有利に思えるが、美浦所属で連対した4頭は、いずれも近5年で記録したもの。ここ5年に限れば、勝率、連対率ともに美浦組が大きく上回っており、圧倒的だった「栗東優勢」の傾向は崩れつつある。
☆キャリア
最少キャリアでの勝利は2018年フィエールマンの3戦で、最多キャリアは2009年スリーロールスの10戦。最も勝ち馬が多く出ているのはキャリア6戦の5勝で、勝率、連対率でもトップ。連対数はキャリア8戦の9連対。キャリア3~10戦の中で、キャリア4戦だけ勝ち馬が出ていない(今年は該当馬なし)。
☆前走クラスと主な前走レース
勝ち馬15頭中、13頭が前走でGⅡを走っていた。内訳は、神戸新聞杯組が10頭で、セントライト記念組が3頭。札幌記念組は4頭が出走して、2着が1回(2016年レインボーライン)。そのほかの路線では、2009年スリーロールスが1000万下(現2勝クラス)、2018年フィエールマンがGⅢラジオNIKKEI賞から参戦して勝利。この2頭はキャリアの項目で名前が出てきた馬でもある。最も3着以内の頭数が多い神戸新聞杯組だが、同レースで3着以内だと【10-7-4-17】勝率26.3%、連対率44.7%まで好走率がアップする。神戸新聞杯組は素直に好走馬を信頼するのが吉だ。
☆前走着順
勝ち馬15頭中、前走で4着以下だったのは2021年タイトルホルダー(13着)だけ。同様に2着馬は2頭、3着馬も3頭しかいないことからも、前走で馬券に絡んでいる馬が望ましい。
前走1着馬からは勝ち馬が7頭出ているが、いずれも関西馬。前走1着だった関東馬は【0-0-1-30】で、連対馬が1頭も出ていない。関東馬のタスティエーラはダービー1着からの直行でデータ的には消しとなるのだが……。
☆前走人気
前走人気では、1番人気に支持されていた馬が半数を超える8勝を挙げており、勝率などの数字も優秀。一方、関東馬で前走が2番人気以下だった馬は【0-1-0-53】。前走で大敗していた一昨年の勝ち馬タイトルホルダーも、前走1番人気に支持されていた。前走4番人気のタスティエーラは、ここでも厳しいデータに当てはまっている。
☆レース間隔
中2週以内で挑んできた馬から連対馬が出ておらず、また中9週以上間隔が開くと【1-0-0-13】。休み明けで勝ったのは、2018年のフィエールマン(前走ラジオNIKKEI賞、中15週)だけ。ちなみに、ダービーからの直行組(中21週)は【0-0-0-2】。またまたタスティエーラには不利なデータが出てきた。
☆前走着差
前走1着馬が前走でどのような勝ち方をしたのか調べてみた。ただ、前走1着だった関東馬から勝ち馬は出ていないので、このデータに限っては関西馬に絞っている。コンマ2秒以内で勝った馬の成績が【2-2-4-27】に対して、コンマ3秒以上で勝った馬は【5-0-3-13】。勝率、連対率ともに大きな差があった。
データからタスティエーラを軽視
菊花賞のデータをまとめてみよう。
【好走データ】
A「キャリア6戦、または8戦」
B「前走1番人気」
C「美浦所属」
【好走率ダウン】
D「前走が神戸新聞杯、セントライト記念以外」
E「前走が4着以下」
F「中9週以上」
【勝ち馬なし】
G「関東馬で前走が2番人気以下」
H「関東馬で前走1着馬」
注目は何といっても、皐月賞馬ソールオリエンスとダービー馬タスティエーラの再戦。データ的な観点からいくと、前者はプラスデータ2つ、マイナスデータなし。後者はプラスデータ1つ、マイナスデータ4つで、特に連対馬が出ていないH「美浦所属で前走1着馬」に引っかかるのが致命的。データ予想を信じるなら、タスティエーラはノーマークでも仕方がないだろう。
それではソールオリエンスはどうか。ほかにプラスデータを2つ持っているのがドゥレッツァ、ナイトインロンドン、ハーツコンチェルト、パクスオトマニカといるが、いずれも何かしらのマイナスデータを抱えている。対してソールオリエンスはマイナスデータなし。
また、セントライト記念1番人気で2着の美浦所属馬というのは、昨年の勝ち馬アスクビクターモアと全く同じ。セントライト記念2着馬のここ5年の菊花賞成績は不参加、2着、3着、不参加、1着。出走した馬はすべて馬券に絡んでいるということで、近年はセントライト記念1着馬より、2着馬の方が菊花賞につながっている。今年はソールオリエンスの二冠達成が濃厚とみて本命としたい。
他では連対した30頭中、18頭を占める神戸新聞杯組。今年もこの路線から好走馬が出る確率は高いとみる。上記で名前を挙げたプラスデータ2つ持ちの4頭のうち、神戸新聞杯組はナイトインロンドンとハーツコンチェルト。ともにE「前走が4着以下」に引っかかってはいるが、勝率の高いB「前走1番人気」に該当のハーツコンチェルトを相手筆頭としたい。
また、神戸新聞杯組で3着以内にきた馬が菊花賞でも好走する確率が高く、1着サトノグランツ、2着サヴォーナ、3着ファントムシーフも付け加えておきたい。3頭ともプラス、マイナスの両方のデータを持たないので、3頭とも同じ押さえ評価とする。
◎ソールオリエンス
◯ハーツコンチェルト
▲ナイトインロンドン
×サヴォーナ
×サトノグランツ
×ファントムシーフ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
未勝利戦が終了し、勝ち切れなかった馬が大量に地方競馬へ移籍する時期でもあります。先週の兵庫競馬には、ディープインパクトの近親、祖母馬がGⅠ馬、そして母はJRAの重賞勝ちという馬が同じレースに出走。血統を見るだけでもワクワクしますね。
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