【菊花賞】ソールオリエンス、タスティエーラは消し サトノダイヤモンド、サトノグランツの父子制覇に期待

藤川祐輔

京都開催の近10回の菊花賞『関東馬』かつ『前走2番人気以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

今週は10月22日に京都競馬場で行われる菊花賞(GⅠ)を予想する。登録馬17頭を対象に、阪神開催だった21、22年を除く、京都開催の過去10年(11~20年)のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走条件戦』×『前走初角5番手以下』 ★0.0%★

当レースに挑む馬の多くはトライアルを含む重賞など、オープンクラス以上からの転戦となるが、一方で条件戦から直接当レースへ挑んでくる馬も一定数存在する。だがこうした馬たちの成績は振るっておらず、前走条件戦組の成績は【0-1-4-45】(複勝率10.0%)となっている。

また、この組から馬券に絡んだ5頭は全て前走で初角4番手以内につけていた。前走初角5番手以下だった馬に限ると【0-0-0-28】(同0.0%)となり、1頭も馬券に絡めていない。

今年は3頭が条件戦から当レースに挑んでくるが、その内2頭がこのデータに該当。特に4連勝中のドゥレッツァは人気の1角となりそうだが、データに従って消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・ダノントルネード
・ドゥレッツァ


『前走セントライト記念』×『前走馬体重480kg以下』 ★8.3%★

当レースへの出走馬の半数以上はセントライト記念、神戸新聞杯の各トライアルレースからの転戦となるが、実はこの2つのローテーションは明暗がハッキリと分かれている。神戸新聞杯からの転戦組は【8-5-4-49】(複勝率25.8%)と良好であるのに対して、セントライト記念組は【1-3-2-46】(同11.5%)と低調である。

さらに、セントライト記念組を前走馬体重で絞り込むと、480kg以下だった馬は【0-1-1-22】(同8.3%)と振るっていなかった。

このデータには皐月賞馬ソールオリエンスが該当する。世代最上位の評価を受ける1頭ではあるが、走りにはまだ粗削りな面が目立つ。トリッキーな京都コースで力を発揮しきれない可能性もあるとみて、消去リストに加える。

【今年の該当馬】
・ソールオリエンス


『関東馬』×『前走2番人気以下』 ★0.0%★

先の項では東西トライアル別の成績を取り上げたが、実は各馬の東西所属によっても成績は大きく差がついている。栗東所属馬は【9-10-8-104】(複勝率20.6%)であるのに対し、美浦所属馬は【1-0-2-46】(同6.1%)となっている。関東馬は過去10年で3頭しか馬券に絡んでおらず、「西高東低」の様相であることがわかる。

また、この馬券に絡んだ3頭は全て前走で1番人気に支持されていた。前走で2番人気以下だった馬に限ると【0-0-0-36】(同0.0%)となり、今回はこれを不安データとして採用する。

このデータでは新たに6頭が消去対象となり、本年のダービー馬タスティエーラも該当する。過去に二冠馬は数多く存在したが、実は日本ダービーと菊花賞の2レースで二冠を達成した例はクリフジ(1943年)、タケホープ(1973年)の2頭のみである。この2レースで等しく力を発揮することの難しさは歴史が証明しており、当馬も苦戦を強いられるとみて軽視する。

【今年の該当馬】
・ウインオーディン
・シーズンリッチ
・タスティエーラ
・ナイトインロンドン
・ノッキングポイント
・パクスオトマニカ


『重賞3着以内実績なし』×『前走2着以下』 ★5.6%★

次は、出走各馬の重賞実績に関するデータを取り上げる。過去10年の勝ち馬は全て当レース出走以前に重賞で3着以内の実績があり、これに該当する馬全体の成績も【10-8-5-85】(複勝率21.3%)と良好であった。反対に、重賞で3着以内に好走した経験のない馬は【0-2-5-65】(同9.7%)と低調だ。

この組のうち、前走で2着以下だった馬に限ると、【0-1-1-34】(同5.6%)と落ち込む。重賞実績がなく、前走で目立った結果を残せていない馬は軽視して良いだろう。

【今年の該当馬】
・ショウナンバシット
・マイネルラウレア
・(ナイトインロンドン)
・(パクスオトマニカ)


『非ノーザンファーム生産馬』×『前走上がり4位以下』 ★6.0%★

ここまでで6頭の馬が消去データに該当せずに残っている。最後は生産者に関するデータを用いて、絞り込みを行なっていく。

生産牧場がノーザンファーム以外の馬は【6-4-5-102】(複勝率12.8%)と、勝ち馬こそ6頭出ているが複勝率は低調だ。これを前走の上がり順位別に分類すると、上がり4位以下だった馬は【1-2-1-63】(同6.0%)とさらに落ち込む。

このデータには残る6頭のうち5頭が該当する。ハーツコンチェルトやファントムシーフといった春の実績馬も、このデータによって消去リスト行きとなる。

【今年の該当馬】
・サヴォーナ
・トップナイフ
・ハーツコンチェルト
・ファントムシーフ
・リビアングラス
・(ウインオーディン)
・(ナイトインロンドン)
・(マイネルラウレア)

全ての条件を終えて、凡走データに該当しなかったのはサトノグランツのみとなった。日本ダービーこそ11着に惨敗したが、前走の神戸新聞杯ではレコードを記録して快勝。春の実績馬も多くいるなかでの勝利は、夏を越えての成長を存分に感じさせる結果だった。

父サトノダイヤモンドも春の二冠では敗れながら、当レースで勝利し春の雪辱を果たしている。こうした血統面からも舞台適性は高いはず。同じサトノの冠名を背負う父子で「最後の一冠」の制覇に期待したい。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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