【菊花賞】京都替わりで上積み大きいソールオリエンス推奨 相手はサトノグランツら神戸新聞杯組

貴シンジ

2023年菊花賞、主な前走レースの条件別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の秋華賞ではリバティアイランドを推奨し1番人気1着。単勝1.1倍の圧倒的人気を背負い牝馬三冠を達成した。さて、今回は10月22日(日)に京都競馬場で行われる菊花賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。

重要データ:菊花賞馬は3つのローテーションから

前走レース別成績,ⒸSPAIA


菊花賞は牡馬クラシック最終戦で、京都の芝3000mという特殊な条件で行われる注目の一戦だ。今年は皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラが出走を予定している。二冠馬が出走した場合をカウントしなければ、皐月賞馬とダービー馬が菊花賞に同時出走するのは2000年のエアシャカール、アグネスフライト以来23年ぶりだ。

例年以上に注目度が高そうな菊花賞だが、ローテーションにははっきりとした傾向が表れている。菊花賞で勝ち馬を輩出しているローテーションは3つ。最大のステップレースである神戸新聞杯が6勝、セントライト記念が3勝、ラジオNIKKEI賞が1勝となっている。それぞれについて詳しく見ていこう。

まずは最多6頭の勝ち馬を輩出している神戸新聞杯。こちらの成績は【6-5-4-51】で、単勝回収率34%、複勝回収率49%だ。回収率こそ低いが3着以内に限定すれば【6-5-3-12】となり、単勝回収率88%、複勝回収率108%となっている。同レースの好走馬はほとんどが前走馬券内であり、今年は1着サトノグランツ、2着サヴォーナ、3着ファントムシーフが注目馬となる。

続いては3頭の勝ち馬を出しているセントライト記念組。こちらの成績は【3-3-1-43】で、単勝、複勝回収率ともに51%となっている。同レースで注目したいのは前走着順と人気だ。セントライト記念で2着以内だった馬の成績は【2-1-1-11】となり、単勝回収率116%、複勝回収率85%。また同レースで1番人気だった馬の成績は【2-0-1-4】で単勝回収率172%、複勝回収率115%となっている。今年は勝ち馬のレーベンスティールが出走を回避しており、注目馬は1番人気2着だったソールオリエンスの1頭のみだ。

最後のローテーションは18年に菊花賞を制したフィエールマンが該当するラジオNIKKEI賞組。しかし、今回は同レースからの登録はないので割愛する。その他、ダービーからの直行組は過去10年で、21年ダービー16着のディープモンスター1頭のみが該当し、菊花賞では5着。ダービー馬の菊花賞直行は過去を遡っても該当例がなく、タスティエーラをローテーション面から消しとすることはできないだろう。

【神戸新聞杯、セントライト記念組で注目データ該当の出走予定馬】
・サヴォーナ
・サトノグランツ
・ソールオリエンス
・ファントムシーフ

前走の敗因:セントライト記念のソールオリエンス

ソールオリエンスの前走はセントライト記念2着。レースはドゥラエレーデが前半5F60.1秒とそれなりの流れで逃げたことで、勝負所でもレースが大きく動かず、各馬着順どおりの評価が妥当な一戦だった。

ただソールオリエンスは3コーナーを逆手前で走ったことでスムーズに前に取り付けなかった点や、4コーナーで外に大きく振られたことが2着に敗れた敗因と考えられる。しかし、3着以下にはしっかり力の差を見せており、勝ち馬レーベンスティールにも展開次第では十分逆転があったと考えられる内容だった。本番の菊花賞は京都競馬場で行われ、ラスト800mの下り坂を利用することで中山に比べて加速がしやすい。距離に関しても不安がなく、本番への上積みは大きいだろう。

血統解説:ソールオリエンス、タスティエーラ

・ソールオリエンス
日本での牝祖は母スキア。同馬は現役時フランスの芝中距離GⅢ・フィユドレール賞を勝利している実績馬だ。牝系を遡れば3代母Gleam of Lightの孫に英オークスなどGⅠ・5勝のLoveがいて、牝系の活力も十分重賞級だろう。兄にディープインパクト産駒のヴァンドギャルドがいる通り、母系のデインヒルの影響も強く、早期からの活躍も可能だ。

一方、MotivatorやRainbow Questも持ち合わせているので成長力も高い。瞬発力も十分重賞級の一頭だが、最大の持ち味はその持続性能の高さとタフさだ。どの馬にとっても初めての距離となる3000mだが、ソールオリエンスにとっては条件好転だろう。

ソールオリエンスの血統表,ⒸSPAIA


・タスティエーラ
日本での牝祖は4代母クラフテイワイフ。同馬は直仔の世代でマイラーズC勝ちのビッグショウリ、シリウスS3着のキョウエイフォルテ、小倉3歳S3着のクラフティゴールド、中山GJ勝ちのビッグテースト、小倉大賞典と小倉記念で2着のバトルバニヤンなどを輩出。

繁殖牝馬としては非常に優秀だったわけだが、さらに秀逸なのは孫以降の世代。ブリリアントベリーは天皇賞(秋)やマイルCS勝ちのカンパニーを含む3頭の重賞馬を輩出。エヴリウィスパーは天皇賞(秋)勝ちのトーセンジョーダン、京都新聞杯勝ちのトーセンホマレボシを輩出している。

またエヴリウィスパーの子アドマイヤキラメキからは、エミレーツS(GⅠ・芝10F)とトゥーラックH(GⅠ・芝8F)勝ちのトーセンスターダムや、オールカマー勝ちのセンテリュオなどを輩出。活力は抜群の一族といえるだろう。

本馬はキョウエイフォルテの分岐に属するが、本馬以外重賞級の馬は出ておらず、牝系の活躍馬たちと違ってパワータイプが多い。キョウエイフォルテ自身がダート馬だったこともあるが、そもそもこの牝系はアメリカのダート種牡馬を代々つけられていたため、元々ダートでも走れるくらいのパワーを備えていたと考えられる。

成長力のある一族で、ダービーからどれくらい成長しているかが鍵となる。しかし、少し時計がかかるような馬場状態でなければソールオリエンスに逆転される可能性が高く、距離に関しても3000mは少し長いだろう。

タスティエーラの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではソールオリエンスを推奨

今回のCアナライズではソールオリエンスを推奨する。ダービーではタスティエーラに惜敗したが、今回の条件ならソールオリエンスの方が適性は高い。タスティエーラもダービー馬だけあって今回のメンバーでは能力上位だが、ソールオリエンスと変わらないほど人気になるのなら嫌ってみても面白い。相手としてピックアップしたいのは、前哨戦で注目データに該当したサヴォーナ、サトノグランツ、ファントムシーフの3頭だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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