【秋華賞】関東馬モリアーナに複数の不安要素 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
ⒸSPAIA
牝馬三冠の最終戦
10月15日、京都競馬場では秋華賞(GⅠ)が行われる。当レースは春の実績上位馬や、トライアルで高いパフォーマンスを見せた馬が人気に推されるケースが多い。だが、1番人気馬は過去10年で3勝のみで、昨年も牝馬三冠がかかっていたスターズオンアースが3着に敗れている。
今年はリバティアイランドが圧倒的な支持を集めるはずで、馬券で大きく勝つためには、人気馬の取捨選択が重要になるだろう。今回は京都開催での直近10年(2011~20年。21、22年は阪神開催)のデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。
キャリア7戦以上は苦戦気味
まず注目するのは、各馬のキャリア別成績である。これまでのキャリアが6戦以内の馬は【6-4-3-44】勝率10.5%、連対率17.5%、複勝率22.8%であるのに対して、7戦以上の馬は【4-6-7-103】勝率3.3%、連対率8.3%、複勝率14.2%と好走率が落ち込んでいる。好走馬の数こそ後者も17頭と少なくないが、これを前走人気別に分けると明暗がハッキリと表れる。
前走で1~2番人気に支持されていた馬は【3-3-5-22】勝率9.1%、連対率18.2%、複勝率33.3%と優秀だった。その一方、前走で3番人気以下だった馬の成績は【1-3-2-80】勝率1.2%、連対率4.7%、複勝率7.0%と低調だ。
少ない戦歴で順調に駒を進めた馬の方が、実力やコンディションの面で優勢のはずで、好走率からもその傾向がうかがえる。キャリアを7戦以上重ねている馬はやや苦戦気味であり、その中でも前走で3番人気以下だった馬は評価を下げるべきだろう。
関東馬は過去10年で1勝のみ
次に紹介するのは東西所属別の成績である。関西馬は【9-7-9-81】勝率8.5%、連対率15.1%、複勝率23.6%と良好であるのに対して、関東からの遠征馬は【1-3-1-66】勝率1.4%、連対率5.6%、複勝率7.0%と低迷している。回収率についても関西馬の単回収率41%/複回収率85%に対して、関東馬は単回収率1%/複回収率14%と極端に数値が落ち込んでおり、馬券的な妙味も見込めない。
また、好走した関東馬5頭のうち4頭はオークスにて3着以内に好走しており、春の段階で能力の高さを示していた。オークスで4着以下、もしくは未出走であった関東馬の成績は【0-1-0-60】勝率0.0%、連対率1.6%と厳しい数字となっている。
阪神開催だった21年こそアカイトリノムスメ、ファインルージュの関東馬2頭が連対を果たしたが、京都開催では関東馬が大きく苦戦を強いられている。アエロリット(17年7着)、ビッシュ(16年10着)といった1番人気に支持された馬も惨敗を喫しているだけに、関東馬に信頼は置きにくい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・キャリア7戦以上、かつ前走3番人気以下
・関東馬。なかでもオークス4着以下 or 未出走
これらを踏まえて、今回はモリアーナを「過信禁物の注目馬」として挙げる。前走の紫苑Sを快勝しているが、後方一気の大味なレース運びで、進路取りや展開が功を奏した面は否めない。
また、上記2つの不安データの両方に該当している。特に関西圏への輸送は、2歳時の阪神JFで経験しているものの、12着に惨敗しており不安が残る。追い込み脚質の馬だけに開催2週目の京都内回りという舞台も向くとは思えず、今回は軽視して良いだろう。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
《関連記事》
・【秋華賞】二冠牝馬リバティアイランドに不安データ コナコーストら3頭の番狂わせに期待
・【秋華賞】打倒リバティアイランドなるか ライバル3頭を徹底比較し逆転の可能性を探る
・【秋華賞】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事