【秋華賞】二冠牝馬リバティアイランドに不安データ コナコーストら3頭の番狂わせに期待

藤川祐輔

2023年秋華賞の消去法データ,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の毎日王冠ではソングライン、シュネルマイスター、ジャスティンカフェの上位人気馬3頭を順当に評価。その内2頭は馬券に絡んだが、勝利したエルトンバローズは早々に消去しており、悔しい結果となった。

今週は10月15日に京都競馬場で行われる秋華賞(GⅠ)を予想する。除外対象の2頭(キミノナハマリア、ミタマ)を除いた登録馬21頭を対象に、阪神開催の21、22年を除いた京都開催の過去10年(11~20年)のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。条件に当てはまった馬を消去していく。

『オークスで4着以下』×『オークスで6番人気以下』 ★8.9%★

3歳牝馬の競走体系において頂点に君臨するのはオークスであり、そこで1~3着に好走していた馬は当レースでも【6-3-2-10】(複勝率52.4%)と圧倒的な成績を収めている。一方、オークスで4着以下に敗れた馬は【1-3-4-66】(同10.8%)と苦戦しており、春の時点での力関係を覆すことの難しさが分かる。

これをオークスで6番人気以下であった馬に限定すると成績は【1-1-3-51】(同8.9%)とさらに低下する。今年のメンバーではオークス出走馬の内6頭がこのデータに該当しており、巻き返しは厳しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・エミュー
・キタウイング
・シンリョクカ
・ドゥアイズ
・ヒップホップソウル
・ラヴェル


『前走が秋華賞トライアル』×『前走6番人気以下』 ★8.9%★

近年ではオークスからの直行組も増えてはいるが、ローズSや紫苑Sといった前哨戦を挟んで当レースに挑んでくるのが主流のローテーションだ。こうした「秋華賞トライアル」からの転戦組(重賞昇格前の紫苑Sを含む)は【6-8-7-100】(複勝率17.4%)で、母集団の多さを踏まえれば上々の結果といえる。

だが、この組も前項のオークス出走馬と同様に、当該レースでの人気に注目することで明暗がハッキリと分かれる。前走(秋華賞トライアル)で1~5番人気の上位に支持されていた馬は【6-6-4-48】(同25.0%)と好成績を収めているが、一方の6番人気以下だった馬は【0-2-3-51】(同8.9%)と成績が大きく落ち込んでいる(18年に出走取消したトーセンブレスは除く)。

今年のメンバーでは3頭がこのデータに該当。特に7番人気という低評価を覆してローズSを制したマスクトディーヴァは注目を集めそうだが、外差し有利の馬場や展開に恵まれた面も否めず、消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・シランケド
・マスクトディーヴァ
・ミシシッピテソーロ


『前走が条件戦』×『前走馬体重440kg以下』 ★0.0%★

当レースではオークスや秋華賞トライアルからの転戦組が馬券の中心となっているが、前走が条件戦組も【0-2-3-25】(複勝率16.7%)と幾度か馬券に絡んでいる。しかし、この組を前走の馬体重で絞り込むと、440kg以下だった馬は【0-0-0-7】(同0.0%)と全く馬券に絡めていなかった。

このデータには新たに抽選対象(*)のフェステスバントが該当する。この馬は馬体重が420kg前後と小柄で、目立った戦績もないことから、抽選を突破しても買い目に入れる必要はなさそうだ。

【今年の該当馬】
・フェステスバント*


『JRA重賞での連対実績なし』×『前走上がり3位以下』 ★3.7%★

京都開催の近10回の当レースで馬券に絡んだ30頭のうち、21頭は過去にJRA重賞で連対した実績があった。一方で、当レース以前に重賞連対経験のなかった馬は【1-3-5-72】(複勝率11.1%)と低調だ。

この組で馬券に絡んだ9頭のうち7頭は前走で上がり2位以内をマークしており、これに該当しない馬は【0-1-1-52】(同3.7%)と成績が大きく落ち込んでいる。このデータには新たに6頭が該当。抽選対象の馬は4頭が残っていたが、全てこのデータに該当し消去リスト行きとなる。

【今年の該当馬】
・グランベルナデット
・コンクシェル*
・ソレイユヴィータ*
・ピピオラ*
・フェアエールング*
・マラキナイア
・(ミシシッピテソーロ)


『父がミスタープロスペクター系』×『母父が非サンデーサイレンス系』 ★0.0%★

ここまでで5頭が残っている。最後は血統に関するデータを用いて絞り込んでいく。

父ミスタープロスペクター系の馬は【1-0-4-18】(複勝率21.7%)と複勝率だけを見れば優秀だ。しかし、後にGⅠ・9勝の大記録を打ち立てたアーモンドアイの勝利を除けば1頭も連対馬が出ておらず、当レースと好相性とは言い難い。加えて馬券に絡んだ5頭は全て母父がサンデーサイレンス系であり、それ以外の馬は【0-0-0-8】(同0.0%)で1頭も馬券に絡めていない。

この不安データには牝馬三冠のかかったリバティアイランドが新たに該当。当馬は桜花賞で最後方から大外を回す大味なレース運びだった他、アルテミスSでは10頭立てながら進路を失い2着に敗れるなど操縦性には懸念がある。

これまでは全て直線の長いコースで戦ってきたが、今回は小回りの京都内回りが舞台であり、思わぬ形で差し損ねる可能性も否定できない。データや適性の面から馬券的な妙味は薄いと判断し、勇気を持って消去リストに加える。

【今年の該当馬】
・ドゥーラ
・リバティアイランド

全ての条件を終えて凡走データに該当しなかったのはコナコースト、ハーパー、モリアーナの3頭だ。特にコナコーストはオークスこそスタートで不利を受けて後手を踏み7着に敗れたが、桜花賞では番手から粘り込んで2着に好走。直線が平坦、かつ小回りの京都内回りで先行勢が止まらない展開となれば、絶対女王に先着する“番狂わせ”にも期待ができる。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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