【オールカマー】得意の中山で復活へ 自在性を得たジェラルディーナがタイトルホルダーを撃破だ
貴シンジ
ⒸSPAIA
3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週のセントライト記念ではソールオリエンスを推奨し1番人気2着。さらにレーベンスティールを相手に挙げ、そちらが1着となった。
今回は9月24日(日)に中山競馬場で行われるオールカマーについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・前走からの上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった15頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。
重要データ:GⅠかGⅢ好走か
オールカマーは秋のGⅠレースを大目標にしているような実績馬や、夏に飛躍を遂げた馬が入り乱れる一戦となる。前走クラス別成績を見ると、OP・L【0-0-3-11】、GⅢ【4-2-1-45】、GⅡ【0-2-3-21】、国内GⅠ【5-4-2-21】(海外GⅠ【1-1-1-2】、JpnⅠ【0-0-0-1】)となっていて、勝ち馬は前走GⅠ、GⅢのどちらかからの臨戦となっている。
クラス別成績だけで終わってしまっては物足りないのでもう少し深掘りしていく。前走GⅢからの臨戦だった馬は4勝を挙げているが、そのうち3勝は前走2着か3着。13年のヴェルデグリーンだけが例外として新潟大賞典10着からの臨戦で勝利している。前走GⅢ組は好走馬を中心に考えるのが良いだろう。GⅠ組はどの着順からもまんべんなく勝ち馬が出ており、前走の成績はそこまで気にする必要はない。適性と仕上がりに注視するほうが良さそうだ。
【前走GⅢ3着以内の出走予定馬】
・エヒト
・ローシャムパーク
【前走GⅠの出走予定馬】
・ガイアフォース
・ジェラルディーナ
・タイトルホルダー
・ノースブリッジ
前走の敗因:宝塚記念のジェラルディーナ
ジェラルディーナの前走は宝塚記念4着。レースはユニコーンライオンが外枠からハナを主張し、速めの流れとなったが馬群もついていった。そのため、上位8頭のうちディープボンド以外の7頭が初角10番以下で通過していて、後方有利のレースだった。そんななか、ジェラルディーナはラスト1000mあたりから動き、3角6番手、4角3番手と捲る競馬をした。
結果的にはこの動きでレースが動き、12.5-11.9と加速するラップの区間でポジションを上げたことになる。ジェラルディーナにとってはもうワンテンポ早く動くか、動きを遅らせるかのどちらかがよかっただろう。
血統解説:ガイアフォース、ジェラルディーナ、タイトルホルダー
・ガイアフォース
日本での牝祖は4代母ノーベンバーローズ。3代母クリスマスローズの全姉エリザベスローズは繁殖として優秀で、弥生賞馬フサイチゼノン(父サンデーサイレンス)、スプリングSなど重賞2勝のアグネスゴールド(父サンデーサイレンス)、東京盃連覇を含む重賞8勝のリミットレスビッド(父サンデーサイレンス)を輩出している。
万能型のファミリーで、本馬においてはキタサンブラックとクロフネ、ダンスインザダークの良いところがそれぞれ出ている印象。切れないが長く脚を使えるあたりはこの一族らしい。中山競馬場は得意なタイプだろう。万能型の血統構成だから春はマイル戦でも好走していたが、2200mは適距離で春からの上積みが期待される。
・ジェラルディーナ
日本での牝祖は祖母ドナブリーニ。同馬はチヴァリーパークS(GⅠ・芝6F)を勝つなど競走馬としての実績も一流だが、繁殖成績は超一流。産駒のドナウブルー(父ディープインパクト)は重賞2勝のほかヴィクトリアマイル2着、マイルCS3着などの実績があり、阪神牝馬S3着のドナウデルタ(父ロードカナロア)を輩出した。
そんなドナウブルーの全妹にあたるのが本馬の母ジェンティルドンナだ。同馬は牝馬三冠に加えてJC連覇などGⅠを7勝した超級の名牝。ジェンティルドンナ、ドナウブルーがそうだったように成長力とスピード性能の高さ、持続力の高さがこのファミリーの特徴だ。
3代母Cal Norma's Ladyを根幹とするファミリーからは、19年ダービー馬ロジャーバローズ(父ディープインパクト)も出ている。その時のダービーもこの牝系らしさが出た一戦だった。本馬はモーリス×ジェンティルドンナということで成長力の塊のような配合。Lyphardらしさをしっかり持っていて、昨年の有馬記念はかなりの出遅れのなか、馬群を捌いて3着まできた機動力は素晴らしい。
モーリス産駒は底力が求められるような展開に強く、ペースが上がればよりチャンスは増すだろう。エリザベス女王杯、有馬記念と連続好走し、4歳秋に本格化を迎えた。ここ3走は馬券に絡んでいないが、いずれも言い訳のできる負け方で、このメンバーなら実績上位。復活を期待する。
・タイトルホルダー
日本での牝祖は母メーヴェ。妹には写真集も発売されて大人気のメロディーレーンがいる。母は現役時に丹頂Sを勝ち、4代母Loraを根幹とする一族からは英ダービーや凱旋門賞などGⅠ・4勝のGolden Horn、英チャンピオンS連覇などGⅠ・4勝のCracksmanら芝中距離以上の一流馬が出ているスタミナ十分なファミリーだ。
本馬はそこにドゥラメンテを迎えた。適性に関しては母、成長曲線に関しては父に近いものを持っていて、5歳シーズンの今年も充実しそうだ。長く脚を使うのが得意なタイプで、今回も単騎逃げの形になったとしても極端なスローペースには落とさず、自分で早めにレースを動かしていくだろう。天皇賞(春)は競走中止となってしまい消化不良な内容だったが、秋に向け、ここでは地力の高さを見せておきたい。
Cアナライズではジェラルディーナを推奨
当欄では素直にジェラルディーナを推奨する。宝塚記念では厳しい展開だったが4着に残った点を評価したい。
今回はタイトルホルダーの単騎逃げが予想され、極端なスローペースにはならないだろう。そうなると、ジェラルディーナを含め、後方待機の馬たちにもチャンスが生まれる。また、22年オールカマー勝利に加え、有馬記念3着で中山コースは大得意。前走で道中に動けることを示し競馬のバリエーションも増えた。タイトルホルダーが相手でも中山コースなら好勝負必至だろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
《関連記事》
・【オールカマー】タイトルホルダーら5歳GⅠ馬に死角あり 4歳ガイアフォースたちに逆転のチャンス十分
・【オールカマー】最多勝は3連覇のマツリダゴッホ 調教師の最多馬券圏内など「記録」を振り返る
・【オールカマー】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事