【オールカマー】最多勝は3連覇のマツリダゴッホ　調教師の最多馬券圏内など「記録」を振り返る

2023/09/19 06:00

緒方きしん

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この記事のレース

産経賞オールカマー

GⅡ

9月24日(日)　中山11R

中山巧者のマツリダゴッホが3連覇

今週は中山競馬場でオールカマーが開催される。ゴールドシップ産駒の牝馬ウインキートスが2021年に5番人気2着、2022年7番人気3着と2年連続で好走したように、リピーターが多いという印象を持つファンも多いかもしれない。過去にはシンゲン（09年3着、10年1着）、ダイワテキサス（98年1着、99年3着）などが2年連続で馬券圏内に入っている。面白いところでは、トウショウシロッコが2008年3着、2009年4着、2010年3着と、3年で2度馬券圏内にきたケースだろうか。このように2度オールカマーで馬券圏内に来る馬は少なくない。

しかし、1986年〜現在までで3度馬券圏内に来た馬はただ1頭。それが2007〜2009年に3連覇を達成した、“中山巧者”マツリダゴッホである。同馬は大種牡馬サンデーサイレンスのラストクロップの1頭。1世代上にはディープインパクト、2世代上にはハーツクライやダイワメジャーなどがいる“サンデー時代”のフィナーレを飾った世代の馬だ。

マツリダゴッホは青葉賞4着、セントライト記念は落馬による競走中止と、クラシックレースとは無縁に終わっていた。しかし、3歳末に中山の条件戦を勝ち上がると、年明けの中山重賞・AJCCでは5馬身差をつける圧勝。その後は天皇賞（春）11着、札幌記念7着と年末年始の勢いが感じられないレースが続いていた。そういった状況で出走したのが2007年のオールカマーだった。

出走メンバーには皐月賞2着・ダービー4着のサンツェッペリン、春の日経賞でマツリダゴッホに勝利していたネヴァブションなど実力馬が揃っていたが、そこを快勝。道中で自ら動いて押し切る力強い競馬で、本格化を感じさせる走りだった。その後、天皇賞（秋）は15着と惨敗したが、暮れの有馬記念では再び中山競馬場で飛躍。単勝52.3倍の9番人気ながら勝利を収め、G1ホースの仲間入りを果たした。

その後も翌年の中山重賞・日経賞を勝利し、オールカマー3連覇など中山競馬場で無類の強さを見せた。また、引退後は種牡馬として活躍。ラジオNIKKEI賞勝ち馬ウインマーレライやファンタジーS勝ち馬クールホタルビなどを輩出した。ロードクエストは重賞3勝をあげ、父が得意とした中山競馬場の重賞・京成杯AHも制した。

マツリダゴッホは先日、種牡馬引退が発表され、今後は功労馬として岡田スタッドで余生を送る予定となっている。

調教師の最多馬券圏内は国枝調教師の6度

調教師で最もオールカマーで馬券に絡んだのは、合計6度の国枝栄調教師。マツリダゴッホの3連覇が大きいが、他にもカレンブーケドール2着、タンタアレグリア、ウインジェネラーレで3着など、好相性を見せている。

続く2番手は池江泰寿調教師の合計5度。ドリームジャーニーが2度2着になっているほか、アルアイン、サトノノブレス、ダノンバラードと3頭のディープインパクト産駒が馬券圏内に入った。

そして、地方所属の調教師でオールカマーに3度馬券圏内に馬を送り込んだ名伯楽がいる。それが赤間清松調教師だ。ジョッキーとしても東京ダービー6勝、東京大賞典3勝など南関東を牽引してきた大井の名手だ。

調教師としては1986年カウンテスアップのオールカマー挑戦を皮切りに、何度も中央遠征を重ねた。結果としてオールカマーではジョージモナークが1990年2着、1991年1着と2年連続で好走。さらに1993年にはハシルショウグンが2着になるなど、オールカマーを語る上で欠かせない戦績を残している。特にジョージモナークはジャパンCこそ二桁着順が続いたが、富士Sでは90年4着、91年3着と好走し、1992年のオールカマーでも5着になるなど、印象深い馬だった。

地方所属馬がオールカマーで馬券になったのは、2006年のコスモバルク2着がラスト。近年は地方馬のJRA重賞挑戦を見ることも少なくなった。しかし今年は、浦和所属の牝馬スピーディキックがフェブラリーSで6着と好走。大井のマンダリンヒーローは米GⅠ・サンタアニタダービーで2着と歴史的な善戦を繰り広げた。そして大井のミックファイアはデビューから6連勝でJpnⅠのJDDを制覇し、無敗で南関東三冠馬となった。

他にも、高知三冠ユメノホノオ、ホッカイドウ競馬三冠ベルピットなど、楽しみな存在が続々と登場。今後、オールカマーにも再び新しい時代が来る予兆にも感じられ、地方馬飛躍の未来が楽しみでならない。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。