【セントウルS】1番人気7連勝中の地力勝負 非サンデー系血統のアグリらに好データ
坂上明大
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傾向解説
サマースプリントシリーズの最終戦であるセントウルS。唯一のGⅡ戦でポイントが高く、ここを目標にメイチ(万全な状態)で臨む馬も少なくありません。その反面、スプリンターズSの最重要ステップレースでもあり、実績馬も多数集結します。
上がり馬か、実績馬か。2020~2022年は中京開催でしたが、2019年以来の阪神開催となる今年もこの取捨が明暗を分けそうです。
<GⅠ実績馬とサマースプリントシリーズ(SSS)上位馬(過去10年、4歳以上)>
GⅠ実績馬【5-2-1-5】勝率38.5%/連対率53.8%/複勝率61.5%/単回収率113%/複回収率77%
SSS上位馬【3-3-2-9】勝率17.6%/連対率35.3%/複勝率47.1%/単回収率87%/複回収率124%
※サマースプリントは、函館スプリントS、CBC賞、アイビスSD、北九州記念、キーンランドC、そしてセントウルSの計6レースを指す。
セントウルSの基本はGⅠ実績馬とサマースプリントシリーズのポイント上位馬。データとしては、「GⅠ実績馬」は過去1年以内に国内芝スプリントGⅠ・3着以内、「サマースプリントシリーズのポイント上位馬」は「同年サマースプリントシリーズ対象レースで2着以内の実績がある馬」の成績を掲載しています。これらを基準に各年のメンバーレベルに合わせて調整するのがセントウルSの基本といえるでしょう。
阪神や中京というスプリント戦としては広いコースで行われてきたため、1番人気馬が2016年以降7年連続で勝利、2012年以降11年連続で連対しています。セントウルSはGⅡという格に見合った、純粋な力勝負になりやすいレースというわけです。
<3歳馬の成績(過去10年)>
3歳馬【1-3-1-10】勝率6.7%/連対率26.7%/複勝率33.3%/単回収率320%/複回収率123%
ただ、この2パターン以外でも期待値が高いのは3歳馬。3歳春まではクラシック路線で1600m以上に使ってきたスプリンターが、得意カテゴリーに戻って一変するケースはサマースプリントシリーズを通して見られる好走パターン。
特に、セントウルSでは3歳馬のレベルも上がりやすいため、今年も軽視禁物です。ちなみに、過去10年で5着以内に入った7頭のうち6頭は重賞勝ち馬、2頭はサマースプリントシリーズ2着内馬でした。
<父系別成績(2013~19年、10番人気以上)>
サンデーサイレンス系【0-1-2-11】勝率0%/連対率7.1%/複勝率21.4%/単回収率0%/複回収率56%
非サンデーサイレンス系【7-6-5-38】勝率12.5%/連対率23.2%/複勝率32.1%/単回収率127%/複回収率86%
血統面では非サンデーサイレンス系に注目。前述の通り、地力上位馬が走りやすいレースのため血統面からの適性評価の重要度は高くありませんが、芝中距離で無類の強さを見せるサンデーサイレンス系が短距離戦でパフォーマンスを下げるのは当然の傾向といえるでしょう。
特に6番人気以下で好走した人気薄は、全5頭が非サンデーサイレンス系、うち3頭がサンデーサイレンスの血を持っていない馬でした。
血統解説
・ビッグシーザー
前走葵S3着の3歳馬。非サンデーサイレンス系のビッグアーサー産駒であり、サンデーサイレンスの血を4代目に1本しか持たない点も悪くありません。母がStorm Catの3×3を持つ点からも一本調子のスプリンターといえ、デビューから1200m戦にこだわって使ってきたことも納得の血統構成です。ただ、その分オッズ妙味は薄め。3歳馬なら距離短縮で大幅な上積みが見込める馬を狙いたいところです。
・アグリ
父カラヴァッジオは2~3歳時に芝6FのGⅠを制した早熟スプリンターで、Tenebrism(2021年チェヴァリーパークS、2022年ジャンプラ賞)など仕上がりの早いスピード馬を多く輩出するStorm Cat系種牡馬です。さらに、父父Scat Daddyは2019年高松宮記念1着馬ミスターメロディを出しており、昨年同2着馬ロータスランドも母父にScat Daddyの血を持ちます。サンデーサイレンスの血を持たない血統構成でもあり、直線半ばで挟まれて失速した高松宮記念の内容からも、特に評価を下げる点は見当たりません。
・ドルチェモア
母アユサンは2013年桜花賞馬で、ディープインパクト×Storm Catのニックス配合馬。本馬は父にルーラーシップを配した中距離血統です。伸びのある馬体からも短距離馬としては決して評価できません。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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