【ラジオNIKKEI賞】前走オープン組の距離短縮馬や欧州血統が輝く 有力馬の血統解説

坂上明大

ラジオNIKKEI賞の傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

3歳限定のハンデ重賞・ラジオNIKKEI賞。出世が遅れた素質馬たちが秋に向けて賞金加算を狙う一戦ではありますが、小回りの芝1800mで行われるハンデ戦だけに一筋縄ではいかないのも本レースの特徴。本記事では血統面を中心に、ラジオNIKKEI賞で求められる適性を整理していきます。

最初に取り上げたいデータは前走距離別成績。過去10年の距離短縮馬の回収率は単勝、複勝ともに100%を超えており、距離短縮馬をベタ買いするだけでプラスになるのが本レースの大きな特徴です。これは3歳春の牡馬クラシック路線が芝2000m以上を中心に大レースが組まれているため、当然芝2000m以上のレースレベルが高いことがこの成績に繋がっています。特に前走オープン組は信頼度が高く、前走で芝2000m以上のオープンクラス(重賞含む)を使っている馬には要注目です。

前走距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<前走距離別成績(過去10年)>
距離延長【0-2-4-37】勝率0.0%/連対率4.7%/複勝率14.0%/単回収率0%/複回収率63%
同距離 【3-2-1-35】勝率7.3%/連対率12.2%/複勝率14.6%/単回収率70%/複回収率37%
距離短縮【7-6-5-44】勝率11.3%/連対率21.0%/複勝率29.0%/単回収率101%/複回収率117%
→前走OP以上【6-4-3-25】勝率15.8%/連対率26.3%/複勝率34.2%/単回収率105%/複回収率129%

また、ラジオNIKKEI賞は2回福島開催の開幕週に行われるため、内先行馬に有利になりやすい点も大きな特徴。雨の影響は考慮する必要がありますが、基本的には内枠や先行馬に有利になりやすいレースといえるでしょう。

枠番別成績(過去10年),ⒸSPAIA
初角番手別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<枠番別成績(過去10年)>
1枠【3-1-2-10】勝率18.8%/連対率25.0%/複勝率37.5%/単回収率200%/複回収率146%
2枠【2-2-3-9】勝率12.5%/連対率25.0%/複勝率43.8%/単回収率43%/複回収率148%
3枠【1-1-1-13】勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率18.8%/単回収率45%/複回収率87%
4枠【0-0-0-18】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
5枠【1-3-1-15】勝率5.0%/連対率20.0%/複勝率25.0%/単回収率49%/複回収率101%
6枠【1-2-0-17】勝率5.0%/連対率15.0%/複勝率15.0%/単回収率114%/複回収率62%
7枠【1-0-2-17】勝率5.0%/連対率5.0%/複勝率15.0%/単回収率42%/複回収率54%
8枠【1-1-1-17】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率15.0%/単回収率22%/複回収率55%

<初角番手別成績(過去10年)>
~4番手【4-7-4-30】勝率8.9%/連対率24.4%/複勝率33.3%/単回収率85%/複回収率141%
5番手~【6-3-6-86】勝率5.9%/連対率8.9%/複勝率14.9%/単回収率52%/複回収率51%

血統面ではヨーロッパの主流血統であるNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingに注目。血統以外のポイントの重要度が高いレースではありますが、前半1000m58~59秒台の引き締まったラップを刻むことが多いため、日本的な瞬発力よりも欧州的な底力が輝く舞台という点も忘れてはいけません。近年では2020年2着馬パンサラッサ(7番人気)や2021年1着馬ヴァイスメテオール(4番人気)など上記血統の増幅形で穴を開ける馬も多く出ています。

血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<血統別成績(過去10年)>
Nureyev【6-4-2-32】勝率13.6%/連対率22.7%/複勝率27.3%/単回収率108%/複回収率85%
Sadler's Wells【2-3-3-16】勝率8.3%/連対率20.8%/複勝率33.3%/単回収率46%/複回収率142%
Fairy King【0-0-1-2】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率33.3%/単回収率0%/複回収率103%


血統解説

・レーベンスティール
新馬戦では後の皐月賞馬ソールオリエンスとクビ差の接戦を演じた素質馬。Nureyevの血を内包する父リアルスティールに、Roberto持ちの母トウカイライフを組み合わせた馬力強化型の配合形です。ただ、血統的にも馬体的にも晩成型ではあるため、本当に良くなるのは古馬になってからでしょうか。

・バルサムノート
母は重賞2勝馬エピセアローム(2011年小倉2歳S、2012年セントウルS)。半姉シトラスノートも芝1600m以下で3勝を挙げたスピード馬ですが、本馬自身は伸びのある馬体を有しており、1800mまでは守備範囲でしょう。ただ心身ともに幼さが目立ち、本当に良くなるのは古馬になってから。母母父Cozzeneの影響が強く、脚の使いどころも選ぶタイプです。

・グラニット
ダノンバラード×フサイチコンコルドという少々マイナーな組み合わせですが、Sadler's Wellsを母方に持つディープインパクト系産駒は2015年1着馬アンビシャス、2019年3着馬ゴータイミングと3頭中2頭が好走。Be My Guestが機動力を強化している点も魅力のひとつで、前走の皐月賞でも持ち味の先行力を存分に披露しました。今回は相手関係が大幅に楽になり、斤量も55キロと手頃。あとは同型との兼ね合いでしょうか。

ラジオNIKKEI賞の傾向と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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