【安田記念】「前走GⅠ」などの好データを持つソングライン ウオッカと同じ路線で連覇へ王手

門田光生

安田記念の前走人気別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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「高配当が出る」レース

2023年6月4日に東京競馬場で行われる第73回安田記念。同じ古馬のマイルGⅠ、マイルCSは堅く収まるイメージがあるのに対して、こちらは荒れるという印象が強い。2001年の1着9番人気ブラックホークと2着15番人気ブレイクタイムの組み合わせで、馬連12万円超えがまだ頭に残っているからだろうか。

当時は馬単や3連単の発売がなかったのだが、果たしてどのぐらいの配当がついたのか(3着は7番人気)。ここ10年の配当を見ても3連単はすべて万馬券、しかも半分は10万円以上。やはり「高配当が出る」レースの認識で合っているようだ。

そんな安田記念には果たしてどのような傾向があるのだろうか。今回もGⅠということで、過去15回の成績を基にして検証していきたい。

安田記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の性別,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦所属馬が16連対(8勝)、栗東所属馬は13連対(7勝)、そして海外所属馬が1連対(0勝)。出走頭数は栗東所属のほうが2倍近く多いこともあって、勝率、連対率ともに美浦所属馬が大きく上回っている。

性別では、牡馬・セン馬が22連対(11勝)、牝馬が8連対(4勝)。このデータも出走頭数の関係で、牝馬の勝率、連対率のよさが目立つ。なお、牝馬で連対した8頭はいずれも4歳か5歳だった。

年齢別では、4歳馬と5歳馬が10連対。勝率、連対率では4歳馬が大きくリードしている。7歳以上になると勝ち馬がいなくなり、8歳以上で馬券に絡んだ馬はいない(今年は出走なし)。また、今年は3歳馬が2頭登録。ここ15年で出走は5頭だけと少ないが、2011年にリアルインパクトが勝利を挙げている。

安田記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
重賞、オープン、そして海外と、条件戦を除く様々な路線から勝ち馬が出ている。最も連対馬を出しているのはヴィクトリアマイル。連対した牝馬8頭のうち、7頭がここを経由している。残る1頭は高松宮記念だから、牝馬は前走でGⅠを走っていることが必須条件となる。

高松宮記念やダービー卿CTの勝率も悪くないが、優先出走権のあるマイラーズCと京王杯SCは、出走頭数が多いのもあって勝率が低い。特に、マイラーズCは59頭が出走して1、2着が1頭ずついるだけ。勝率は1%台、連対率も3%台しかなく、どちらかというと切りたいところ。京王杯SCも勝率が4.0%と低く、評価を下げたい。また、前走を海外で走っていた馬は31頭いて、1勝、2着3回。可もなく、不可もなくといったところか。

安田記念出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
勝ち馬15頭中、13頭が前走5着以内だった。さらに細かく見ていくと、栗東所属で前走3着、5着、そして10着以下だった馬は連対していなかった。

前走人気は、前走で1、2、4番人気に支持されていた馬の勝率がいい。この項目でも栗東所属馬に面白い特徴が出ていて、前走で2番人気以上だと【6-4-4-39】に対して、3番人気以下では【0-2-5-80】。好走率がガクンと下がってしまう。

安田記念におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
のべ5頭以上が出走している種牡馬のうち、ダイワメジャー産駒とハービンジャー産駒は、どちらも馬券に絡んだことがない。


連覇は久しく出ていないが……

では、安田記念のデータをまとめてみよう。

【好走データ】
A「美浦所属馬」
B「4、5歳の牝馬で、前走がGⅠ」
C「4歳馬」
D「前走1、2、4番人気(4番人気は美浦所属馬のみ)」。

【好走率が低いデータ】
E「前走がマイラーズC」

【勝ち馬なし】
F「7歳馬」
G「栗東所属馬で前走3番人気以下」

【連対馬なし】
H「栗東所属で前走が3or5or10着以下」
I「ダイワメジャー産駒orハービンジャー産駒」

まずは昨年の覇者ソングライン。連覇の可能性はあるのかどうか、上記に出てきたデータを照らし合わせてみよう。A「美浦所属馬」、B「4、5歳の牝馬で、前走がGⅠ」、D「前走1、2、4番人気(4番人気は美浦所属馬のみ)」というプラスデータを3つ持っており、ナミュール、レッドモンレーヴと並んで最多だ。

ナミュールはこのレースで馬券に絡んだことがないI「ハービンジャー産駒」、レッドモンレーヴは勝率の低い京王杯SCを経由しているところから、ソングラインが最有力候補と考えていいだろう。安田記念連覇となると、2008~09年のウオッカ以来となるが、海外で馬券圏外→ヴィクトリアマイル優勝→安田記念というのは、09年のウオッカのローテーションと同じ。今年は久しぶりに安田記念連覇の快挙が見られそうだ。

続いて、プラスデータを2つ持っていて、かつマイナスデータに引っかかっていないのが、インダストリア。しかも好走率が高いダービー卿CTを経由している。先述の通り、レッドモンレーヴはプラスデータ3つでも、京王杯SCを経由している点は割引。どちらかというと好走率が高いダービー卿CTを走っていたインダストリアを上に取りたい。

3連単で高配当がよく出ていると上記で書いたが、1番人気馬が全く勝っていないわけではなく、2着、もしくは3着にふたケタ人気の馬が飛び込んで配当をハネ上げている。というわけで、4番手以下は人気薄(が予想される馬)をピックアップしてみる。

ここ10年で1番人気が勝ったのは2013、2014、2015年の3回。2013年は3着に12番人気、2014年は2着に16番人気、3着に10番人気、そして2015年は3着に12番人気と、4頭のふたケタ人気馬が馬券に絡んだ。このうち、3頭が6歳馬。今年でいえばウインカーネリアンとカフェファラオが該当する。ともにマイナスデータがないし、好走確率が及第点の海外帰り。人気も手頃だろうし、相手候補に入れる価値はあるだろう。

◎ソングライン
◯インダストリア
▲レッドモンレーヴ
△ウインカーネリアン
×カフェファラオ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
近畿地方は梅雨入りした模様。調教班だったころも雨は嫌でしたが、厩舎回りになってから、もうひとつ雨が嫌いになりました。

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