【NHKマイルC】Deputy Minister系など北米血統馬が強いレース 有力馬の血統解説

坂上明大

2023年NHKマイルCの血統と傾向,ⒸSPAIA

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【傾向解説】

3歳芝マイル王決定戦・NHKマイルC。スプリント路線から中距離路線、そして牝馬路線など幅広いカテゴリーから実力馬が集結する非常に難解な一戦。血統面を中心に同レースで求められる適性を整理していきます。

まず押さえておきたいポイントは各路線の力関係について。3歳牝馬路線は1600m>1400m・1800m以上>1200m以下という力関係が明確にあり、これは桜花賞を大目標にする馬がほとんどであるためです。それに対して、3歳牡馬路線はクラシック第1戦・皐月賞が2000mで行われるため、1800m以上に素質馬が集まりやすく、そこから距離が短くなればなるほどメンバーレベルは落ちる傾向にあります。

そのため、3歳マイル王決定戦であるNHKマイルCにおいても、前走で1800m以上を使っていた距離短縮組の好走率が高く、牡馬は1800m以上組、牝馬は1600m組を中心に狙うのがセオリーといえるでしょう。

NHKマイルCの血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統面では第1回から北米血統馬がとにかく強いレース。特に、2001年クロフネ(父フレンチデピュティ)→グラスエイコウオー(父フレンチデピュティ)から始まったDeputy Minister系の強さは20年以上が経った現在も変わっていません。2013年1着マイネルホウオウ(10番人気)、2016年3着レインボーライン(12番人気)、2022年3着カワキタレブリー(18番人気)など穴馬の好走馬も多数誕生しています。

また、Deputy Ministerと同様に北米の主流血統であるStorm Catも大活躍。2014年2着タガノブルグ(17番人気)、2017年2着リエノテソーロ(13番人気)、2019年2着ケイデンスコール(14番人気)、2020年1着ラウダシオン(9番人気)、2022年3着カワキタレブリー(18番人気)など、こちらも数多くの下位人気馬が波乱を演出しています。

NHKマイルCの前走距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA


【血統解説】

・ドルチェモア
母アユサンは2013年桜花賞馬。ディープインパクト×Storm Catのニックス配合馬であり、本馬は父にルーラーシップを配した中距離血統です。マイラーとしては各パーツも長めで、将来的には中距離路線での活躍に期待が持てます。同厩舎のステラヴェローチェ(2021年神戸新聞杯)と同じような距離の延ばし方をするのではないでしょうか。

・エエヤン
4代母Katiesに遡る名牝系で、母シルクヴィーナスはAlydar、Danzig、ティンバーカントリーと北米種牡馬を掛け合わせてきた配合形。本馬の半兄プレイアンドリアルは2014年京成杯を制しましたが、ほかの兄姉の実績からもKaties牝系らしいスピードを産駒に伝える繁殖牝馬といえるでしょう。今回も折り合い面が課題となりそうです。

・オオバンブルマイ
母ピンクガーベラはブランボヌール(2015年函館2歳S、2016年キーンランドC)やエントシャイデン(2021年フォレ賞3着)の全きょうだいで、3代母アジアンミーティアはUnbridled's Songの全妹。本馬はStorm Cat系ディスクリートキャットを父に配し、ディープインパクト+Storm Cat+Unbridled's Song=アジアンミーティアを形成。配合評価は非常に高く、NHKマイルCへの適性も文句なしの良血馬です。

2023年NHKマイルCの有力馬の血統と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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