【天皇賞(春)】単勝最高配当は1万5960円、最多勝は武豊騎手の8勝 春盾の色々な「最高記録」
緒方きしん
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大波乱の決着! 三冠馬が沈み、単勝万馬券が飛び出した2012年
新・京都競馬場で開催される最初のGⅠ、天皇賞(春)。絶対的人気馬の完勝劇から、アッと驚く伏兵の激走まで、芝3200mで数々の印象的なレースが繰り広げられてきた。今回はそんな伝統のレースにおけるデータ(1986年以降)から、様々な「最高記録」をピックアップ。数字とともに歴史を振り返っていきたい。
人気馬の完勝といえば、2006年に単勝1.1倍で勝利したディープインパクト、2000年を同1.7倍&2001年を同2.0倍で連覇したテイエムオペラオー、同じく2019年を同2.8倍&2020年を同2.0倍で連覇したフィエールマンなどを思い出す。
一方、単勝配当の最高額は159.6倍のビートブラックである。三連単も14525.2倍に及んだ2012年の天皇賞(春)。長距離戦の難しさを象徴するシーンとして、このレースを思い出すファンは多いのではないだろうか。
ディープインパクト同様に、三冠達成の翌年に天皇賞(春)に出走したオルフェーヴル。前哨戦・阪神大賞典は道中逸走したものの2着という、ある意味『負けて強し』とも言える異次元の走りであり、ファンは単勝1.3倍の圧倒的な人気へと押し上げた。
レースはゴールデンハインドとビートブラックが後続を離して引っ張る展開。直線でビートブラックが先頭に立つ一方で、オルフェーヴルはギアが上がらず馬群のままゴールになだれ込んだ。結果はビートブラックの4馬身差完勝。オルフェーヴルは、前年の勝ち馬ヒルノダムールと同着の11着となった。
ビートブラックは父ミスキャストという珍しい血統の馬。ミスキャストは重賞未勝利馬でありながら、プリンシパルS制覇や弥生賞3着という実績、さらに母が歴史的名マイラーのノースフライトという血統の良さから種牡馬となった。そんな名マイラーの血を引いた馬が天皇賞(春)で三冠馬を撃破するのだから、血統の面白さも感じるレースだった。また、もう1頭の逃げ馬ゴールデンハインドは、先日フローラSを制した牝馬と同名であるが、こちらも母が南部杯などを制したダートの名牝ゴールドティアラという良血馬であった。
平成の盾男 武豊騎手
ビートブラックが制した2012年の天皇賞(春)の3着馬は、オルフェーヴルのライバルでもあったウインバリアシオン。鞍上は、天皇賞(春)といえばこの人、武豊騎手である。
1986年以降、天皇賞(春)の勝ち星トップが武豊騎手。3勝で2位タイの蛯名正義騎手と横山典弘騎手に、ルメール騎手のあげた2勝を加えた数と同じ「8勝」を積み上げている。メジロマックイーンとキタサンブラックで2勝ずつ、さらにディープインパクト、イナリワン、スーパークリーク、スペシャルウィークとのコンビでこの長距離戦を制している。
武豊騎手は、それ以外にも数々の天皇賞(春)の記録に絡んでくる。勝ち時計の最速は2017年にキタサンブラックが叩き出した3:12.5。その前のレコードはディープインパクトの3:13.4、どちらも鞍上は武豊騎手。また、上がり最速はトップタイ33.5で2頭いるが、ウインバリアシオン、ディープインパクトいずれも武豊騎手が騎乗していた。
今年は、最大着差タイ記録を持つタイトルホルダー(7馬身差。もう1頭はイングランディーレ)に対し、ヒュミドールとのコンビで挑む。この人馬は初コンビとなるが、父父のステイゴールドや母母父のアドマイヤベガは、現役時代に武豊騎手が手綱をとった名馬でもある。伏兵として、新・京都競馬場に集ったファンを沸かせることができるだろうか──。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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