【桜花賞】馬格のある主流系統馬が中心のレース 有力馬の血統解説
坂上明大
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傾向解説
牝馬クラシック第1戦・桜花賞。2歳女王リバティアイランドの一強ムードが漂うも、現3歳牝馬は重賞2勝以上を挙げるのがキタウイングのみという混戦模様。条件によって着順が入れ替わっているだけに、適性面の評価がより重要な一戦となりそうです。血統を中心に桜花賞で求められる適性を整理していきます。
まず紹介したいデータは前走距離別成績。2~3歳GⅠは1600~3000mで行われるため、前哨戦なども1600m以上のレースがハイレベルになりやすく、特に桜花賞までの牝馬路線についてはほぼ例外なくマイル路線が最も強い傾向にあります。同コースで行われる阪神JFやチューリップ賞はもちろんのこと、シンザン記念やクイーンCなどハイレベルなマイル路線で戦ってきた馬を中心に考えるのがベターでしょう。
また、馬体重別成績にも明確な傾向あり。芝1600mというスピードが求められる条件だけに筋肉量が多いことは大きなアドバンテージで、成長スピードという点においても馬体重は重要な指標となっています。特に過去10年の勝ち馬は全10頭が馬体重460kg以上で、逆に馬体重459kg以下の馬はヌーヴォレコルト(2014年オークス)やアカイトリノムスメ(2021年秋華賞)のようにオークス・秋華賞向きとみることもできるでしょう。
血統面では、クラシックレースらしくディープインパクトを中心としたサンデーサイレンス系、キングカメハメハを中心としたKingmambo系という日本の主流系統が中心となっています。ただ、サンデーサイレンス系、特にディープインパクト系は小柄な中長距離馬も多いため、先述の馬体重460kg以上というボーダーはクリアしておきたいところです。
血統解説
・リバティアイランド
父はKingmambo系ドゥラメンテ、母は豪2~3歳GⅠ・2勝馬ヤンキーローズ。日本の主流父系の父とオーストラリアのスピードと早熟性を伝える母との間に生まれ、阪神JF時の馬体重が462kgと標準程度の馬格も有しています。阪神JFでは2着馬に0.4秒差をつける完勝。人気を集めはしますが、能力面でも適性面でも疑いようがない素質馬です。
・ライトクオンタム
父は5頭の桜花賞馬を出す大種牡馬ディープインパクトですが、母イルミナントは4歳時に北米GⅠゲイムリーSを制した晩成型。シンザン記念時の馬体重は428kgとスレンダーな牝馬でもあり、桜花賞よりもオークス・秋華賞向きといえそうです。2戦2勝はともに少頭数でのもの。経験面からも予想オッズほどの信頼感はないでしょう。
・ハーパー
父は晩成傾向の強いハーツクライですが、母セレスタはアルゼンチンの2歳GⅠ馬。半姉ヴァレーデラルナは3歳時にJBCレディスクラシックを制しており、本馬も父の産駒としては仕上がりの早い部類といえるでしょう。エンジンのかかりが遅いだけに、スムーズにスピードに乗れるかがポイントとなりそうです。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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