【桜花賞】リバティアイランドに死角なし Cアナライズの相手筆頭は前走ハイレベル戦の2着馬
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
大阪杯では5番人気ジェラルディーナを推奨し6着。前有利の馬場だったことや、最後の直線の進路取りがスムーズでなかったことを考えれば、地力の高さは十分示した内容だった。
さて、今回は4月9日(日)阪神競馬場で行われる桜花賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった26頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:前走重賞3着以内がポイント
重要データで取り上げるのは前走「クラス」と「着順」だ。まずクラスから。前走1勝クラスの馬は全く結果が出ていないが、今年は出走ボーダーラインが高いため、ここに該当する馬はいない。
次に前走OP組は【1-0-0-33】となっていて、勝利は20年のデアリングタクトのみ。三冠牝馬級のポテンシャルがないと厳しいと言わざるをえない。
前走重賞組はGⅢ【6-4-6-47】、GⅡ【1-4-4-61】、GⅠ【2-2-0-4】となっており、満遍なく勝ち馬が出ている。前走OP組にデアリングタクト級の馬は現時点では見当たらず、前走重賞からの臨戦が必須条件と言っていいだろう。
【前走OPクラスからの出走予定馬】
・コンクシェル
・トーセンローリエ
・ミスヨコハマ
・ユリーシャ
前走重賞組についてもう少し深掘りする。注目すべきは着順。1着【3-3-3-31】、2着【3-2-3-22】、3着【3-2-1-16】、4着以下【0-3-3-43】となっていて、勝ち馬は3着以内からしか出ていない。
意外にも1着だった馬より、2、3着だった馬のほうが勝率など全ての率で前走1着馬を上回っている。これは桜花賞に出走するため、前走でピークまで仕上げ、勝ち切ったことによるデキ落ちの可能性が要因として考えられる。
前走1着→桜花賞1着だった馬は14年ハープスター(チューリップ賞1着)、18年アーモンドアイ(シンザン記念1着)、21年ソダシ(前走阪神JF1着)の3頭。アーモンドアイとソダシに関しては中10週以上空けたゆとりのあるローテーションで、桜花賞に向けて仕上げる時間が十分にあった。
ハープスターに関してはチューリップ賞以前に阪神JF2着、新潟2歳S1着の実績があった。つまり賞金を持っていたため、前哨戦と割り切った仕上げで挑んだものの、能力の高さで勝ってしまったという印象だ。
本番にお釣りを残せているかどうかが重要で、前走1着馬については中10週以上空いているか、前走勝たなくても桜花賞に出走できる状況だったかを判断材料とするのが良いだろう。
前走2着馬については満遍なく様々なレースから勝ち馬が出ている。要注意なのは前走3着馬。ここから桜花賞で3着以内に好走した馬は計6頭いるが、全ての馬が前走チューリップ賞かGⅠだったという点に注目したい。
【中9週以下かつ、前走重賞1着でしか出走できない可能性の高かった馬】
・エミュー
・シングザットソング
・ハーパー
・モズメイメイ
【前走チューリップ賞かGⅠ以外の3着馬】
・ジューンオレンジ
・モリアーナ
前走不利データ:阪神JFのシンリョクカ
シンリョクカの前走は阪神JF2着。同レースでは前走クラスが重要な要素で、前走新馬戦からの臨戦では【0-0-1-13】と厳しいデータとなっていた。過去にはロカのように新馬戦で鮮やかな勝ち方をして、阪神JFで人気したものの結果を出せなかった馬もいる。それだけ2戦目でGⅠというのは難しいということだ。
シンリョクカはそんな中で2着と好走し、評価できる。また3着ドゥアイズがレベルの高かったクイーンCで2着だったことからも、価値ある2着だった。フロック視されて人気が落ちるようなら、ここは狙い目となる。
血統解説:コナコースト、シングザットソング、リバティアイランド
・コナコースト
日本での牝祖は4代母バレークイーン。同馬はフサイチコンコルドやヴィクトリーなどを輩出した日本の名牝系の一つ。グレースアドマイヤとフサイチミニヨンの2つの枝から発展しており、本流はグレースアドマイヤ。本馬はフサイチミニヨンが3代母だから本流ではないが、こちらも活力は十分だ。
フサイチミニヨンの枝は早熟性があって機動力、スピード、パワーのある馬が多いのが特徴だ。本馬も父がキタサンブラックで母父キングカメハメと、阪神の急坂は全く問題にならない。フサイチミニヨンの牝系は、配合問わず極端に短い距離でしか走れないタイプが出ることもあるが、同馬に距離不安はない。馬体にはキタサンブラックの影響がしっかり出ていて、スラッとした中距離タイプだ。
前走チューリップ賞はスローペースだったのでクリアできたが、ペースが流れると1600mは適性外となってしまうだろう。2000m以上が良いタイプで、オークスで狙いたい一頭でもある。
・シングザットソング
母ザガールインザットソングは輸入繁殖。現役時代はラ・カナダS(GⅡ・ダート8.5F)を勝利している実績馬だ。とはいえ4代母Bel Shebaを根幹とするファミリーは活力があり、米二冠馬Alysheba、英スプリントGⅠ・2勝のQuiet Reflectionなどが出ている。母の叔父がAJCCとアルゼンチン共和国杯勝ちのマチカネキンノホシで、日本の競馬ファンにも馴染みのある牝系だ。
成長曲線はゆったり目でスタミナとスピードのある馬が多いのが特徴。フィリーズレビューでは課題だったスタートを決めて、初めてきちんと競馬ができた印象。あれがこの馬の真価で、差し決着の展開を先行し勝利したのは着差以上の評価が必要だ。また今回は舞台が外回りと好転する。懸念は年明け3戦目となること。前走は仕上がりが良く、今回に向けてお釣りがどれだけあるか。
・リバティアイランド
父はドゥラメンテ。母ヤンキーローズは現役時オーストラリアでATCスプリングチャンピオンS(GⅠ・芝2000m)とATCサイアーズプロデュースS(GⅠ・芝1400m)を勝利した。牝系を辿ればビコーペガサスやシンボリグランなども同じ一族だ。母が早期から活躍していたように、現時点での完成度も高い。初戦のインパクトが強く瞬発力が魅力の一頭だが、トライマイベストとEl Gran Senorの全兄弟の血も有していて、決して一瞬のスピード一辺倒の馬ではなく、阪神の急坂も難なくこなすことができる。
阪神JFの走りを見る限りあの時点で世代トップなのは間違いない。それ以降、この馬を倒せると思わせてくれるパフォーマンスを見せた馬もいなかった。
Cアナライズではリバティアイランドを推奨
今回のCアナライズではリバティアイランドを推奨する。ここは断然人気でも逆らえない。一方軽視したいのはライトクオンタム。こちらは牡馬相手のシンザン記念で重賞制覇していることや、リバティアイランドと未対戦ということから上位人気に支持される可能性が高い。しかし、シンザン記念は時計も遅く、レベルはあまり高くないと見ている。
相手で重い印を打ちたいのがクイーンC組。レースレベルが高く、2着ドゥアイズは相手筆頭だ。1着ハーパーは前述の割引データに該当していて、クイーンCで-12kgとかなり仕上げた印象があった。相手までという評価だ。今回は2着でも出走できる可能性が高く、余裕のあったドゥアイズを上に取る。
加えて前走不利データを持つシンリョクカ、データこそ割引も条件好転のシングザットソング、本質的にはオークス向きだと思うがチューリップ賞で一番強い競馬をしたコナコーストまで評価する。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほかPOG本での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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