【桜花賞】参考レース振り返り 連対率50%の阪神JF直行組・リバティアイランドが抜けた存在

三木俊幸

2023年桜花賞に出走するリバティアイランド,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レースを振り返る

4月9日(日)に阪神競馬場で行われるのは、牝馬クラシックの幕開けを飾る桜花賞(GⅠ・芝1600m)。主な参考レースの内容を過去10年のデータとともに振り返っていく。


阪神JF【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-2-0-3】勝率16.7%、連対率50.0%、複勝率50.0%

阪神JFからの直行は6例と少ないが、2021年は1着ソダシと2着サトノレイナスが桜花賞でもワンツーを決めている。

最内枠から好スタートを切ったサンティーテソーロが逃げ、前半800m通過は45.2のハイペースで流れた。中団から運んだ1番人気リバティアイランドは徐々に外へと持ち出され直線に向くと、残り200mで一気に先頭へ。力の違いを見せつけ後続に2馬身半差。勝ちタイムは1:33.1での完勝だった。

スローペースの瞬発力勝負では強さを証明済みのリバティアイランドだったが、持久力勝負になっても関係なし。能力では一枚抜けた存在だと言えるだろう。

2着シンリョクカはキャリア2戦目で一気の相手強化も中団からロスなく立ち回った内容は評価したい。賞金が足りず出走できるか危ぶまれていたが、リバーラの回避により繰り上がった。上位に割って入るだけの素質は秘めており、期待したい一頭だ。

11着ラヴェルはスタートで出遅れ。直線では大外に持ち出されるも力を発揮できなかった。アルテミスSでは上がり最速の33.0をマークし、リバティアイランドに勝利している。瞬発力が求められる展開になれば変わり身があっていい。


チューリップ賞【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【4–8–6-30】勝率8.3%、連対率25.0%、複勝率37.5%

最多の4勝をあげているが、チューリップ賞から桜花賞を制したのは2016年のジュエラーが最後。3着内への好走は多いが勝ちきれないというデータが残る。

好スタートから主導権を奪ったのはモズメイメイ。1馬身差の2番手にルカンがつけ、前半800mは47.5というペースとなる。そのまま淡々と流れ、ゴール前は粘るモズメイメイにコナコーストが急追。接戦となったがハナ差でモズメイメイが逃げ切った。勝ちタイムは1:34.0だった。阪神芝1600mで連勝したモズメイメイ。桜花賞では和田竜二騎手に乗り替わるが、うまく息を入れてマイペースを刻めるかがカギとなりそうだ。

6番手追走から2着となったコナコーストは、先行馬が残った展開を考えるとこの組の中では最も評価できる内容。ゴール前はジリジリ迫ってきた感じからは、もう少し距離が延びて良さが出るタイプかもしれない。

3着ペリファーニアはキャリア2戦目だった。素質は感じるが、最後差されたあたりはやや物足りない。7着キタウイングは4角11番手からゴール前は伸びていたが、展開が向かなかった。15着ドゥーラは直線で挟まれる不利があり、参考外とみていい。


フィリーズレビュー【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-2-46】勝率2.0%、連対率2.0%、複勝率6.1%

2017年にレーヌミノルが勝利、昨年ナムラクレアが3着になるなど、本番6番人気以下での好走が3例ある。しかし全体的には低調な成績で桜花賞への直結度は低い。

レースは、エコロアイが前半600mを33.2というハイペースで引っ張る展開。4角で4番手まで押し上げたシングザットソングが直線半ばで先頭に立つと、後続の追い上げをしのぎ1:20.7で勝利した。先行勢にとっては苦しい展開の中で、自ら動いていっての勝利は地力の表れだろう。

2着ムーンプローブは4角9番手、3着ジューンオレンジは4角13番手。力強く伸びたが展開を味方につけた印象が強い。

6着ブトンドールは直線でモタれて追うことができず、力を発揮できなかった。やはりマイルへの距離延長に疑問符がつく。


クイーンC【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-1-17】勝率5.3%、連対率5.3%、複勝率10.5%

3着内に入ったのは2頭と少なく率も決して高くないが、2019年にクロノジェネシスが3着、昨年はスターズオンアースが勝利。のちの活躍馬がこのローテーションで結果を残した。

積雪の影響により稍重で行われたクイーンC。スタートを決めたニシノカシミヤがハナを切り、前半800mを46.2で通過。ゴール前は3頭が広がる展開となったが、内ドゥアイズ、外モリアーナの間から伸びたハーパーがクビ差制した。勝ちタイムは1:33.1だった。

未勝利戦を制して挑んだハーパーは道中6番手を追走。スパッと切れるタイプではないが、最後まで力強く伸びて接戦をモノにした内容は桜花賞にも繋がるだろう。

阪神JF3着の実績があるドゥアイズは3番手のインからロスなく立ち回った。距離はもう少し長いほうが良さそうだが、こちらもタフな展開になれば上位に割って入れる力を示した。

2023年桜花賞に出走するハーパー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


シンザン記念【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-0-1】勝率50.0%、連対率50.0%、複勝率50.0%

シンザン記念をステップに桜花賞へ挑んだのはわずか2頭だが、2018年にアーモンドアイがここを起点に牝馬三冠を達成している。

今年は7頭立てで行われ、ペースセッティングが逃げて直後をクファシルが追いかける展開で隊列は縦長。前半800mの通過は46.3だった。5番手を追走していたライトクオンタムは直線で大外に持ち出されると、徐々に前との差を詰めて差し切り。最後はペースセッティングに1馬身差をつけ、1:33.7で勝利した。

新馬戦の逃げ切りとは一転し、差す競馬にも難なく対応してみせるなどセンスは抜群。ただ420kg台と小柄な馬で、将来性は感じるがまだ未知な面も多く、今回が試金石となる。

2023年桜花賞に出走するライトクオンタム,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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