【桜花賞】父は「世界一」を獲得したジャスタウェイ ジューンオレンジが波乱を起こすか【マイナー種牡馬応援団】
緒方きしん
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世界トップ評価を獲得したハーツクライ産駒の実力派
今週は3歳クラシック戦線の開幕を告げる桜花賞が開催される。牝馬三冠の第一戦で、ソダシやハープスター、ダイワスカーレットやベガといった名牝たちがここを制してきた。昨年の2歳王者ドルチェモアの母アユサンなど繁殖として活躍する馬も多く、1997年の勝ち馬キョウエイマーチはBCディスタフ勝ち馬マルシュロレーヌやチューリップ賞勝ち馬ナミュール、マーキュリーカップ勝ち馬バーデンヴァイラーなどを輩出する一大名牝系を築き上げている。
今回注目するのはジューンオレンジ。先週の大阪杯で3着に好走したダノンザキッドと同じく、父はジャスタウェイである。ジューンオレンジはデビュー戦を10着に敗れたものの、次走以降5着→2着→1着と着順を上げて未勝利を脱出。かささぎ賞5着を挟み、フィリーズレビューで3着となって桜花賞への挑戦権を獲得した。
ジャスタウェイは須貝尚介厩舎の所属馬で、同厩の同期には芦毛のアイドル・ゴールドシップがいる。デビュー戦を制してから3連敗したものの、アーリントンCで2勝目をあげるとNHKマイルCの6着を挟んでダービーにも出走。ディープブリランテが勝利をあげるなか、11着に敗れた。
ジャスタウェイの覚醒は2013年の4歳シーズン。エプソムC、関屋記念、毎日王冠と3戦連続で2着に入り、天皇賞(秋)ではジェンティルドンナやエイシンフラッシュを相手に勝利。翌年に中山記念、ドバイデューティフリーを連勝。ドバイでの勝ちっぷりを評価され、ワールド・ベスト・レースホース・ランキングで1位に輝いた。帰国後も安田記念を制してJRA最優秀4歳以上牡馬にも選出されるなど、日本を代表する名馬として活躍した。
牝馬のGⅠ好走馬を出せるか
引退後のジャスタウェイは、社台スタリオンステーションで種牡馬になる。初年度から220頭の牝馬を集めたが、生産頭数は138頭とやや落ち込んだ。それでも初年度産駒のロードマイウェイやアウィルアウェイ、アドマイヤジャスタが重賞を制覇。マスターフェンサーが交流重賞を勝ち、さらにヴェロックスが皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞3着と、世代を代表する活躍を見せた。
現5歳世代からはダノンザキッドがホープフルSを勝ち、これがGⅠ初制覇。現4歳世代は重賞勝ち馬がいないものの、今年のクラシック世代は東スポ杯2歳Sの勝ち馬ガストリックと冒頭で触れたジューンオレンジを輩出。さらに京成杯3着馬のセブンマジシャン、こうやまき賞の勝ち馬コレペティトールなどを送り出している。勝率が高いタイプの種牡馬とはいえないが、エース格の馬が粘り強く勝ち星を積み重ねている。
牝馬の重賞制覇は2020年シルクロードSのアウィルアウェイと2020年フィリーズレビューのエーポスのみで、そのエーポスも桜花賞では9着に敗れている。昨年はエルフィンSを制したアルーリングウェイを桜花賞に送り込んだが、8着に敗れた。
ただ、牝馬が活躍しない種牡馬というわけではなく、特別レース直近20勝のうち9勝は牝馬。現4歳のルージュエヴァイユなど重賞を狙える馬はいる。ジューンオレンジも桜花賞での好走を狙う。
産駒の重賞勝利数は、デビュー初年度の2018年から0勝→1勝→5勝→0勝→1勝。周期的に今年は5勝の年……となるだろうか。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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