【ニュージーランドT】異例のGⅠ馬参戦! 2歳王者ドルチェモア、難敵は桜花賞除外組
SPAIA編集部
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まさかのGⅠ馬参戦
2023年4月8日に行われる3歳限定GⅡ・ニュージーランドトロフィー。NHKマイルCの前哨戦でありながら、トリッキーな中山マイルが嫌われてか例年メンバーが手薄な傾向にある。まして、2018年に同じ役割のアーリントンCが4月へと時期変更されてからはますますレベルが低下し、昨年1月には「日本グレード格付管理委員会」からの警告を受け、GⅢ降格の危機に瀕するほどであった。
ところがである。今年は無傷3連勝で朝日杯FSを制したドルチェモアがここを3歳シーズンの始動戦に選んだ。正直驚いた。GⅠ馬がこのレースに出走すれば2011年グランプリボス以来の出来事。しかしこの年は震災による阪神での代替開催で、現在のアーリントンCに近い条件であった。中山のNZTに限ると、08年ゴスホークケン以来、実に15年ぶりとなる。
前置きが長くなったが、この異例の参戦をどう取り扱うかについても含め、過去10年のデータを手掛かりに展望していく。
関西馬が圧倒
まずは人気別成績から。1番人気【1-3-0-6】に対して2番人気【5-0-2-3】と後者が優勢。先週のダービー卿CT同様、やはりこのコースは人気薄の台頭もちらほらあって、7番人気、12番人気馬も1勝ずつ挙げている。
また、3着は荒れるケースが非常に多く、10年で8頭が5番人気以下、6頭が7番人気以下だった。高配当狙いなら裾野を広げた3連系、点数を絞りたければ2連系で狙ってみるのが賢明か。
所属別では関西馬8勝という圧倒的な成績。連対率では関東馬7.5%、関西馬22.4%とトリプルスコアの差がついている。勝利数、好走率、さらには単複回収率に至るまで全てにおいて関西馬がオススメ。今年ならドルチェモアのほかに、サンライズジークやセッションなどがいる。
続いて性別成績。ドルチェモアの参戦と並び、今年のテーマとなるのが牝馬の扱いだ。同週・同距離の大一番ではなくこちらに出る牝馬というのは、ほぼ例外なく桜花賞を賞金不足で弾かれる勢力だが、今年は桜花賞の賞金ボーダーが極めて高い異常事態であり、力のある馬が数頭こちらに回る見込みだ。
データでは牡馬【10-8-8-101】に対し、牝馬は【0-2-2-20】。やはり牡馬有利に違いないが、牝馬も主力級の18頭がいない割には善戦ともいえる。牝馬のうち「前走OPか重賞で3・4着」、ざっくり言うと惜しくも権利取りに失敗した組は【0-1-2-3】で複勝率50.0%。クイーンC3着のモリアーナ、チューリップ賞4着のルミノメテオールはまさにこのパターンで、例年以上に警戒が必要だ。
前走クラス別成績はこれといった決め手なし。母数の多い1勝クラス組がやや苦戦していて、GⅢ・GⅡ組が若干いい程度。おおよそレースのレベルと連動する形で手掛かりにならない。ドルチェモアの該当する前走GⅠ組は【0-0-0-1】だが、20年ペールエール(朝日杯FS16着→NZT15着)しか例がないので判断できず。
前走距離別で見ると、同距離≒距離短縮>距離延長といった好走率になるが、回収率が高いのはファルコンS組を中心とした距離延長組。本来歓迎材料ではないものの、馬券を買う側が必要以上に避けているということか。
延長組のうち、前走で0.5秒以上負けていた馬は【0-0-1-30】、こちらは消し。それを除けば【4-2-3-25】で単回収率225%、複回収率183%と妙味ありだ。
冒頭で「異例」と述べたドルチェモアについて、参考になりそうなデータを探してみる。前年朝日杯FSでの着順別にこのレースでの成績を確認すると、朝日杯5着以内馬(実態は2~5着馬)は【2-1-2-4】複勝率55.6%、6~9着は【1-1-1-4】同42.9%、10着以下は【0-0-0-9】で馬券絡みなし。キレイに相関が出ていた。また、2頭だけ出走した朝日杯2着馬はショウナンアチーヴが勝利、アルマワイオリが3着という結果であった。ドルチェモアも大崩れは考えにくい。
穴はサンライズジーク
「関西馬優勢」「前走OPか重賞で3、4着の牝馬」「距離延長組に妙味あり」「前年朝日杯好走馬を順当に」などのポイントを踏まえて、ここからは各馬の分析に移る。
まずはドルチェモア。ここまで3戦3勝のGⅠ馬で、レースセンスの高さが際立つ先行タイプ。初コースとなる中山も苦にしないだろう。関西馬であり、データ的に強いのはここまで述べた通りだが、あくまで今回はNHKマイルCに向けた叩き台であることも確か。100%の仕上げを施してくるわけではあるまい。
もうひとつ気になる点として、朝日杯FSの勝ち時計1.33.9は阪神移転後・良馬場での8回中、5位タイという記録。ハイペースだった割にはタイムが出なかった。ドルチェモアと2着ダノンタッチダウンがまだ次戦を迎えていないとはいえ、朝日杯組はその後重賞にのべ9回出走して馬券絡みなしという寂しい数字。レースレベルには若干の疑問符が付く。断然の1強と決めつけるのは少し怖い。
前走クイーンC3着のモリアーナは、コスモス賞でドゥアイズを破った実力馬。阪神JFはハイペースの外目を引っかかりながら先行して苦しくなったが、差しに回った前走は1.33.1で走破してハナ・クビ差。桜花賞は残念ながら除外が確定的だが、こちらに回ってくればドルチェモアを食う可能性もある。
全日本2歳優駿の2着馬オマツリオトコは、芝では函館2歳S3着の実績があるものの、当時は稍重で1.11.8の低速決着が味方した感じ。父ヴィットリオドーロ、母マツリバヤシ、母父スマートボーイというコテコテのダート血統で、芝をこなすイメージは正直湧かない。
最後にデータの強い関西馬から1頭穴を挙げるならサンライズジーク。これまでの2勝はダートだが、父は「ダートより芝」の傾向が顕著なエピファネイア、母は芝に転向して秋華賞3着のプロヴィナージュという血統。自身も芝に転じてパフォーマンスを上げるのではないか。
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