【桜花賞】やはり中心はリバティアイランド 穴はチューリップ賞敗退組とクイーンC1、2着
勝木淳
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なぜか1番人気が勝てない
本番までの消耗を軽減させ、その後も長く活躍させるためにも、賞金を加算できればレースを使わずにGⅠまで待機する。グランアレグリアやソダシ、サトノレイナスが結果を出したことで、ローテ革命は大きく前進した。クラシック主役級は前哨戦を使わなくなり、トライアルの優先権をほかに譲り、これまでは出走馬決定順の下位で参戦していた。
しかし今年は賞金水準が高く、リバーラが回避するまで阪神JF2着シンリョクカが除外対象という事態に。重賞の数が増えたわけではないが、シンザン記念からライトクオンタム、近年はオークス照準が目立つフラワーCからエミューが参戦、さらに2勝+重賞2着のメイクアスナッチ(除外対象)、3勝馬キタウイングなど例年より層が厚い。収得賞金1700万円のシンリョクカでもギリギリ出走枠に滑り込みとなると、ローテへの考え方もまた変わっていくだろうか。過去10年分のデータを使用して展望する。
桜花賞の1番人気は【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%とちょっと不振。勝利したのは14年ハープスターが最後。いや、アーモンドアイ、グランアレグリア、ソダシがいるじゃないかと思うが、三冠牝馬デアリングタクトを含め、これらはすべて2番人気【4-3-0-3】勝率40.0%、複勝率70.0%だった。今年のリバティアイランドは直前で2番人気になったりしないだろうから、9年ぶりの勝利となるか注目だ。
馬券妙味は7番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、8番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%あたり。3番人気以内【6-8-3-13】なので、上位人気から少し穴目を狙っても面白い。
キャリアの傾向は2戦【1-0-0-7】勝率、複勝率12.5%、3戦【3-5-2-20】勝率10.0%、複勝率33.3%、4戦【3-3-5-34】勝率6.7%、複勝率24.4%、5戦【2-2-2-39】勝率4.4%、複勝率13.3%で、6戦以上【1-0-1-48】。エミュー、キタウイングの3勝馬はキャリア6戦で分が悪い。
チューリップ賞敗退、巻き返しの法則とは
それではここから各馬の分析に入る。各トライアルを中心に前哨戦のデータを探りつつ、振り返ってみたい。
まず前走阪神JF【1-2-0-3】勝率16.7%、複勝率50.0%から。1着だと【1-1-0-0】、14年レッドリヴェール2着、21年ソダシ優勝。リバティアイランドも崩れなさそうだ。2着は【0-1-0-1】。
なんといっても昨年の阪神JFは序盤600m33.7で入り、前半800m45.2のハイペースだった。後半800m47.9、最後600m36.1、最後400m12.5-12.5と時計がかかり、リバティアイランドの末脚が目立ったのは先行勢が苦しくて下がっていったことも影響した。だが、リバティアイランドの上がり3ハロン35.5は3位の記録であり、要はしっかり前半から位置をとって流れに乗せていた分の勝利。言いかえれば、ハイペースを追走しつつ、末脚を温存しており、総合力が高いといえる。進路取りも含め、やはり世代では抜けている。
次にGⅡ昇格後はちょっと勢いがないチューリップ賞【4-8-6-30】勝率8.3%、複勝率37.5%について。着順別成績では優先出走圏内の3着以内【4-5-3-18】、5着以下【0-3-3-12】。上位は1着【1-2-1-7】勝率9.1%、複勝率36.4%より3着【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%に注意したい。今年ならモズメイメイよりエフフォーリアの妹ペリファーニアとなる。
また負けた組も2、3着にはしっかり組み込んでいきたい。5着以下から巻き返した6頭は以前に重賞またはオープン勝ちがあった。キタウイング、ドゥーラに除外対象ダルエスサラームもこのデータに合致しており、穴はここらではないか。
今年のチューリップ賞は序盤600m35.2、前半800m47.5のスロー。後半800m46.5、最後600mは11.3-10.9-11.9でモズメイメイが絶妙なペースを刻んで逃げ切った。やはり後方から上がり2位タイを記録したキタウイングや不利があったドゥーラに目が行ってしまう。またデータ通り、リズムを乱しながら3着に入ったペリファーニアも面白い。
ほかのトライアルではフィリーズレビュー【1-0-2-46】勝率2.0%、複勝率6.1%は1着【0-0-0-11】、2着【1-0-2-6】、3着以下【0-0-0-29】で、シングザットソングよりムーンプローブがいい。今年も序盤600m33.2、最後600m35.8と短距離戦寄りのハイペース。マイル戦への対応でいえば、同距離2勝のムーンプローブだろう。なお、アネモネS組は【0-0-0-22】と全敗している。
最後にGⅠとトライアルを除いた重賞について前走着順別成績をみる。1着【1-0-2-13】勝率6.3%、複勝率18.8%、2着【1-0-0-9】勝率、複勝率10.0%、3着以下【0-0-0-10】。前走2着の1勝は昨年のスターズオンアース、クイーンC2着から桜の女王に輝いた。
クイーンC組は1着ハーパーと2着ドゥアイズが候補。今年は序盤600m34.5、前半800m46.2、後半800m46.9、最後600m35.1で1.33.1。スローの上がり勝負ではなくバランスがとれており優秀だった。ハーパー、ドゥアイズどちらも好位から最後まで粘り切った。ハーパーの馬体重12キロ減は気になるが、今年も馬券に組み込んでおきたい。
それからシンザン記念を勝ったライトクオンタムもデータ通り注目だ。シンザン記念勝ち馬といえば18年アーモンドアイと同じ。牡馬相手にマイル重賞を勝った時点で評価をしないといけない。今年は7頭立てながら序盤600m34.8、前半800m46.3、後半800m47.4、最後600m35.6のタフな競馬だった。中団から上がり34.6を繰り出し豪快に差し切ったライトクオンタムはクイーンC組と同じくGⅠのタフな流れにも対応できる。
ただし、キャリア2戦目で少頭数の競馬だったので、18頭立てへの対応は未知数。2着ペースセッティングが14頭立てファルコンSで逃げずに11着だったように、能力があったとしても多頭数の競馬に対応しきれないかもしれない。
エミューのフラワーCは【0-0-0-8】。詰まったローテは以前ほど機能していない。まして道悪を差し切っての勝利であり、よほど馬場が渋った際に買い目に入れればいいのではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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