【阪神牝馬S】有馬記念4着イズジョーノキセキが断然 迫るのはウインシャーロットとコスタボニータ

勝木淳

阪神牝馬Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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7年で5勝のディープインパクト産駒

古馬牝馬路線は春秋で距離適性が大きく異なる。春の目標は東京のヴィクトリアマイルであり、そこから安田記念、宝塚記念へと枝分かれしていく。当然、中距離中心の秋とは適性面で主役が変わっていく。実際、条件がマイルに変更された2016年以降、阪神牝馬Sで前走エリザベス女王杯組は【0-0-0-3】、10、5、2番人気ですべて着外に敗れている(昨年のアカイトリノムスメは競走除外)。さて、今年は有馬記念4着イズジョーノキセキが出走予定。マイル戦への対応の見極めはカギになる。データはマイル戦になった過去7年分を使用する。

過去7年阪神牝馬S人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【2-2-1-2】勝率28.6%、複勝率71.4%、2番人気【2-1-1-3】勝率28.6%、複勝率57.1%が強力で、3番人気【0-1-0-6】複勝率14.3%が不振だが、4番人気【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%と上位人気中心のレースだ。8番人気以下の伏兵が割り込んでくる余地はあるものの、基本的に4番人気以内を中心に組み立てるべきだろう。

過去7年阪神牝馬S年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【3-5-2-30】勝率7.5%、複勝率25.0%、5歳【3-2-2-27】勝率8.8%、複勝率20.6%が中心だが、6歳【1-0-3-11】勝率6.7%、複勝率26.7%は複勝回収率212%なので、穴に一考しておこう。イズジョーノキセキは6歳、こちらはやや気になるところだ。

過去7年阪神牝馬S種牡馬別成績,ⒸSPAIA


阪神マイルの傾向をこのレースも顕著に引き継いでおり、ディープインパクト産駒は【5-3-3-14】勝率20.0%、複勝率44.0%。7年で5勝だから圧倒的だ。今年は昇級初戦で3連勝中のルージュスティリアがいる。勢いそのままに血統の力で突破できるか注目だ。なお、ディープインパクト産駒で昇級戦だった馬は【1-1-1-2】、21年1番人気デゼルが勝ち、18年レッドアヴァンセが11番人気2着、17年3着ジュールポレールは次走のヴィクトリアマイルで3着だった。


上がり馬ならコスタボニータも侮れない

ディープインパクト産駒ルージュスティリアに注目しつつ、イズジョーノキセキなどについて戦歴別に好走傾向をみていくことにする。

過去7年阪神牝馬S前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績から前走GⅠ【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%について。イズジョーノキセキが該当する前走有馬記念は【1-1-0-0】。17年ミッキークイーンが有馬5着から1着へ、20年スカーレットカラーが有馬15着から2着へ巻き返した。中距離っぽい馬であっても、前走有馬記念だとここでも走る。まして4着と好走したイズジョーノキセキは軽視できない。1800mの府中牝馬Sを上がり33.3で勝っており、スローの決め手比べならばマイル戦に対応できる。

過去7年阪神牝馬S前走GⅢレース別成績,ⒸSPAIA


次に前走GⅢ【4-3-6-34】勝率8.5%、複勝率27.7%について内訳を見ると、牝馬限定重賞は1400mの京都牝馬S【2-1-2-14】勝率10.5%、複勝率26.3%、1800mの中山牝馬S【1-0-0-8】勝率、複勝率11.1%、2000mの愛知杯【0-2-2-2】複勝率66.7%。牡馬相手のマイル戦東京新聞杯が【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%と好成績だ。今年は8着ピンハイが該当するが、ここは1着【1-0-1-0】、2着以下【0-0-0-4】でやや気になる。しかしピンハイはチューリップ賞2着を含め、阪神【2-1-0-2】、着外2回はともにGⅠというコース巧者であり、芝1800m西宮Sでは上がり33.0の決め手を繰り出した。

京都牝馬Sは3着以内【2-1-1-4】、4着以下【0-0-1-10】で、2着ウインシャーロットを素直に評価したい。その京都牝馬Sは前半600m35.1、後半600m33.9と同馬がスローの決め手比べを演出した。昇級後はリステッド勝利、重賞2着2回と崩れていない。21年4月未勝利勝ち以降、すべて2着以内の超堅実派でもあり、今回も先行力を武器に粘り込みを狙う。

愛知杯は9着アンドヴァラナウトが出走予定。着順内訳は1着【0-1-0-0】、3着【0-0-1-0】、10着以下【0-1-1-0】。アンドヴァラナウトは当てはまりこそしないが、大敗からの巻き返しもみられるので、着順を鵜呑みにして切ることはできない。

過去7年阪神牝馬S前走3勝クラス距離別成績,ⒸSPAIA


最後にルージュスティリアやコスタボニータが当てはまる前走3勝クラスについて距離別成績をみる。ルージュスティリアが該当する1600mは【0-1-1-8】複勝率20.0%、コスタボニータの1800mは【1-1-0-1】勝率33.3%、複勝率66.7%でデータ上はコスタボニータも負けていない。人気を考えると妙味はこちらにある。

阪神牝馬Sのデータインフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。



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