三木俊幸

ジャパンカップの題字
東京競馬場の国際厩舎を使用
今年のジャパンCにはフランス、ドイツから合計4頭の外国馬が参戦する。東京競馬場の内馬場に新たに国際厩舎が完成したことによって、空港から直接競馬場への入厩が可能となったことは大きなメリット。どの陣営からも歓迎の声が上がっていた。
11月24日(木)の調教は空が明るくなり始めた6時にスタート。まずはフランス勢のオネストとシムカミルが同時に馬場入り、その後グランドグローリー、消毒作業を挟んで最後にドイツのテュネスの順で行われた。
調教終了後に調教師と騎手が登壇した公式会見の模様に加え、外国馬4頭に関連する過去のデータとあわせて紹介する。
道中いかに脚を溜められるか オネスト
オネスト(フランス) 牡3歳
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
今年の春はフランスダービーで後の凱旋門賞2着馬で欧州最優秀3歳牡馬に選ばれたヴァデニの5着に終わる。その後のパリ大賞では最後方追走から差し切ってGⅠ制覇。秋の愛チャンピオンSでは僅差の2着に敗れたが、ヴァデニに先着した。パリ大賞で負かしたシムカミルがその後、ニエル賞を勝利している点なども考慮すると欧州3歳の中では上位の一頭だ。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
木曜日の調教ではルメール騎手が騎乗して感触を確かめた。重苦しさは感じず、リラックスして環境に馴染んでいるように映った。調教内容が軽い点が懸念されるが、シャペ調教師によると「良いコンディションを保っているので、これ以上強い調教をする必要はありません」とのこと。
ルメール騎手は、良馬場に適性があると分析。ラスト300mで末脚を発揮できるようにいかに道中脚を溜められるかが今回のレースのポイントになるだろうと語っている。
ルメール騎手は、過去10年のジャパンCで【2-2-0-4】と好相性。今回オネストは1枠2番からスタートするが、「1枠」では【1-1-0-0】と連対率パーフェクト。この2回はいずれも3歳馬でのもので強力なデータの後押しがある。
フレッシュな状態 シムカミル
シムカミル(フランス) 牡3歳
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
パリ大賞では逃げてしぶとく粘るも、ゴール前でオネストに交わされて2着に敗れた。しかし日本ダービー馬ドウデュースも出走したニエル賞では、3番手に控える競馬で勝利。重賞初制覇を達成している。凱旋門賞に向かわず、早い時点からジャパンCに照準を定めたローテーションは好感が持てる。しかしキャリア9戦で一度も良馬場で走っていないため、東京競馬場の高速馬場への対応がどうかという点が気がかり。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
単走、馬なりではあったがラストは強めに追い切られた。騎乗したブノワ騎手は「シムカミルは機嫌も良く、フランスからの輸送も問題なくこなせていてフレッシュな状態でした。直線での手応えも素晴らしかったです」と振り返る。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
馬場状態についてワッテル調教師は「良馬場を得意としている」とコメントするも、今朝(木曜日)のように前日に雨が降った後の良馬場になるとチャンスがあるのではないかと見立てる。ブノワ騎手も同様に「(雨予報の出ている土曜日に)雨が降りすぎて馬場が柔らかくなり過ぎないでほしい」との言葉も聞かれ、馬場状態に注文がつきそうな印象を受けた。
ブノワ騎手はJRAで21勝中、芝では11勝をマークしているが、「芝コース×先行馬」にスポットを当てると【8-4-2-21】、勝率22.9%、連対率34.3%、複勝率40.0%、単回収率339%、複回収率118%と圧倒的な好成績。先行タイプのシムカミルにとって歓迎すべきデータだ。
極端な枠を引かなければ勝算あり グランドグローリー
グランドグローリー(フランス)牝6歳
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
昨年のジャパンCは5着。当初はそこで引退予定だったが、6歳を迎えた今年も現役続行となった。プリンスオブウェールズSで3着、前走の凱旋門賞は5着と衰えは見られない。後方からレースを進めるタイプなだけに展開に左右されるが、硬い馬場から道悪まで馬場不問な点はセールスポイントだ。このレースを最後に社台ファームで繁殖入りする予定。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
前日の水曜日に追い切りを行なったため、馬場には出てきたが軽めにダートコースを1周したのみだった。
馬の状態について管理するビエトリーニ調教師は「かなり良い」と自信を覗かせる。輸送で5kgほど馬体を減らしたと語るが、これは輸送で大幅に馬体を減らす馬がいる中で「5kgしか減っていない」と言うニュアンスでの発言。精神面も良く、馬体の回復も早かったため順調だと言えそう。
馬場状態はどのような馬場でも対応できるが、重馬場で他の馬が能力を発揮できないと有利に働くのではないかと分析している。ベストな馬体重は470〜480kgと語った。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
騎乗するギュイヨン騎手は「極端な枠を引かなければ、勝算は十分ある」とコメントした。引き当てたのは3枠5番、希望通りの枠順となった。
過去10年における牝馬の成績を見ると、「馬体重460〜479kg」で出走したケースが【3-1-1-8】、勝率23.1%、連対率30.8%、複勝率38.5%。陣営が理想とする馬体重で出走してきた場合は、昨年以上の結果もあるかもしれない。
良馬場でなければチャンスがある テュネス
テュネス(ドイツ) 牡3歳
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
今年の春は全休したが、8月の条件戦を6馬身差で勝利。その後は独セントレジャーを8馬身差、バイエルン大賞を10馬身差と圧勝して参戦してくる。血統面でも、昨年の凱旋門賞馬トルカータータッソの半弟という良血馬。まだキャリアは6戦で未知な面が多いが、不気味な雰囲気を醸し出す。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
他の3頭と比較して、国際厩舎内の馬場で入念に時間をかけて運動しているのが特徴。8時15分にダートコースに出てくると、これまで6戦全てで騎乗している主戦のムルザバエフ騎手を背にキャンターで調整された。
騎乗した感触については、「今朝の調子は全て良好です。機嫌も良く、コンディションもとても良い」と満足している様子。ジャパンCの手応えに関して「非常に素質のある馬だと思っています。日本の馬も強い馬が多いと思っていますが、勝算はある」と自信を見せている。
また、馬場状態について問われたシールゲン調教師は「近2走は重、不良馬場だったので、ジャパンCが良馬場でなければチャンスがあるかな」と回答した。
過去10年で「キャリア6戦以下」で出走した馬は【1-1-2-2】、勝率16.7%、連対率33.3%、複勝率66.7% 。少ないキャリアでこの舞台にたどり着けるのは稀なケース。こちらも侮れない一頭だ。
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