【セントライト記念】ダービー3着アスクビクターモアなど春の実績馬優勢  穴候補は関西馬セイウンハーデス

勝木淳

セントライト記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

関西馬は穴狙いで

菊花賞トライアルのセントライト記念は年々、その存在感を増しつつある。昨年は菊花賞馬タイトルホルダーだけではなく、2着ソーヴァリアントは次走チャレンジCを勝利した。今年の菊花賞は春二冠馬はおろか、連対馬すら不在。上がり馬にもラスト一冠を勝ちとるチャンスはある。ただし、セントライト記念は翌週の神戸新聞杯と比べると、やや上がり馬には辛いレース。その点も踏まえ、傾向をじっくりみていきたい。なおデータは過去10年分(ただし14年は新潟)を使用する。


過去10年セントライト記念人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【4-3-0-3】勝率40.0%、複勝率70.0%。18年レイエンダを除き全馬春の重賞勝ち馬。昨年のタイトルホルダー13着など思わぬ大敗もあるが、基本的には信頼できる。今年もダービー3着アスクビクターモアは中山3勝のコース巧者。崩れたのは皐月賞5着だけという堅実派だ。その分、2番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%以下はやや混戦模様。9番人気1勝、10番人気以下も3着以内ならありうる。


過去10年セントライト記念所属別成績,ⒸSPAIA


牡馬クラシックは牝馬とは異なり、菊花賞だけが関西。西に神戸新聞杯が次週に組まれていることもあり、関東馬【7-6-6-72】勝率7.7%、複勝率20.9%に対し、関西馬【3-4-4-45】勝率5.4%、複勝率19.6%と関東馬が基本的に優勢。しかし本番が地元なのに、わざわざ関東に輸送する。その意図はくんでおきたい。というのも関西馬で馬券になった11頭は14、6、10、2、6、3、1、6、8、1、4番人気と穴馬が目立つ。一見、実績馬と開きがあると評価される関西馬ほど怖い。穴馬を探すなら関西馬を探るのもおもしろい。


上がり馬は好走データに一致せず

1番人気信頼、穴は関西馬。セントライト記念特有の傾向を頭に入れたところで、前走成績から具体的に好走候補を絞りたい。


過去10年セントライト記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績は前走GⅠ【6-5-5-24】勝率15.0%、複勝率40.0%が断然で、このうち日本ダービーは【6-5-4-21】勝率16.7%、複勝率41.7%。3着アスクビクターモア、8着オニャンコポン、11着セイウンハーデスなどが該当する。


過去10年セントライト記念前走日本ダービー組着順別成績,ⒸSPAIA


今年の日本ダービーは2.21.9のダービーレコード。これは馬場の恩恵も考えられるが、前半1000m58.9で入り、後半1000m59.0でまとめるバランスによるところが大きい。最後200m12.0でドウデュース、イクイノックスに捕まったものの、番手から一旦先頭のアスクビクターモアは文句なし。後半に極端なラップ上昇を必要としない中山得意は納得。昨年のタイトルホルダーに重なるところがある。その分、ここで作戦変更があるとイヤな予感もあるが、今回のメンバーであれば、まず崩れないだろう。日本ダービー3着は【1-0-0-2】勝率、複勝率33.3%。16年ディーマジェスティが勝利。

一方でオニャンコポンが該当する6~9着は【0-0-1-7】複勝率12.5%とやや頼りない。京成杯勝ち、皐月賞0.4差など強調材料はあるものの、ここは冷静に対処したいところだ。であればセイウンハーデスの10着以下【3-3-2-10】勝率16.7%、複勝率44.4%を狙いたい。上記の厳しい流れのなか中団前寄りから3コーナーで動いたセイウンハーデスの11着はむしろ割り切っていい。関西馬で中山初出走だが、速い上がりが使えるタイプではない分、中山にフィットしそうだ。


過去10年セントライト記念前走ラジオNIKKEI賞着順別成績,ⒸSPAIA


次に前走ラジオNIKKEI賞【2-1-1-11】勝率13.3%、複勝率26.7%について。こちらは日本ダービーよりもさらに極端で、勝つか負けるかのいずれか。2着【0-0-0-3】、2着に逃げ粘ったショウナンマグマには気になるデータ。一方で6着ボーンディスウェイが該当する6~9着は【0-0-1-1】複勝率50.0%。そのラジオNIKKEI賞は福島開幕週の良馬場。ボーンディスウェイはイン優位な状況で終始外を追走、勝負所も大外進出では伸びきれなかったか。全2勝が中山、弥生賞ディープインパクト記念3着とコース替わりも歓迎だ。また10着以下も【1-0-0-2】。昨年、アサマノイタズラがラジオNIKKEI賞12着から巻き返し、9番人気1着と穴を開けた。これに当てはまるベジャールは、春に毎日杯2着があり、アサマノイタズラとなんとなく重なる部分もある。


過去10年セントライト記念前走条件戦組距離別成績,ⒸSPAIA


最後に前走条件戦組、いわゆる上がり馬について。距離別成績では同距離【0-1-0-11】複勝率8.3%、距離短縮【0-0-0-13】。菊花賞に向けて期待できる距離で勝ちあがった組はここでは振るわず、距離延長が【2-3-2-43】勝率4.0%、複勝率14.0%。内訳は1800m【2-0-2-9】勝率15.4%、複勝率30.8%、2000m【0-3-0-31】複勝率8.8%。後者に該当するのはガイアフォースなど。今年はデータ上、実績上位馬優勢といえる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


セントライト記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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