【京成杯AH】「栗東所属の5歳」「牝馬」が中心 近4年で3連対のデータに合致するミスニューヨーク

門田光生

2022年京成杯AH、過去10年の年齢別成績,ⒸSPAIA

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5歳馬が中心

2022年9月11日に中山競馬場で行われる第67回京成杯オータムハンデ(京成杯AH)。過去10年にマイルの日本レコードが2回も更新されるという、超高速決着のレースとして有名でもある。レコード決着時の決まり手は、逃げ切りと追い込みだったが、それを含めて、このレースはどのような傾向があるのだろうか。今回も過去10年の成績を基にしてデータ検証していきたい。

京成杯AH出走馬の所属,ⒸSPAIA
京成杯AH出走馬の性別,ⒸSPAIA
京成杯AH出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
出走頭数は東西で大きな差はなく、またお互いが10連対と拮抗。1着馬は美浦所属馬が6頭で、勝率では美浦所属馬が少し上回っている。なお、栗東所属馬は連対馬10頭中、8頭が4歳か5歳馬だった。

性別では、牡馬・セン馬が【7-5-10-101】勝率5.7%、連対率9.8%で、牝馬が【3-5-0-23】勝率9.7%、連対率25.8%。牝馬の方が勝率で約2倍、連対率は約2.5倍となっている。

年齢別で見ると、5歳馬は【5-5-2-39】。勝利数、連対数、勝率、連対率のすべてでトップだ。5歳が中心と考えていいだろう。また、3~7歳馬のうち、6歳馬だけ勝ち馬が出ていない。

京成杯AH出走馬の主な前走,ⒸSPAIA
京成杯AH出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆前走と前走クラス
GⅢ組は【5-7-7-68】で12連対。特に関屋記念は【2-5-4-47】で7頭が連対している。出走頭数も多いが、ここ5年で3回このレースから連対馬が出ていることから、今年も連対する確率は高いと考えていいだろう。また、3勝クラスからも3頭の勝ち馬が出ている(今年は該当馬なし)。逆にGⅠ、GⅡ組からは1頭しか勝ち馬が出ていない。格はそれほど気にしなくていいようだ。

京成杯AH出走馬の前走着順、前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順、前走人気
勝ち馬10頭中、8頭が前走1着か2着だった。また、前走3~5着から勝ち馬は出ていない。前走クラスのデータと合わせて、格より勢いのレースといえるだろう。前走人気に関しても、1、2番人気に支持されていた馬の勝率が20%を超えている。これが3~5番人気だと勝率が3%台まで落ちてしまう。

京王杯AH出走馬の前走脚質,ⒸSPAIA


☆前走脚質
冒頭でレコード決着が出た際の勝ち馬の脚質は、逃げ、追い込みと書いたが、このレース自体の決まり手に大きな差はなかった。ただ、前走でどんな競馬をしたかを調べてみると、差し馬が7勝(12連対)と結果を残している。なお、追い込む競馬をした馬は連対率こそ10.8%と悪くないが、勝率は2.7%で物足りない。

京成杯AHにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まず種牡馬ではロードカナロア産駒、特に牝馬が2戦2勝。といっても2019年、2020年と連覇したトロワゼトワルのもので、今年は登録馬なし。逆に詰めが甘いのはディープインパクト産駒で【1-7-1-13】。高速決着のマイル戦には強いはずなのだが、2着の多さが気になる。

騎手では、田辺裕信騎手が3勝(4連対)、横山典弘騎手が3勝(3連対)、そして戸崎圭太騎手が2勝(4連対)。ここ10年、この3人で8勝を挙げている。またすべての年でこの3人のうち、誰かが連対している。なお、ハンデに関しては顕著な傾向はみられなかった。

条件揃ったミスニューヨーク

京成杯AHのデータをまとめてみよう。まず勝率、連対率が上がるパターンはA「栗東所属の4、5歳馬」B「牝馬」C「前走が関屋記念」D「前走1、2着」E「前走1、2番人気」F「前走が差す競馬」G「田辺、横山典、戸崎騎手が騎乗」

勝率、連対率が下がってしまうのはH「6歳馬」I「前走がGⅠ」、2着止まりのケースが多いのはJ「ディープインパクト産駒」。

今回はマイナスデータが少ないので、プラスデータを多く持つ馬から順に検証してみる。まずBEFに該当するコムストックロード(セントウルSにも登録)と、ABEに該当するミスニューヨーク。コムストックロードの前走は福島テレビオープン(オープン・芝1200m)だった。前走福島組は2勝を挙げているので問題ないが、1200mを使っていた馬は未勝利。またオープン経由組は勝率、連対率ともに他路線より見劣るのが難点だ。

一方のミスニューヨークだが、過去に「栗東所属」「5歳」「牝馬」の3項目すべてに該当する馬の成績は【1-2-0-4】。サンプルは少ないながら優秀な数字を残している。しかも連対した3頭はここ4年でのものだし、5歳牝馬に関しては4年連続で連対中。近年のトレンドでもあり、こちらが本命にふさわしい。コムストックロードは対抗とする。

以下の順番付けだが、牝馬でなくても「栗東所属の5歳馬」は勝率、連対率ともに優秀で、これに該当するファルコニアとベレヌスは押さえたいところ。ファルコニアはこのレースで2着が多いJ「ディープインパクト産駒」。ベレヌスは過去10年で8勝をあげているD「前走1、2着」に該当する。よって▲ベレヌス、△ファルコニアの順番にした。

あと1頭挙げるならシュリか。ここ5年で3回連に絡んでいる関屋記念組(今年はこの馬だけ)で外せないところ。10年で未勝利のH「6歳馬」に該当するのは気になるが、2着は3頭いるので連なら問題ないだろう。

◎ミスニューヨーク
◯コムストックロード
▲ベレヌス
△ファルコニア
×シュリ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
「歳をとると食べることだけが楽しみ」とかいう話を聞いたことがありますが、まさにその状態になりつつあります。仕事とはいえ、競馬だけは興味を持ち続けられているのは救いなのかもしれません。

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