【中京記念】狙いは小倉巧者 コース傾向に合致するミスニューヨーク、穴馬ワールドウインズ
勝木淳
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機動力が必要な小倉芝1800m
サマーマイルシリーズは初戦の米子Sをウインカーネリアンが勝利し、幕を明けた。ここから中京記念、関屋記念、京成杯AHと続く。
第2戦・中京記念は7月開催が中京から小倉に振り替えられた影響で、小倉で行われる。ところが、小倉芝にマイル戦はなく、サマーマイルシリーズにもかかわらず、昨年に続き芝1800mが舞台になる。そのためマイルシリーズ転戦組に小倉芝1800m巧者の器用な中距離型も加わり、当然、難易度は上昇。コースデータを頭に入れて、きっちり仕留めたい。ここでは2012年以降、3勝クラス以上の小倉芝1800m33レースをもとにコース傾向をつかむ。
小倉というと、波乱のイメージが強い競馬場だが、芝1800mの高額条件はイメージほど荒れない。1番人気【9-6-5-13】勝率27.3%、複勝率60.6%と堅調。以下、2番人気の勝率はやや低いものの、3~5番人気は勝率15%台、複勝率は2~5番人気が30%台で横一線。比較的上位人気の好走確率が高い。もちろん10番人気以下も【2-5-4-123】勝率1.5%、複勝率8.2%でなくはないが、複勝率24.2%の8番人気までで決まるケースが多い。混戦模様だった昨年の中京記念も終わってみれば1、6、5番人気。波乱はなかった。
次に血統面について、種牡馬別成績をみる。小回り小倉でも芝中距離となると、ディープインパクトが【6-6-7-28】勝率12.8%、複勝率40.4%と着度数別でトップ。そこに機動力のあるタイプが多いダイワメジャー【3-1-2-14】勝率15.0%、複勝率30.0%やキングカメハメハ【2-3-1-23】勝率6.9%、複勝率20.7%が続く。なおドゥラメンテ【2-0-0-0】はすべてアリーヴォの記録であることは注意だ。
ディープ産駒は前走マイラーズC3着ファルコニアなどがスタンバイ。一方で、対抗格の前走米子S2着カイザーミノルのロードカナロアは【0-0-0-5】と結果が出ていない。下級クラスも含めた古馬全クラスでも【2-1-3-32】勝率5.3%、複勝率15.8%と振るわない。微妙に距離が長いからだろうか。
夏開催は特に先行優位
ダイワメジャーやキングカメハメハといった器用な産駒が多い種牡馬がディープインパクトに続くように、小回りの小倉芝1800mは機動力が必要になる。
そこで位置取り別成績を出す。逃げ【4-3-2-25】勝率11.8%、複勝率26.5%、先行【13-11-10-78】勝率11.6%、複勝率30.4%と前に行ける馬が優勢。中団は【6-17-14-117】勝率3.9%、複勝率24.0%、後方【7-1-6-107】勝率5.8%、複勝率11.6%と後ろに控えるほど確率が下がる。後方から進める馬であれば、先に動くまくり【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%がいい。コーナーで加速する力が求められる。
これを野芝のみで行われる7、8月に限定すると、逃げ【1-2-1-8】勝率8.3%、複勝率33.3%、先行【7-6-1-26】勝率17.5%、複勝率35.0%と前に行ける馬がさらに上昇する。基本的に高速トラックの小倉は夏開催では超がつくほどの高速馬場。中距離戦もまず先行力がないと苦しい。昨年も勝ったのは4コーナー2番手にいたアンドラステ。馬券のアタマを固定するなら、先行馬から選びたい。
前走成績から浮上する小倉巧者たち
小回り特有の先行力が必要という基本的な部分を改めて確認したところで、ここからは前走距離に注目し、具体的に好走パターンに一致する馬を探したい。
スピード優先ではあるものの、前走が1800mより短い延長組は【3-4-10-82】勝率3.0%、複勝率17.2%と苦しく、同距離【11-14-5-87】勝率9.4%、複勝率25.6%、前走が1800mより長かった短縮組【19-15-18-161】勝率8.9%、複勝率24.4%が好成績。ついていけるスピードの持ち主であれば、スタミナに余裕がある距離への短縮で、かえって楽になる。米子Sからくるマイルシリーズ転戦組にとってわずか200mの距離延長が勝負。昨年の中京記念は1、3着が距離短縮、2着は延長組だった。
まずは同距離組について。前走での着順をみると、前走1着は【1-5-1-19】勝率3.8%、複勝率26.9%と昇級が絡む関係で成績を落とすが、2着【1-2-0-4】勝率14.3%、複勝率42.9%、3着【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%など2~4着と好走した馬が優秀。メイS3着ワールドウインズが該当する。小倉2勝のコース巧者だ。
短縮も基本的に考え方は同じ。こちらは前走1着【5-1-5-14】勝率20.0%、複勝率44.0%と勝った馬も優秀で、4着【3-2-1-5】勝率27.3%、複勝率54.5%までが好走範囲。小倉巧者ダブルシャープは前走都大路S2着でこれに該当。小倉大賞典こそ出遅れて7着と崩れたが、スタート五分である程度の位置につけられれば面白い。
人気のファルコニア、米子S組、マイルGⅠ組など上位人気馬の多くが当てはまる延長組について。ここは前走1400m以下【0-0-0-16】が足を引っ張っており、1600mは【3-4-10-64】勝率3.7%、複勝率21.0%で、2、3着に入る可能性はある。切るのは危険だ。
前走1600mのパターンを考えると、前走中団【1-1-4-18】勝率4.2%、複勝率25.0%、後方【1-3-2-19】勝率4.0%、複勝率24.0%で、マイル戦で比較的後ろから競馬した馬が狙い。距離が延びることで追走が楽になるようなタイプを探したい。カイザーミノル、ミスニューヨーク、カテドラル、ヴァリアメンテなどが該当する。ミスニューヨークはマイルのターコイズS勝ちこそあるが、昨年4着、中山牝馬S3着、小倉日経OP3着など小回り芝1800mの対応力も持ち合わせており、巻き返す余地はある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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