【桜花賞】ナミュール豪脚唸る 東大HCが阪神芝1600mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

阪神芝1600m,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は阪神芝1600mを舞台に牝馬クラシックの初戦、GⅠ桜花賞が行われる。「牝馬の国枝」の歴史に新たな1ページを刻みたい2歳女王サークルオブライフ、チューリップ賞を楽々と撫で切った豪傑ナミュール、クイーンC覇者プレサージュリフト、阪神JF好走組のラブリイユアアイズ、ウォーターナビレラなどが桜の女王の座を争う。

当該コースが舞台の重賞は6レース。GⅠは今週の桜花賞に加え、暮れの2歳最強マイラー決定戦の阪神JF・朝日杯FSの3レース、GⅡは桜花賞の最重要ステップレースであるチューリップ賞、今週土曜に行われる阪神牝馬S、GⅢは3着までにNHKマイルへの優先出走権が与えられるアーリントンCが行われる。

これらのレースに加え、2022年は京都競馬場改修などに伴う開催日割の変更を受けてさらに3つの重賞が開催される(GⅠマイルCS、GⅡデイリー杯2歳S、読売マイラーズC)。この阪神芝1600mについて、データを見ながら分析していこう。(使用するデータは特筆なき限り2017年4月8日〜2022年4月3日)。

まずはコース紹介。阪神芝1600mは2006年の改修によって誕生した外回りを使用する。向正面をスタートして3コーナー手前まで上り、4コーナーの途中まではほぼ平坦な道を進む。残り3ハロンあたりから400m程度の下り坂を迎え、ゴール前の急坂(高低差1.8m)を駆け上がるとゴールが待ち受ける。直線はBコース使用時で476.3m。

Bコース替わりに注意

阪神芝1600m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の枠別成績>
1枠【37-31-39-296】勝率9.2%/連対率16.9%/複勝率26.6%
2枠【30-29-36-321】勝率7.2%/連対率14.2%/複勝率22.8%
3枠【41-30-28-339】勝率9.4%/連対率16.2%/複勝率22.6%
4枠【35-35-28-362】勝率7.6%/連対率15.2%/複勝率21.3%
5枠【36-36-30-386】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率20.9%
6枠【36-50-38-385】勝率7.1%/連対率16.9%/複勝率24.4%
7枠【43-39-42-469】勝率7.3%/連対率13.8%/複勝率20.9%
8枠【33-37-48-518】勝率5.2%/連対率11.0%/複勝率18.6%

枠別成績では内がベスト、外に入るほどきれいに好走率が落ちていく。回収率ベースでも2枠の単勝回収率113%を筆頭にインが高水準をキープしている。

ただ、Bコース使用時の枠別成績はほぼフラットに近い数値に変貌するため注意が必要。折しも阪神は今週からBコース替わりで、2007年以降の桜花賞(全てBコース)では1~3枠が【2-2-5-79】複勝率10.2%、4~8枠が【13-13-10-143】複勝率20.1%と倍の差がつく。今週はむしろ外の馬をマークしておきたい。

阪神芝1600m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【36-28-23-202】勝率12.5%/連対率22.1%/複勝率30.1%
先行【124-117-103-728】勝率11.6%/連対率22.5%/複勝率32.1%
差し【101-102-116-1149】勝率6.9%/連対率13.8%/複勝率21.7%
追込【30-40-47-990】勝率2.7%/連対率6.3%/複勝率10.6%

脚質別成績では珍しく逃げよりも先行の複勝率が高く、後方待機勢の数字も悪くない。改修で誕生した肝いりの大箱コースとあって、ポジションの有利不利よりも馬の力がストレートに反映されている。当然、桜花賞もレッツゴードンキ逃げ切りのような年もあればマルセリーナ、ホエールキャプチャ、トレンドハンターが揃って後方一気のような年もあり、一見するとつかみどころに欠ける。

ただ若干のアドバンテージとなるのは末脚の爆発力。阪神JFから始まる同コースのヒロインロードで豪脚を披露してきた馬が堅実に好走している。2007年以降の桜花賞出走馬で、前走阪神芝1600mで2番人気以内の支持を受け、上がり2位以内の脚を使った馬は【3-4-1-1】複勝率88.9%で、今年の該当馬はナミュールただ一頭だ。

スーパーサイアー・エピファネイア

阪神芝1600m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の種牡馬別成績>
エピファネイア【11-13-9-59】勝率12.0%/連対率26.1%/複勝率35.9%
ミッキーアイル【5-1-1-21】勝率17.9%/連対率21.4%/複勝率25.0%
ドゥラメンテ【3-4-1-39】勝率6.4%/連対率14.9%/複勝率17.0%
ハービンジャー【7-9-5-94】勝率6.1%/連対率13.9%/複勝率18.3%

桜花賞に産駒が出走する種牡馬からはエピファネイアを推奨。複勝率はディープインパクト(同33.2%)をしのぎ、回収率も単勝:321%、複勝:138%と大幅なプラスを計上している。前走同距離組は【7-8-4-18】複勝率51.4%、さらに3番人気以内なら【5-6-2-4】複勝率76.5%で掲示板を外したケースがない。サークルオブライフはきっちり結果を残しそうだ。

ミッキーアイルは牡馬の【0-0-1-13】に対し、牝馬が【5-1-0-8】複勝率42.9%とデータに特異な偏りがある種牡馬だ。ともにトライアルを2着して本番に臨むナムラクレアとピンハイが登録。前者は好走馬の少ないフィリーズレビュー組、後者はキャリアの浅さが気になるものの、人気を落とすようなら拾っておいて損はない。

一方、ベルクレスタとスターズオンアースを送るドゥラメンテは微妙。ハービンジャーも全体成績は芳しくないが、7番人気以下の【0-1-2-62】が大きく数字を落としており、人気馬まで嫌う必要はないだろう。

阪神芝1600m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【21-16-12-33】勝率25.6%/連対率45.1%/複勝率59.8%
川田将雅【41-14-23-59】勝率29.9%/連対率40.1%/複勝率56.9%
武豊【13-20-9-87】勝率10.1%/連対率25.6%/複勝率32.6%
横山武史【1-1-0-8】勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率20.0%

騎手別成績ではルメール騎手と川田将雅騎手のツートップ。ルメール騎手は前走同距離組で【11-11-4-13】複勝率66.7%と荒稼ぎしており、距離延長・短縮組は若干格落ち。前走紅梅S(中京芝1400m)のフォラブリューテに騎乗予定とあってデータを鵜呑みにはしづらいところだが、ヒモとしての検討はしておきたい。川田騎手は1番人気で【27-3-12-12】と異常な勝ちっぷりを見せている。

ウォーターナビレラに騎乗する武豊騎手は複勝率3割超え。前走先行した牝馬に騎乗した際は【1-6-2-12】と勝ち切れないものの複勝率42.9%を記録している。兄弟タッグで桜の舞台にたどりついた同馬の好走に期待したい。

横山武史騎手はサンプルが少なく結果も出ていないが、10回の騎乗のうち4頭が11番人気以下であれば致し方なし。対照的に2番人気以内だったケースは2回、昨年のマイルCS2着のシュネルマイスター、今年のチューリップ賞1着のナミュールとともに連対している。高松宮記念と大阪杯の悪い流れを断ち切ってくれるだろう。

阪神芝1600m(外)コースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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