【大阪杯】いざスターダムへ、ジャックドール 東大HCが阪神芝2000mを徹底検証

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阪神芝2000m徹底検証,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は阪神芝2000mを舞台に、春古馬三冠の第1ラウンド・GⅠ大阪杯が行われる。見どころは現役最強馬エフフォーリアと5連勝中の上がり馬ジャックドールの同期初対決。他にも同レース連覇のかかる牝馬レイパパレ、エリザベス女王杯勝ち馬アカイイト、香港帰りの実力馬ヒシイグアスなど。ドバイに負けず劣らず魅力的なメンバーが仁川に集結する。

当該コースの重賞は4レース。春の中距離王決定戦として2017年よりGⅠに昇格した大阪杯、JRAの番組で3歳が古馬と対決する最初の重賞、鳴尾記念、極めて難解な牝馬ハンデ重賞のマーメイドS、年末開催の口火を切るチャレンジCが行われる。なお京都競馬場改修工事に伴う開催の変更に伴い、今年は鳴尾記念が中京芝2000mでの施行、GⅠ・秋華賞とGⅢ・京都2歳Sが阪神芝2000mでの開催となる(使用するデータは2012年3月31日~2022年3月27日)。

まずはコース形態。内回りコースが舞台で、コースの起伏は至ってシンプル。スタート直後に高低差約2mの上り坂。そのあとはバックストレッチ中盤まで800m程度平坦な道となっている。向正面半ほどから3コーナー、4コーナー、そして直線、ゴールまで200mの地点まで非常に緩やかな下りを進み、ここから再び坂を駆け上がる。直線の長さはAコース使用時で356.5m。

2枠が長らく不調の大阪杯

阪神芝2000m・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2000m・過去10年の枠別成績>
1枠【46-34-42-345】勝率9.9%/連対率17.1%/複勝率26.1%
2枠【39-43-51-359】勝率7.9%/連対率16.7%/複勝率27.0%
3枠【47-44-39-392】勝率9.0%/連対率17.4%/複勝率24.9%
4枠【35-44-47-416】勝率6.5%/連対率14.6%/複勝率23.2%
5枠【48-59-49-429】勝率8.2%/連対率18.3%/複勝率26.7%
6枠【62-50-62-463】勝率9.7%/連対率17.6%/複勝率27.3%
7枠【61-57-52-514】勝率8.9%/連対率17.3%/複勝率24.9%
8枠【56-58-49-546】勝率7.9%/連対率16.1%/複勝率23.0%

小回りコースとあって内の枠は好調だが、中からやや外の5、6枠も好調。一枚劣る7、8枠も大きな不利というほどの数字ではなく、極端な馬場の傾向がない限り枠はあまり気にする必要はないだろう。

しかし大阪杯は2枠の不調を覚えておく必要がある。前身の産経大阪杯時代を含む2002年以降の同レースで該当馬は【0-0-3-20】と連対がない。2016年、1番人気で4着に沈んだラブリーデイや、昨年も人気を集めたサリオスが5着に敗れるなど実力馬も飲み込まれている。堅めの決着予想が大半を占めるだけに、2枠に人気馬が入ればにわかに高配当のチャンスが生まれる。

阪神芝2000m・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2000m・過去10年の脚質別成績>
逃げ【78-54-36-237】勝率19.3%/連対率32.6%/複勝率41.5%
先行【166-157-153-853】勝率12.5%/連対率24.3%/複勝率35.8%
差し【105-131-128-1137】勝率7.0%/連対率15.7%/複勝率24.3%
追込【34-37-64-1194】勝率2.6%/連対率5.3%/複勝率10.2%

脚質別成績では逃げ、先行勢の良績が目立つ。GⅠが行われる芝中長距離のコースでは屈指のくっきりとした傾向で、前走4角3番手以内通過の馬を全頭買っても複勝率3割超え、単勝回収率102%とプラス域だ。困ったら前にいる馬を狙いたい。

重賞では逃げ、先行の複勝率が2割台後半、差しが【12-16-19-138】複勝率25.4%と偏りが少なくなる。ハイレベルなレースでの逃げは道中で後続の脚をどれほど削れるかがカギで、例として後続勢が進出を開始しやすいラストから3ハロン目のラップ(以下「L3」と表記)が11秒1以内だったレースでは4角先頭の馬が全て連対している。ジャックドールは近3走のL3が11秒0、10秒9、11秒0。コース形態の違いこそあれ、同コースに向くレーススタイルであることは間違いない。

ディープの庭、今年もレイパパレが走る

阪神芝2000m・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2000m・過去10年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【73-58-52-281】勝率15.7%/連対率28.2%/複勝率39.4%
エピファネイア【4-11-4-32】勝率7.8%/連対率29.4%/複勝率37.3%
モーリス【4-1-3-15】勝率17.4%/連対率21.7%/複勝率34.8%
ドゥラメンテ【6-5-4-21】勝率16.7%/連対率30.6%/複勝率41.7%

種牡馬別成績ではディープインパクトが抜けている。新馬【14-8-7-17】複勝率63.0%をはじめ、重賞でも【11-9-10-56】複勝率34.9%、単勝回収率114%とスキがない。

大阪杯には4頭の産駒が登録。GⅠ昇格後の6レース全てで1頭以上の該当馬が馬券圏内に好走しており、今年も無視はできない。同条件で3着以内に入った8頭中7頭が直近1年のGⅠで3着以内に入った経験があり、素直にレイパパレを評価したい。

エフフォーリアの父エピファネイアも4割に迫る複勝率で存在感を放つ。3番人気以内では【2-7-3-2】複勝率85.7%と実力上位なら軸としての信頼度は鉄板級。ただ上位陣の中では際立って勝率が低く、前を捕まえ切れずの2、3着付けで妙味を求めるのも一つの手だ。

ジャックドールとジェラルディーナ(除外対象)が該当するモーリスは2番人気以内【4-1-2-1】、3番人気以下【0-0-1-14】と明暗が分かれる。その他で怖いのは複勝率4割を超えるドゥラメンテ。武豊騎手を配したアリーヴォが不気味だ。

阪神芝2000m・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2000m・過去10年の騎手別成績>
川田将雅【52-32-34-87】勝率25.4%/連対率41.0%/複勝率57.6%
ルメール【24-19-5-50】勝率24.5%/連対率43.9%/複勝率49.0%
藤岡佑介【11-16-12-70】勝率10.1%/連対率24.8%/複勝率35.8%

騎手別成績では川田将雅騎手の独壇場。2017年から連続で年間複勝率6割超えを続けており、単勝回収率128%とケチのつけようがない。連覇のかかるレイパパレにとっては最高のパートナーが控えている。

次いで好調なのはルメール騎手で、乗り替わりでも【13-11-2-34】複勝率43.3%と数字を大きく落としておらず、依然警戒が必要。大阪杯には騎乗がないものの、特別戦などでは連系馬券でおいしいオッズが付くこともあり、注意を払っておきたい。

藤岡佑介騎手は平均騎乗馬人気の関係で上記2人には劣るものの、2021年は【3-6-2-6】複勝率64.7%を記録するなどここに来て数字を上げてきた。前走同距離組なら【7-10-4-20】複勝率51.2%と好材料になる。なお横山武史騎手は【1-0-0-3】とサンプルが少ないものの、唯一の勝利が単勝6.2倍で回収率は良好だ。

阪神芝2000mのコースデータ分析インフォグラフィック,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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