【弥生賞】ドウデュース、小回り中距離でさらに上昇 ディープインパクト産駒アスクビクターモアが穴候補

坂上明大

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粒揃いの好メンバー

皐月賞と同じ中山芝2000mで行われる最重要ステップ・弥生賞。ただ、少頭数のスローペースが多いのが弥生賞の大きな特徴で、先週のトラックバイアスも考慮するとポジション取りが非常に重要な一戦となりそうだ。最優秀2歳牡馬ドウデュースの走りにも注目したい。

【京都2歳S】
京都競馬場改修工事のため阪神芝2000mでの施行。連続開催の影響で馬場の傷みが強く、時計は掛かり気味であった。レースは少頭数の2歳中距離戦とあって、前半1000m62.8と緩い流れ。3角からペースが上がり、上がり3.5Fほどの末脚比べとなった。

1着馬ジャスティンロックは出遅れて後方からとなり、3~4角では大外をマクッていく形。距離ロスは相当大きかったが、直線は3頭での叩き合いを制して連勝での重賞勝ちとなった。勝ち時計は平凡だが、ビーアストニッシド(共同通信杯3着)、フィデル(ホープフルS4着)、ポッドボレット(すみれS1着)、ライラック(フェアリーS1着)などの相手関係を考慮すると、世代上位の評価が必要だろう。

無敗でのGⅠ制覇

【朝日杯FS】
連続開催の終盤のうえ、週中の降雨により非常にタフな馬場状態。内目の傷みも強く、インコースを大きくあける形でレースは行われた。展開は最内枠からカジュフェイスが先手を取り、前後半3F34.3-35.2の前傾0.9。ただ、当時はスタート直後に追い風を受けており、数字ほど厳しいペースではなかっただろう。展開による大きなバイアスは感じない。

1着馬ドウデュースはパドックから気配、馬っぷりの良さが目立ち、レースでも折り合いに苦労する馬が多い中で実に大人びた競馬っぷり。ハーツクライ産駒らしく馬体に甘い面は残るが、素材とレースセンスの良さを感じさせるGⅠ勝ちであった。Lyphardを4×4でインブリードしたハーツクライ産駒でもあり、小回り中距離戦への条件替わりもプラスに働きそうだ。

トラックバイアスに注意

2022年弥生賞ディープインパクト記念の参考レース,ⒸSPAIA



【ホープフルS】
馬場の傷みは強かったが、トラックバイアスは内有利と評価。レースはグランドラインが気風良く逃げて前後半1000m60.1-60.5。ただ、2番手以降は同60.7-59.9と例年のホープフルSと同程度のペースに。内の先行馬に有利なレースとなり、次点で内々で脚をタメた馬に向いた形だ。

3着馬ラーグルフは久々で14キロ増だが、太目感はなく成長分と評価。内枠から好位のインで流れに乗り、モーリス産駒らしいタフな走りで3着に粘り込んだ。ただ、1、2着馬には力差を見せつけられた形で、トラックバイアスに恵まれた感も否めない。

5着馬ボーンディスウェイは逃げ馬を追いかけず、マイペースで馬群を引っ張る形。展開が向いただけに、高い評価は与えられないか。

6着馬マテンロウレオは大外をグルッと回っての追い込み。4着馬フィデルや7着馬アケルナルスターと同程度の末脚を見せたが、通過位置を考慮すれば評価は本馬の方が高い。きさらぎ賞での巻き返しは当然の結果だろう。

最優秀2歳牡馬の始動戦

先週の中山内回りは内前有利が顕著。テンのスピードも考慮すれば、最優秀2歳牡馬ドウデュースの評価は下げられない。前哨戦とはいえ、恥ずかしい結果にはならないだろう。ジャスティンロックも素質は評価するが、スタートに課題あり。人気薄ではアスクビクターモアに注目。馬力と底力を補強したディープインパクト産駒で中山中距離戦はピッタリだ。

注目馬:ドウデュース、アスクビクターモア

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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