【フェブラリーS】南部杯連覇アルクトス、今年こそ! 参考レース分析からの注目馬は?

坂上明大

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連覇アルクトスの強さ

2022年、JRAでの最初のGⅠフェブラリーS。芝スタート、ワンターンの1600m、コーナー角が緩やか、直線が長いなど12月のチャンピオンズCとは相違点が多く、よりスピードの持続力が求められる条件だ。主役不在の顔ぶれでもあり、適性&調子の見極めが重要な一戦となるだろう。

【マイルCS南部杯】
日本レコードを計時した2020年ほど速くはないものの、不良馬場の脚抜きの良い馬場状態での競馬。レースは地方馬ワークアンドラブが先手を取ったが、3~4角でヒロシゲゴールドが先頭を奪い取り、直線は中央勢での叩き合いに。ラップは34.8-24.1-36.4程度。テンはやや速いが、中盤でしっかりと息が入っており、極端なバイアスのない展開であったか。

1着馬アルクトスは8枠16番からヒロシゲゴールドのすぐ外につけ、上がり3Fメンバー中3位タイの末脚で2馬身半抜け出して連覇達成。稍重~不良馬場で7戦5勝2着1回の高速馬場巧者で、大トビのストライド走法から大箱マイルコースもピッタリだ。フェブラリーSでは展開不利を受け続けているが、流れが向けばいつ好走しても不思議ない実力馬だ。

3着馬ソリストサンダーは8枠15番からアルクトスのすぐ後ろにつけ、同馬と同程度の上がり3F時計を計時。次走の武蔵野Sも制しており、1600mでは【1-3-1-1】と安定したパフォーマンスを披露している。

4着馬インティは先頭集団からやや離れた中団で脚をタメる形。直線は上がり3F最速の末脚で追い込んで2着争いに加わった。器用に馬群を捌けるタイプではないだけに、スンナリ先行or後方一気、の極端な競馬しかできない点が弱点。

2着以下のレベルに疑問?

【チャンピオンズC】
ソダシがレースを引っ張り、前半1000mを61.4で通過。前半がほぼ上りの中京ダ1800mでは平均~ややスローペースの部類だ。ただ、勝ち馬テーオーケインズは例年の水準をクリアしたものの、2着馬チュウワウィザードの走破時計1.50.7(含水率G前7.2%)は20年12着(同2.2%)、19年16着(同3.5%)、18年4着(同2.7%)、17年9着、16年10着相当の数字。馬場差は考慮する必要があるが、少々物足りなさを感じるレースレベルであった。

4着馬インティは2枠4番から久々の先行策。厳しい展開ではなかっただけに、直線の伸びにはやや物足りなさを感じる内容だ。手前変換に課題あり。

5着馬サンライズノヴァは後方待機から上がり3F3位の末脚で追い込む形。いい末脚を見せたが、外差し不利な中京ダートではこれが限界だろう。得意の東京で差しの届く展開なら前進可能か。

11着馬カフェファラオは大外枠から終始外々を回る形。距離も1600m以下の方が良さそうだ。

12着馬ソダシはラストで止まったが、ダートの走り自体は悪くなかった。ダートは路盤からの反発力が低いため芝よりもスタミナが必要。さすがに、初ダートの1800mGⅠは苦しかったか。

15着馬サンライズホープは3~4角で外に張る形。大トビのストライド走法だけに、中京で3~4角のペースが上がるとコーナリングの誤魔化しが利かなくなる。距離短縮は課題だが、東京替わりはプラスに働くだろう。

重賞5勝目も不安あり!?

2022年フェブラリーSの参考レース,ⒸSPAIA


【根岸S】
ジャスティンが好スタートから楽に先手を取ったが、スプリンターらしい逃げで前後半3F34.4-36.9。ただ、4番手ヘリオスで同35.0-36.1なら馬群は平均ペースの部類だろう。

1着馬テイエムサウスダンは10キロ増で過去最高馬体重。東京実績も乏しかったが、それでも押し切ってしまうのだから地方交流重賞4勝の力は本物だ。ただ、メンバーレベルを考慮すると他路線との比較ではやや分が悪いか。1600mへの距離延長も課題。

6着馬タイムフライヤーは外から凄い脚で追い込んだように見えるが、実際はラスト1F12.3程度。先行勢を脅かすほどの末脚は使えていない。

9着馬ソリストサンダーは久々の1400m戦で脚が溜まらず。もともと使いつつ良くなるタイプでもあり、叩き2戦目&距離延長での一変に期待したい。

3度目の挑戦

昨秋、マイルCS南部杯連覇を果たしたアルクトス。フェブラリーSでは展開や馬場の不利で敗戦が続いているが、舞台自体は得意条件のひとつだろう。過去2年の敗戦で人気を落とすなら妙味がある。昨年覇者カフェファラオの巻き返しにも期待。人気薄では東京替わりが魅力のサンライズホープに注目だ。

注目馬:アルクトス、カフェファラオ、サンライズホープ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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