【注目3歳馬(牡馬編)】ダービー最有力はイクイノックス 皐月賞は適性面でキラーアビリティ中心視も混戦模様
三木俊幸
ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)
最もダービー馬に近いイクイノックス
クラシック、特に日本ダービーの勝ち馬を探して昨夏から年末まで2歳馬を追い続けてきた本コラム。今回はこれまでに取り上げた馬たちに加えて、実際に競馬場で撮影していたものの、都合により紹介できなかった馬も含めた中から牡馬編として日本ダービー、皐月賞、NHKマイルCの3レースで期待したい馬をあげていく。
【日本ダービー】
この世代のレースを見てきた中で、最もダービー馬に近い存在と言えるのはイクイノックスだろう。
デビュー戦は8月28日(土)の新潟芝1800m戦。スッと前に取り付くと一旦はハナに立つ勢いだったが、3角手前で3番手のインに控える形を取る。前半1000mが1:00.5、スタート直後を除くと全て12.2以下のラップが続いた展開の中、直線では後続に1.0秒差をつけて1:47.4での圧勝だった。
レース当日は新潟競馬場におり、強さを感じたものの、直後のレースを勝利したソネットフレーズのタイム面でのインパクトを重視してそちらを紹介。しかし、3着サークルオブライフ、4着サトノヘリオスということを踏まえて後からレース映像を見直すたび、その強さはかなりのものではないかと感じるようになった。
そうした印象を持った中で迎えた2戦目の東京スポーツ杯2歳Sは、中団やや後ろに控える形。800mは48.6で通過したが、アルナシームが掛かり気味に上がっていったことでペースアップ。後半1000mは11秒台のラップが続く展開だった。直線では外に持ち出されると1頭だけ次元の違う脚で追い込む。上がりは32.9、勝ちタイム1:46.2はかなり優秀だと言える。
今後はどうやら皐月賞に直行の予定となっている。もちろん2冠を狙えるだけの器だと見ているが、広いコースの方がより持ち味が発揮されそうなだけに、ダービーの舞台で最高のパフォーマンスを発揮してくれることを楽しみにしたい。
相手候補として東京向きという馬の名前をあげるのであれば、セントポーリア賞を勝利したドゥラドーレスが面白そうだ。新馬戦はスタートが一息で後方からレースを進め、直線では残り200m手前まで進路が開かない状況から上がり33.4を使って差し切り。続くセントポーリア賞も同じくゲートの出が遅く後方からの競馬となった。しかしスローペースだった新馬戦とは違い、前半1000mが58.3と流れた中を4角から大外を回って進出。逃げ粘るウィズグレイスを3馬身突き放す強い内容だった。
勝ちタイム1:45.7は同じくセントポーリア賞を勝った父ドゥラメンテや、昨年の日本ダービーで0.2秒差4着だったグレートマジシャンらを上回る好タイム。母ロカということからも距離延長は問題なし。東京の芝2400m向きだろう。
新馬戦の内容が良かったリアドは2戦目の若駒Sで途中から控える形を取り、内で包まれたが、直線で進路が開いてからもモタモタしていた点が不満。やはり伸び伸び走れる広いコース向き、距離も2000m以上、瞬発力が生かせる馬場向きだ。次走以降、再びパフォーマンスを上げるようならダービー本番でも上位に好走する可能性は残っている。
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機動力あるキラーアビリティ
【皐月賞】
イクイノックスが皐月賞直行、初の中山コースという点で死角があるならば、皐月賞は面白くなりそうだ。適性面から同じ舞台で行われたホープフルSを勝利したキラーアビリティを取り上げたい。
ここまで4戦して敗れた新馬戦と萩Sはいずれも外回りコースでのもの。圧巻のパフォーマンスを披露した小倉芝2000mの未勝利戦は1000m通過1:00.0というペースを後方3番手追走から4角では大外を回して、ラスト11.8-10.8というラップで圧巻の勝利。
ホープフルSも1000m通過が1:00.1と平均ペースで流れた中で好位3番手からレースを進め、内から3頭目を通って抜け出して0.2秒差で勝利した。この2レースを見る限り、瞬発力を求められるコース形態より機動力が求められる舞台により適性がある。
ただし、皐月賞は2開催続く春の中山開催最終日で荒れた馬場でのレースとなる可能性もある。パワー型ではないので、その点で不安要素が無いわけではない。
朝日杯FSを勝利したドウデュースもパワーが求められる馬場への実績があり、2000mへの距離延長も歓迎。函館で新馬勝ち、先日行われた若駒Sもパワーが要る馬場での勝利だったリューベック、荒れ馬場で行われた京都2歳Sを差し切ったジャスティンロックやホープフルS2着のジャスティンパレスにもチャンスありと見る。
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セリフォスに期待も強力なライバル出現
【NHKマイルC】
こちらはデビューから追い続けてきたセリフォスに期待したい。前走の朝日杯FSはスタートから先行して5番手を追走。差し馬が上位を占める中で、掛かるような場面も見られながら、ドウデュースと半馬身差なら負けて強しと言える。
しかし、磐石というわけでもない。インダストリアは強力なライバルになると考える。東京芝1800mの新馬戦こそ2着に敗れたが、同じ舞台で行われた2戦目の未勝利戦は前残りの展開をただ1頭違う末脚で伸びて差し切り。余裕がありながら上がりは33.5、勝ちタイム1:47.6も優秀だった。
さらに3戦目のジュニアCも前残りかと思われた展開を大外からまた1頭違う脚で差し切って、後続に0.4秒差をつける圧巻の内容。次走は皐月賞の前哨戦を使う可能性もありそうだが、本質的にはマイルで良さを発揮しそうだ。
その他に、マイラータイプの牝馬も桜花賞からNHKマイルに参戦するケースが想定できる。牝馬については次回の牝馬編で詳しく紹介していく。
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ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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