【アルゼンチン共和国杯】乾燥状態なら内外・脚質の差はない馬場 穴は目黒記念の再現を狙うアドマイヤアルバ

三木俊幸

アルゼンチン共和国杯馬場適性チャート,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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雨が降った日曜日は外差し有利

GⅠ開催は一休みとなるが、11月7日(日)に東京競馬場ではアルゼンチン共和国杯(GⅡ・芝2500m)が行われる。2008年のスクリーンヒーローがジャパンC、2015年にはゴールドアクターが有馬記念を勝利するなど、このレースをステップに大舞台で活躍する馬もいれば、2016年のシュヴァルグランのように翌年になってジャパンCを制する馬も輩出。長い目で見ても活躍馬が出ている注目度の高いレースだと言える。

先週末の馬場傾向と各馬の馬場適性をもとに分析していく。

先週土曜日はクッション値9.2、ゴール前含水率13.3%で良馬場発表。芝コースはAコースからBコースへと変更となった。芝では6レースが行われ、半分にあたる3レースの勝ち馬が4角8番手と差しも決まる馬場状態だったが、同時に4角4番手以内からレースを進めた馬の好走も多かった。

3着内馬が直線で通ったコースを見ても、内から6頭目を走った馬が3勝と最も多く、引き続き外が伸びる馬場だったとも言えるが、Bコースになった影響からか最内から3頭目のインコースを通った馬は2勝、2着3回、3着4回という結果。どこを通っても伸びる馬場だったと言っていいだろう。

天皇賞(秋)当日の日曜日は朝の時点ではクッション値9.2、ゴール前含水率13.9%。終日良馬場だったものの、昼前から9レースあたりまで雨が降り続いた。その影響からか、6レース以降の後半4レースの勝ち馬の4角通過順位は、14番手、6番手(8頭立て)、4番手(8頭立て)、6番手と全て差し馬。2・3着についても同様の傾向。天皇賞(秋)は内から8頭目→10頭目→9頭目を通った3頭で決着するなど、外が伸びる傾向が強かった。

タイムを見ると土曜日の1600mの新馬戦で1:34.5とまずまずのタイムが出ており、日曜日の天皇賞(秋)は1:57.9で決着。上がりも2日間で13レース行われたうち9レースの勝ち馬が33秒台の末脚を繰り出していた。レース当日の日曜日は夕方まで曇りマークで天気は持ちそうな予報。速い時計・上がりへの対応力が問われる馬場でのレースとなりそうだ。

先行できれば再び波乱を巻き起こす可能性も

ここからは出走馬の中から馬場適性のありそうな馬をピックアップし、詳しく見ていこう。なお、特に注目している馬の馬名の前には☆をつけている。

【オーソリティ】
東京コースでは過去3回走って2勝、2着1回と連対率100%。青葉賞は道中最内を追走していたが、直線に向いてから内から6頭目まで外に持ち出すロスがありながら差し切る強い内容。昨年のアルゼンチン共和国杯は3番手追走からラスト11.3-11.2-12.4(34.9)の流れの中、上がり34.4を使って後続に0.2秒差をつけて勝利している。

ダイヤモンドSに関しては好位から押し切りを図るところをゴール前クビ差で差されるという惜しい敗戦となったが、安定したパフォーマンスを発揮している点は心強い。ハンデ57.5kgでも馬場適性はぴったりだ。

【アンティシペイト】
4勝中3勝は札幌、中山と直線の短いコースで平凡な時計での決着だが、注目したいのは昨年の日本ダービー前日に行われた2400mの3歳1勝クラスのレース。前半1000mを12.7-10.7-12.1-12.0-12.0(59.5)というペースで逃げ、ラストは11.6-11.6-11.8(35.0)で後続に0.5秒差をつけて勝利した。翌日の日本ダービーと同じ勝ちタイム2:24.1は高いパフォーマンスだと言える。前走は差す競馬で勝利しているが、前に行って粘りこむ形に持ち込めば通用しそう。

【フライライクバード】
左回り2200m以上という条件は4回走って2勝2着1回。青葉賞はラスト1000mが全て11秒台という持続力が求められる流れで8着に敗れたが、6走前の小牧特別はアリストテレスと0.1秒差、4走前の長良川特別は2着以下に1.1秒差をつける圧勝と中身の濃いレースをしているので、ここでも通用する能力は秘めている。

【ディアマンミノル】
4走前は今回と同じ条件の目黒記念で14着と大敗しているものの、スローペースの前残りで32秒台の上がりが求められる展開は向かなかったので度外視できる。札幌記念は8着に敗れたが、函館記念と京都大賞典ではともに4着と着実に力はつけてきているので、ハマれば一発がありそうだ。

【アイアンバローズ】
前走の京都大賞典は12着と全く見せ場なく終わったが、馬体重は504kgと大幅増でいかにも休み明けという印象だった。今回より100m短いが、2走前に東京2400mで2:24.2、上がり33.6を使って差し切っているという内容から、コース変わりと一叩きされた上積みで変わり身があってもいい。

【☆アドマイヤアルバ】
3走前の目黒記念は勝ち馬から0.6秒離されたものの、3番手追走から3着と波乱を演出した。その後の宝塚記念とオールカマーは相手強化と行き足がつかずに結果が出なかったが、今回は目黒記念と同じ条件に戻りハンデも当時と同じ53kg。ある程度流れに乗って運べれば再び波乱を演出する可能性はあるだろう。

アルゼンチン共和国杯馬場適正チャート,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。


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