【毎日王冠】好データは「3歳」「前走1~3着」など 若さでアタック、シュネルマイスターが決める!

門田光生

毎日王冠の出走間隔別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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伝統の一戦

2021年10月10日に東京競馬場で行われる第72回毎日王冠。このレースと京都大賞典は10月1週目にセットで行われるイメージが強い。

ともに50年以上の歴史を誇る伝統の一戦だが、これらが同日に行われるようになったのは1981年から。以降は天皇賞・秋の前哨戦として確立されている。ちなみに、1981年に行われた毎日王冠の勝ち馬はジュウジアロー。重賞5勝、安田記念2着の活躍馬……とのこと。すいません、全然知らない馬です。

このレースは現在3歳馬が連勝中で、連対となると3年連続となっている。ひと昔前なら、多少距離が長くても賞金が足りれば菊花賞へ、というパターンが多かったが、最近は菊花賞には目もくれず、天皇賞へ挑むのも当たり前の時代。

3歳馬が毎日王冠へ出走したのは2001~2010年の10年間で8頭に対して、2011~2020年の10年間では17頭と倍増。古馬の一流馬が毎日王冠や京都大賞典ではなく、直接天皇賞・秋を選択するケースが増えたのも、3歳馬が毎日王冠で活躍している一因かもしれない。

そんな毎日王冠だが、本当に3歳馬がほかの世代を圧倒しているのかどうか。またこのレースに必勝パターンはあるのか。今回も2011~2020年までの、過去10回の成績を基にして検証していきたい。

その前に、簡単な傾向を。過去10年のうち、9年で単勝オッズひとケタの馬が勝利。馬単が万馬券になったのは、2012年と2014年の2回だけ。そのほかの年は荒れていない。1番人気馬は7勝と強さを見せており、特にここ3年の単勝配当は230円、160円、130円と低配当。堅い重賞といえるだろう。

生産者のトップは5勝を挙げているノーザンファーム生産馬で、このうちの4頭は1番人気(残る1頭は3番人気)だった。逆に4番人気が1着、6番人気が2着に入った2013年(この組み合わせで馬単は万馬券にならなかった)、8番人気が勝った2014年、そして12番人気が2着に来た2012年は、すべて社台ファームか白老ファームの生産馬が波乱を起こしている。

人気の決着と読むならノーザンファーム生産馬の人気馬、波乱と読むなら社台or白老ファーム生産馬の人気薄に注目すると面白いかもしれない。

牝馬が狙い目だったが……

毎日王冠出走馬の所属,ⒸSPAIA
毎日王冠出走馬の年齢,ⒸSPAIA
毎日王冠出走馬の性別,ⒸSPAIA


さて、気になる年齢の前に所属別から見ていきたい。1着、2着とも東西5頭ずつと、珍しくきれいに分かれた。出走頭数は栗東所属馬の方が10頭ほど多いとはいえ、ほぼ互角と考えていいだろう。

年齢別だと3歳と4歳が6連対でトップ。勝率、連対率では3歳馬が抜けていい数字となっている。続いて4歳、5歳と、年齢が上がるにつれて勝率が下がっていく。このあとの項目でも出てくるが、連対した3歳馬6頭のうち、4頭が前走でダービーを走っていた馬。

勝ったのはダービー好走馬のダノンキングリー(2019年)とサリオス(2020年)、2着はダービーで大敗したジャスタウェイ(2012年)とステルヴィオ(2018年)。サリオスは朝日杯FSを、残る3頭は毎日王冠以降にマイルのGⅠを勝っている。この時点で将来の活躍を見通すのは難しいが、もし「これはマイルの大物になる!」と目をつけている3歳馬が出走していれば、狙ってみるのもありだろう。

近年は牝馬の活躍が目立っているが、ここ10年で毎日王冠に出走した牝馬は5頭だけ。その5頭の成績は【2-1-0-2】で、半分以上が連に絡んでいる。出走馬のほとんどがGⅠで実績のあった牝馬だから当然かもしれないが、出走してくれば有力候補となる。こういうデータを前もって書くと、登録馬に牝馬がいなかったというのはよくある話。残念ながらこのデータは来年まで覚えておこう。

毎日王冠出走馬のローテーション,ⒸSPAIA
毎日王冠出走馬の前走条件およびレース,ⒸSPAIA


実績馬が直接GⅠに向かう傾向が強くなっているとはいえ、今でもこのレースが有力馬の秋緒戦となっているのもまた事実。夏場に使っていた馬、今回でいえば中13週以内の馬が4連対(1勝)に対して、中14週以上開いていた馬は16連対(9勝)と大きくリード。また、前走で条件戦やオープンを使っていた組からは連対馬が出ていない。

前走GⅢ組は6頭が連対(3勝)しており、勝ち馬3頭を含む4頭がエプソムカップ組(今年は登録なし)。東京芝1800mで毎日王冠と同条件、というのも関係しているのだろうか。GⅡ組は3連対(1勝)。札幌記念組が2連対、あと中山記念組(今年はなし)が【1-0-1-0】となっている。

GⅠ組は10連対(4勝)で、前述のダービー組が4連対。同様に安田記念組も4連対(1勝)しているが、出走頭数が多く勝率自体は低い。意外なのは宝塚記念組。9頭が出走しているが、ここから勝ち馬は出ていない。ちなみに、西の京都大賞典は宝塚記念組の成績がよく、6勝、2着2回と好成績を挙げている。

毎日王冠におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
毎日王冠におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


最後に毎日王冠におけるプラスとマイナスデータを少々。まずプラスデータだが、母の父がStorm Catだった馬が【3-1-0-3】となっており、出走馬の半分以上が連対している。また、前走が1~3着、前走で1~5番人気に支持されていた馬も、高確率で馬券に絡んでいる。

マイナスデータの方だが、母の父サンデーサイレンスだった馬の成績が【1-1-1-20】。ほかの重賞、特に東京ではもっと好走確率が高いはずなだけに、この成績は不満である。

毎日王冠のデータをまとめてみると、まず好走データはA「3歳馬、次いで4歳馬」B「母の父がStorm Cat」C「前走1~3着馬」D「前走1~5番人気馬」。

凡走確率が高くなるのはE「7歳以上」F「中13週以内」G「前走が条件戦かオープン」H「前走が宝塚記念」I「母の父サンデーサイレンス」。

登録馬を見て気になったのは、活躍が目立つ3歳馬と4歳馬が1頭ずつしか登録していないこと。3歳馬はここ10年で17頭の出走だからそういう年もあるだろうが、これまで32頭が出走している4歳馬が1頭しか登録していないのは果たしてどういう理由なのか。分からん。

その3歳馬シュネルマイスターから検証してみよう。ほかにC「前走1~3着馬」D「前走1~5番人気馬」に該当し、今回の好走データである4つのうち、3つに該当。マイナスデータは一つも該当しない。

好走率の高いダービー組ではなく、勝率、連対率ともパッとしない安田記念組だが、安田記念から毎日王冠のローテーションを取った3歳馬というのは、ここ20年で1頭、2011年の2着馬リアルインパクトだけ。連対例があるのは心強く、ここは3歳馬が3年連続で連対中という流れに乗るべきだろう。

続いて好走率の高い4歳馬はポタジェだけ。こちらもC「前走1~3着馬」D「前走1~5番人気馬」に該当し、目立ったマイナスデータはなし。新潟大賞典から毎日王冠へ挑んだ馬はここ10年で1頭もいないのだが、前走が新潟を使った馬の成績は【0-2-2-14】。勝ち馬は出ておらず、シュネルマイスターより上にはできないか。

5歳以上で気になったのは、出走馬の半分が連対している「母の父Storm Cat」に該当しているダノンキングリー。前走で安田記念を勝った馬の成績は、2着が2011年のリアルインパクトと2017年のサトノアラジン、3着は2019年のインディチャンプ、圏外は2012年のストロングリターンと2016年のロゴタイプ。勝ち馬こそいないが、馬券圏内で考えると半分以上が絡んでいる。というわけでこの馬も外すわけにはいかない。

取捨に悩むのはヴァンドギャルド。プラスデータは前走2着だけ(前走海外なので人気はノーカウント)。この馬の前走はドバイなのだが、前走を海外で走った馬の成績は【1-0-0-2】。この3頭は香港と英国なので、既存のデータだけでは判断しづらい。凡走パターンがないから印を入れてもいいのだが、それだと同パターンの他の馬も入れなければつじつまが合わない。今回は上記で取り上げた3頭が強いデータということもあり、この3頭の決着と結論付けたい。

◎シュネルマイスター
◯ダノンキングリー
▲ポタジェ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今回の登録馬にあるヴァンドギャルド。「長期熟成しておいしくなるワイン」が馬名の由来だそうですが、「ギャル」の文字を見ただけで牝馬と勘違いしたのは、おっさんだからでしょうか。

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