【注目2歳馬】牡馬相手に野路菊Sをレコード勝ちのロン キーファーズ初の国内GⅠ勝利を狙える逸材

三木俊幸

9月25日野路菊Sを勝利したロン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

最後は流して4馬身差の楽勝

2017年には後にダービー馬となるワグネリアンが勝利。その他重賞級で活躍する馬を多数輩出している出世レースの野路菊S。今年は中京芝2000mを舞台に争われ、シルバーステート産駒の牝馬ロン(栗東・石橋守厩舎)が1:59.8というタイムでレコード勝ちした。

好スタートを切り、新馬戦と同様にハナを切るかと思ったが、鞍上の武豊騎手は先々のことも考えてか控える競馬を選択。1角ではやや手綱を引っ張りながら折り合いに専念するような面も見せたが、その後すぐにピタリと折り合い4番手を追走する。

3角からじわっとポジションを押し上げ直線へと向くと残り300mで先頭へ。右ムチが3、4発入ったものの、ラスト100mは流しての楽勝。2着クラウンドマジック(栗東・加用正厩舎)に4馬身差をつけた。

この日は3Rに行われた2歳未勝利戦でもレコードがマークされるなど、時計が出やすい馬場だったと言える。しかし、レースラップは最初の1ハロンが13.2と遅かったものの、その後は11.4-12.0-11.7-12.2-12.3-12.0-11.7-11.4-11.9。中盤が極端に遅くなることもなかった中で、まだまだ余裕を感じさせたレースぶり。新馬戦で強い勝ち方をしてきた牡馬相手だったことも価値がある。

牝馬ではすでにステルナティーアやソネットフレーズ、ナミュールなど大物感のある馬が出てきているが、いずれも瞬発力に秀でたマイラータイプで桜花賞向き。対してロンは2000m前後が良さそうな中距離タイプでオークス向きだと言えるだろう。

マージャン用語では「アガり」を意味する「ロン」。将来性を語る上ではまさにその言葉がピッタリで、馬名の由来もそこから来ていると思われがちだが、実際はそうではなくフランス語で「円形」という意味。キーファーズらしい馬名だ。今週末に迫った凱旋門賞制覇の期待もかかるキーファーズだが、JRAのGⅠ初勝利をあげるのはこの馬かもしれない。


9月25日野路菊Sを勝利したロン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

土曜日は東西で注目の2歳OP戦

今週末は10月2日(土)の中京競馬場では芝1400mのききょうS、中山競馬場では芝2000mの芙蓉Sと2歳OP戦が2レース組まれている。ききょうSには新潟芝1400mの未勝利戦を1:20.8でレコード勝ちしたオウケンブルースリ産駒のジャズブルース(栗東・吉村圭司厩舎)、札幌芝1500mの新馬戦を1:29.1という好タイムで勝利したKingman産駒モンゴリアンキング(栗東・安田隆行厩舎)、さらに現時点で出否未定だが今話題の藤田晋氏が所有するドーブネ(栗東・武幸四郎厩舎)などが登録。

芙蓉Sには小倉芝1800mの新馬戦で1頭だけ抜けた末脚を使って差し切ったキタサンブラック産駒のドグマ(栗東・武幸四郎厩舎)や同じくキタサンブラック産駒で同産駒初勝利をあげたコナブラック(栗東・清水久詞厩舎)などが登録に名を連ねている。

その他新馬戦では、2020年のセレクトセールで1億3,750万円で落札されたハーツクライ産駒のサドル(栗東・庄野靖志厩舎)が岩田康誠騎手で中京芝2000m戦、中山芝1800m戦にはディープインパクト産駒ウィズグレイス(美浦・国枝栄厩舎)がルメール騎手でそれぞれデビュー予定となっており、注目したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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