【エルムS】前走の激走はフロックではない 京大競馬研の本命は先行力確かな大穴トップウイナー

京都大学競馬研究会

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函館ダート1700mの脚質別成績,ⒸSPAIA

半年以上休んだ8歳馬の連対はゼロ、休みすぎは大幅減点

8月8日(日)に函館競馬場にてエルムSが行われる。JpnⅠ3勝のケイティブレイブや昨年の覇者タイムフライヤー、復活を期す実績馬ヴェンジェンスなど重賞馬9頭という、夏競馬では珍しい豪華なメンバーが揃った。

勢いある新興勢力が台頭するのか、古豪の復活があるのか。今回は高齢馬の中に長期休養していた馬が多いため、ダート馬の休み明けについてのデータを持ってきた。


過去5年ダートオープン戦間隔別成績,ⒸSPAIA


まずは過去5年のダート戦、オープンクラスにおけるレース間隔ごとの成績を調べた。2ヶ月以内の休みについて、連闘の場合こそ【1-2-4-33】で勝率2.5%、単勝回収率が25%と低くなっているが、それ以外の場合は中1週から中8週まで勝率、複勝率にほとんど差は無い。

回収率が最もよいのは中3週の馬で【38-44-46-452】、複勝率は22.1%、単勝回収率は82%、複勝回収率は78%。突出した数値でもなく、間隔が2ヶ月以内であれば連闘のマイナス以外は特筆すべきデータが無いと考えて良い。

2ヶ月以上の休養について、中9週~24週以内の成績は【77-74-70-825】、勝率7.4%、複勝率は21.1%までは際立って悪い数字でもなく、あまり気にする必要はないが単勝回収率は58%と低め。人気薄の激走が少なくなる点は注意が必要だ。

中25週、つまり半年以上も休んだ長期休養組の成績は【4-4-11-163】で勝率2.2%、複勝率10.4%。それ以外のグループと比較して好走率はガタ落ちする。外厩制度の発達によって休み明けでも好走する例が増えてきたが、ダートではまだまだ使い詰めが主流の傾向であることが分かる。

また長期休養組について年齢別で精査してみると、8歳馬の成績は【0-0-1-22】と悲惨。加齢による衰えには逆らえないことが分かる。ケイティブレイブとヴェンジェンスはどちらも1年以上のブランクがある。実績馬ではあるが長期休養明けでいきなり走れるほど甘くはないと考えるべきだろう。


原則逃げ先行馬のみ買うべき

過去5年函館ダ1700m脚質別成績,ⒸSPAIA


次に函館ダート1700mの脚質別データについて調べた。但し能力だけで決まりやすい新馬、未勝利戦のデータは除いたものを使用した。函館は直線が短いうえに平坦で、特に直線一気が決まり難いコースとなっている。逃げた馬が【28-22-7-49】で複勝率は53.8%、複勝回収率は171%、先行馬は【46-45-58-151】で複勝率49.7%、複勝回収率148%を記録。また早めに動いて4角で先頭に立てる捲り脚質の馬は【5-4-2-12】、数は少ないが複勝率は47.8%とこちらも優秀な成績になっている。4角で先頭集団にいられる馬はとりあえず買いの意識が大事になる。

先行勢の成績が優秀な分、中団より後ろの馬には辛く、中団勢が【13-19-24-366】、後方組が【2-4-3-276】。道中の位置取りだけではっきり明暗が分かれてしまうため、差し勢を買うときは注意を払う必要がある。今回のメンバーの中で逃げ候補はアメリカンシードのみ。常時先行できている馬はスワーヴアラミス、トップウイナー、レピアーウィットがいる。人気薄も含まれているため一波乱に期待できる。


能力は重賞級、前走はフロックではない

◎トップウイナー
前走は差しが届かない展開の利はあったもののしぶとく粘って2着。3勝クラス、OPの連勝時、前走と、好走時の体重はいずれも460キロ台。4走前のすばるSは休養明けから絞れていなかったことが敗因か。タフな地方のダートも着差からして適性が無いようで、好走するのは前走のように中央ダートで馬体が絞れているとき。毎回きちんと先行はできているため、有力馬に差し勢が多い今回も展開が向くはず。前回の好走がフロック視され人気しなさそうで、配当妙味もある。

◯スワーヴアラミス
夏の北海道でオープン特別を連続好走、勢いを取り戻した。2走とも斤量を背負わされながらの好走でよほど北海道のコースや滞在競馬が合っているのだろう。今回別定戦で斤量がさらに軽くなるのは好材料。先行脚質であることもプラス。近走同様に重賞でも自信を持って乗ってくれたら勝ち負け。

▲アメリカンシード
2走前は外枠勢に先手をとられて自分の形に持ち込めなかった上に落鉄もしていたなど敗因は明確。その敗因を踏まえた前走はマイペースで逃げて2着になったものの、1着とは1秒離される完敗。重賞で突き抜けるだけの力は無いと判断。単騎逃げができるメンバー構成なので展開は向くが、4角で並ばれたらあっさり沈む可能性もある。この馬を外した馬券の買い方もしてみたい。

△レピアーウィット
先行力はある。好不調の波があり、好走と凡走を交互に繰り返していて今回は好走する番だが、斤量が若干重いか。

×ウェスタールンド
自在に動ける捲り脚質の馬。前走は明らかな太め残りで絞れたら好走できるが、セン馬で息長い活躍が目標ならば、一戦一戦への勝負気配は薄い。

×ソリストサンダー
かしわ記念は中団から追い込んで2着だが展開は向いた。中団前目で競馬したい。

消タイムフライヤー
転厩後2戦は見せ場なし。体調の問題はあったにせよ近2走展開は向いているにも関わらず惨敗しているため、厩舎との相性か、能力に衰えがあるのかと判断。昨年覇者の割に人気落ちはしそうだが、やはり買えない。先行すると脚が上がるため、中団より後ろからの競馬しかできないのもマイナス。

先行勢を中心とした馬券を組み立てたい。まずはトップウイナーの単複、トップウイナーから印5頭に馬連の流し。最後にトップウイナーとスワーヴアラミス2頭軸の三連複で勝負。トップウイナーは母父テイエムオペラオーという希少な血統である。良血馬、実績馬を打ち破る激走に期待する。

2021エルムS 予想印
◎トップウイナー
◯スワーヴアラミス
▲アメリカンシード
△レピアーウィット
×ウェスタールンド
×ソリストサンダー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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