【宝塚記念】マクリが強い宝塚記念 軸に最適な3、4コーナー上手モズベッロ

佐藤永記

宝塚記念過去10年のラップ傾向ⒸSPAIA

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急坂が織りなすクセある宝塚のハーモニー

宝塚記念 過去10年ラップ傾向ⒸSPAIA


宝塚記念といえば阪神芝内回り2200mという、2000mでも2400mでもない特殊な距離を無視するわけにはいかない。ゴール手前約200m弱に存在する急な上り坂を2回通過することになるのだが、大阪杯が行われた2000mでの開催とは明確にスタートの状態が違ってくる。

2000mであれば上り坂までの距離は約110m。これが2200mということは200m追加され約310mということになる。上り坂の前まではゆるやかな下りになっているため、この200mの延長で加速のついた馬たちが一気に坂を駆け上がることになる。そのため、宝塚記念の2F目は直近10年の平均で11.1となり、さっと過ぎてゆく。G1レベルの馬たちは1度目の急坂ごときで主導権争いを止めたりはしない。

しかし、そこで消耗することで2度目となるゴール直前の坂では時計がガクンと落ちる。3コーナー手前から徐々にある下り坂で加速しつづけることによって体力はさらに消耗し、宝塚記念の出走馬レベルをもってしても坂のある最後の200m(ラスト1F)の時計は10年間で平均12.3まで落ちるのである。

そのため、過去10年の1着馬上がり3Fタイムを見ても速くて2012年の34.7、遅い年では2016年の36.3となり、33秒台というのはお目にかかれない。つまり上がり3Fタイムは重要ではないのだ。近年の傾向を見ると3コーナー前後の残り1000m前から加速が始まっている。つまり、普段の仕掛けよりも「良い脚を、より長く」使える馬が宝塚記念には向いているということになる。

でも残念ながら上がり5Fや6Fの実績を知る手段はない。なので、間接的に中距離で3コーナーあたりから長く良い脚を使える馬を探す方法を考えた。直近での「マクリ」的動きをした実績を評価するため、その手段として「3角から4角までで通過順位が上がっている実績」を参考にすることにした。

たとえば昨年優勝したクロノジェネシスの場合は、宝塚記念を勝つ前の大阪杯、京都記念ではともに3番手のまま競馬をしていたのだが、その前のエリザベス女王杯を6-5(5着)として位置を押し上げて、マクリ脚を見せていた。3年前優勝したミッキーロケットはもっとわかりやすく、天皇賞を11-8(4着)、日経新春杯でも4-3(4着)としている。

直近で2度のコーナー追い上げ実績が光るモズべッロ

直近5走の芝中距離でそのような3角から位置を上げる競馬ができていた馬は、

・3角から位置を上げて3着以内
アリストテレス(AJCC6-4・1着)
クロノジェネシス(昨年宝塚記念7-1・1着)
モズベッロ(大阪杯9-5・2着、昨年宝塚記念11-8・3着)
レイパパレ(昨年チャレンジC2-1・1着)

・3角から位置を上げて5着以内
カレンブーケドール(昨年JC7-6・4着)
シロニイ(松籟S6-3・4着)
ワイプティアーズ(鳴尾記念4-3・5着、アンドロメダS13-12・5着)

この7頭である。気がつけば人気どころの馬がしっかり入っているのは馬券的に残念なところだが、人気どころの中でも4番人気程度になりそうなモズベッロが直近5走で2回、マクリ上げによって馬券に絡んでいる。安定感アリと見てモズベッロのマクリを軸にした馬券を、オッズを見ながら検討することにしたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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