【宝塚記念】好走データは「5歳」「牝馬」「前走2着」など 連覇濃厚クロノジェネシス!

門田光生

宝塚記念の年齢別成績(過去20年)ⒸSPAIA

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梅雨時のドリームレース

気象庁のサイトによると、近畿地方の梅雨明けは平年7月中旬すぎとのこと。上半期のドリームレース、宝塚記念が行われるのは6月27日なので、梅雨が明けていない可能性は極めて高い。その影響もあるのだろう、ここ5年のうち4回が稍重で行われており、雨馬場への適性も頭に入れておきたいところだ。

そんな宝塚記念をデータで分析していくのだが、いつもは過去10年の傾向を基にしているところを、今回は趣向を変えて過去20年のデータと、さらに直近5年の傾向も加えて検証していこうと思う。普段とは違うものが見えてくればいいのだが、さてどうなるか。

牝馬に逆らう手なし

宝塚記念出走馬の所属別ⒸSPAIA


まずは所属別から。過去20年の連対馬40頭の内訳は、栗東所属馬が34頭、美浦所属馬が5頭、そして外国馬が1頭。出走頭数に差があるとはいえ、栗東所属馬が優勢なのは間違いない。

しかし、これが直近5年だと栗東が5連対、美浦は4連対とほぼ互角(外国馬が1連対)で、勝率や連対率では美浦所属馬が約3倍も上回っている。実績なら栗東、近年の勢いなら美浦となるが……。

宝塚記念出走馬の年齢ⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の性別ⒸSPAIA


年齢別では、9勝、2着5回の4歳馬と、8勝、2着9回の5歳馬がリード。6、7歳と、年齢が上がるにつれて、勝率や連対率が下がっていく。これも直近5年で見ていくと、5歳馬が4勝の固め打ち。ほかの世代を大きくリードしている。

性別だと牡馬・セン馬が33連対、牝馬が7連対。所属別とよく似た数字だが、勝率、連対率ともに牝馬が優勢。特に直近5年の牝馬は【3-0-1-4】と好調で、馬券に絡む率が半分の50%と高い数字になっている。

宝塚記念出走馬の前走着順ⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の前走人気ⒸSPAIA


前走着順を調べてみると、前走1~3着だった馬の連対率が、ほかの着順に比べると抜けていいことが分かる。ただし、前走1着馬に限ると、過去20年で【6-6-8-43】に対して、直近5年は【0-0-1-10】と大不振。このことから、前走着順で狙うなら前走2着か3着の馬が無難ということになる。

前走人気も同様で、1~3番人気に支持されていた馬が好成績を残している。この項目に関しては、直近5年でも大きな違いは見られなかった。

宝塚記念出走馬の前走クラスⒸSPAIA
宝塚記念出走馬の前走ⒸSPAIA


ご存じの通り、宝塚記念はGIである。さすがに条件戦を経て挑戦してきた馬が馬券に絡んだ例は、ここ20年間でなし。オープン経由組からは2010年のナカヤマフェスタが1着となっているが、ほかに例はない。

主力はやはり重賞組で、特にGIからの参戦組が24連対と半分以上を占めている。気になるのはGⅢ組で、過去20年で3連対、直近5年では【0-0-0-12】と全滅。ちなみにこの12頭のうち、8頭が鳴尾記念組となっている。また今回の登録馬では、GⅡの目黒記念組が【1-0-3-37】で相性がひと息となっている。

好成績を残しているGI組の内訳だが、最も勝ち馬を出しているのは天皇賞(春)の8勝。2着馬も9頭出ており、相性のいいステップレース(という言葉が合っているかどうか分からないが)となっている。しかし、これも直近5年の数字と比較すると、勝率、連対率とも直近5年の方がよくない。これは、以前に比べて天皇賞(春)に出走していた馬の質が落ちていることと関係しているのかもしれない。

逆にGⅡ時代は勝ち馬が出ていなかった大阪杯だが、2017年にGI昇格してから早くも2頭の勝ち馬を出している。天皇賞(春)と逆にメンバーの質が上がったと考えられるので、天皇賞(春)組より評価を上にしていいだろう。

宝塚記念におけるプラスデータⒸSPAIA
宝塚記念におけるマイナスデータⒸSPAIA


最後に、宝塚記念におけるプラスとマイナスデータを紹介していく。プラスデータでは生産者。ノーザンファーム生産馬が6連勝中と勢いが止まらない。今年、ノーザンファームはダービーで通算10勝目を記録したばかり。大舞台であればあるほど、この勝負強さは無視できない。

一方、同グループの社台ファーム生産馬は【0-1-2-27】。ハーツクライ、ダイワメジャー、エイシンフラッシュなどのGI級でも勝てなかったのだから、よほど相性が悪いのだろう。また、前走が秒差なしで惜敗していた馬は【4-4-0-10】。半分近くが連対を果たしている。最後に毛色だが、芦毛は10頭出走して4頭が1着。当然ながら理由は不明だが、頭の片隅に入れておきたい。

マイナスデータだが、目につくところではディープインパクト産駒の成績がよくない。30頭が出走して3連対という数字もらしくないが、良馬場以外で出走した17頭のうち、連対したのは重馬場巧者で有名だった2016年のマリアライトだけ。

「内回り」「梅雨」と、ディープ産駒が得意でない条件がそろっているにしても、この不振は意外。マリアライトのように、雨馬場に実績を残していない限りは割り引いて考えたい。また、前走で1秒以上負けていた馬は勝率が1%台となっており、巻き返しが厳しくなっている。

今年も牝馬が優勢

宝塚記念で好走、もしくは凡走する確率が高いデータは以下の通り。まず好走パターンだが、A「4、5歳馬。近年重視なら5歳馬」B「牝馬」C「前走2or3着馬」D「前走1~3番人気」E「大阪杯組」F「ノーザンファーム生産馬」G「前走で秒差なしの負け」、そしてH「芦毛」。

続いて結果が出ていない馬のパターンはI「前走が条件、GⅢ、および目黒記念組」J「雨馬場に実績がないディープインパクト産駒」K「前走で1秒以上負けていた」L「社台ファーム生産馬」。

まずは分かりやすいところで、牝馬に注目してみる。今回は5頭の牝馬が登録。このうち、相性のよくないI「前走が条件、GⅢ、および目黒記念組」を経由しているミスマンマミーアとメロディーレーンの除いた3頭、カレンブーケドール、クロノジェネシス、レイパパレが有力候補。

このうち、好走データを最も多く持っているのはクロノジェネシス。ABCDEFGHのうち、E「大阪杯組」を除くすべてに該当している。気になる点があるとすれば、ここ20年でドバイ帰りの馬が連対したのは2016年のドゥラメンテ(2着)だけということ。そのドゥラメンテだが、ドバイシーマクラシックで1番人気の2着。今回のクロノジェネシスと同じ成績である。最低でも連は確保してくれると信じて本命視。

レイパパレは好走パターンのABEFに該当。このレースと相性がひと息のディープインパクト産駒だが、マリアライトと同様に重馬場適性を証明済みなのは、梅雨の時期に行われるレースにあって心強いこと。

同様にカレンブーケドールも馬場を問わず走るタイプだが、こちらはここ20年で勝ち馬が出ていないL「社台ファーム生産馬」というのが気になる点。よって、牝馬の順位付けはクロノジェネシス、レイパパレ、カレンブーケドールとなる。

牡馬ではADFを満たすアリストテレスと、ACEを満たすモズベッロが有力。いずれにせよ、今年の宝塚記念も牝馬が中心となりそうだ。

◎クロノジェネシス
〇レイパパレ
▲カレンブーケドール
△モズベッロ
×アリストテレス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ダービーや有馬記念、そして今回の宝塚記念は、普段馬券を買わない人にとっても注目度が高いレース。周りで「親や知り合いに馬券を頼まれた」という記者もよく見かけます。しかし、筆者はこれまで予想や馬券を頼まれたのは1回しかありません。周りが競馬に興味がない人ばかりなのか、このような仕事をしていると認知されていないのか、それとも予想能力を信用されていないのか。凹みそうなので、あまり深く考えないことにします。

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