【ヴィクトリアマイル】ディープインパクト産駒10頭出し! 過去の最多記録と狙い目を東大HCが検証

東大ホースメンクラブ

2021年ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ディープインパクト産駒が10頭!

先週のNHKマイルCに続き、今週も東京芝1600mでGⅠ・ヴィクトリアマイルが行われる。道悪とやや長い距離に苦しんだ大阪杯4着からマイルに戻る女王グランアレグリア、短距離GⅠでトップクラスの走りを見せるレシステンシアが抜けた人気になりそうだが、東西それぞれのトライアルを勝ったディアンドルとデゼル、昨年の同レース2着馬サウンドキアラなども戴冠を狙う。

出馬表を眺めるとほとんどがディープインパクト産駒であることに気づく。大本命のグランアレグリアを筆頭に、前述のサウンドキアラ、阪神JF覇者のダノンファンタジー、ダービー卿CTを勝ったテルツェットなど実に10頭。ディープインパクトはおととしの夏に惜しくも亡くなったがまだまだ産駒は健在で、日本競馬を代表する種牡馬としての貫禄を見せつけている。

ディープインパクト産駒の多頭出しは珍しくないが、二桁となるとなかなか見られる数字ではない。そこで今週のコラムでは過去のGⅠを対象に、同一種牡馬の多頭出し記録を調査。加えてヴィクトリアマイルでのディープインパクト産駒の傾向を踏まえながら、的中へのヒントを探る(データは1986年以降)。

打倒サンデーに燃えたスイープトウショウ

GⅠレース・同一種牡馬産駒出走頭数ランキングⒸSPAIA


<GⅠレース・同一種牡馬産駒出走頭数ランキング>
1位:2004年秋華賞(サンデーサイレンス・11頭)最先着4着
2位タイ:2006年ヴィクトリアマイル(サンデーサイレンス・10頭)最先着1着
2位タイ:2005年天皇賞(秋)(サンデーサイレンス・10頭)最先着1着
4位タイ:2015年天皇賞(秋)(ディープインパクト・9頭)最先着2着
4位タイ:2004年オークス(サンデーサイレンス・9頭)最先着1着
4位タイ:2005年宝塚記念(サンデーサイレンス・9頭)最先着2着

10頭は歴代最多かと思いきや上には上がいた。歴代トップはディープインパクトの父、サンデーサイレンスが叩き出した11頭。2004年秋華賞における記録だ。ダンスインザダークの妹として注目を集めた天才少女ダンスインザムードが1.7倍の断然人気、ステイゴールドの妹で、札幌の条件戦からローズSを連勝した上がり馬レクレドールなど多士済々のメンバーをターフに送り出した。

しかし勝ったのはサンデーサイレンス産駒ではなく、エンドスウィープの子、スイープトウショウだった。素質を評価されながらGⅠタイトルに手が届かなかった悔しさをぶつける豪脚一閃。2着ヤマニンシュクルはトウカイテイオー産駒、3着ウイングレットはタイキシャトル産駒で、サンデーサイレンス産駒はダンスインザムードの4着がやっと。全頭馬券圏外という屈辱を味わった。

続く2位タイも同じくサンデーサイレンスによるもので、10頭出しが2レース。2006年ヴィクトリアマイルは2番人気のダンスインザムードが桜花賞以来の勝利を挙げ、2着エアメサイア、3着ディアデラノビアと今度はサンデーサイレンス産駒が馬券圏内を独占。1番人気ながら9着に敗れたラインクラフトはくしくもエンドスウィープ産駒で、サンデーサイレンス軍団が2年越しのリベンジを果たした格好になった。

2005年天皇賞(秋)は天覧競馬として実施され、32秒台と極上の末脚を繰り出したヘヴンリーロマンスが勝利した。2着は1番人気ゼンノロブロイ、3着には13番人気ながらもダンスインザムードが粘り切って、こちらもサンデーサイレンス産駒が上位を独占。上記3レースに全て主役級として関わっていたのがダンスインザムード。サンデーサイレンス全盛期を盛り上げた代表的な牝馬といっていいだろう。

4位タイの9頭出しは3レースで記録。ここに登場するのがディープインパクト産駒の歴代トップ、2015年天皇賞(秋)で、この年覚醒したキングカメハメハ産駒のラブリーデイが勝利。今年のヴィクトリアマイルで10頭の産駒が無事にスタートを切れば、自己最多を更新する。

残る2レースはやはりサンデーサイレンスの記録で、ダイワエルシエーロが勝った2004年オークス(スイープトウショウ2着、ダンスインザムード4着)、2005年宝塚記念が並ぶ。このレースを制したのはまたもやスイープトウショウ。牡馬相手とあって11番人気の低評価だったが、サンデーサイレンス産駒を見ると燃えるのか、この年、暮れの中山でディープインパクトを倒すことになるハーツクライをもねじ伏せた。

ディープ産駒のヴィクトリアマイル好走パターン

ヴィクトリアマイル×ディープインパクト産駒の成績ⒸSPAIA


<ヴィクトリアマイル×ディープインパクト産駒の成績>
全体成績【3-4-4-31】勝率7.1%/連対率16.7%/複勝率26.2%
社台系生産+前走同騎手【3-2-3-9】勝率17.6%/連対率29.4%/複勝率47.1%
うち、前走同距離+3着以内【0-2-2-1】勝率0.0%/連対率40.0%/複勝率80.0%

2012年以降、ヴィクトリアマイルに延べ42頭の産駒を送り込んできたディープインパクト産駒。9レース中8レースで馬券に絡んでおり、唯一着外に終わった2015年は2頭(5番人気・7番人気)の出走。全滅の可能性はほぼゼロだろう。

種牡馬多頭出しは前述の通り、複数頭が馬券に絡みやすい。大本命グランアレグリアに加えて、今年のディープインパクト産駒で押さえたいのはテルツェットだ。ヴィクトリアマイルで馬券になった同産駒は全頭が社台・ノーザン系の生産。このうち前走から継続騎乗となる組は半数近くが馬券になっており、さらに前走がマイル戦で3着以内だった馬に限ると複勝率8割に。17年から4年連続で馬券になっている好走パターンだ。

該当馬はテルツェットとデゼルだが、前半タイトな流れになりやすい近年の傾向を考慮に入れると、スローの経験しかないデゼルは一枚落ちる。母父で見てもナスルーラ系(デゼル)は馬券圏内がないのに対し、母父ダンチヒ系(テルツェット)はドナウブルーやプリモシーンと同様の血統構成。2・3着に据えて狙い撃ちたい。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【ヴィクトリアマイル】グランアレグリアに逆らう余地なし! ハイブリッド式消去法で残るのは最大7頭
【ヴィクトリアマイル】今年も「リピート・リベンジ馬」の好走はあるのか? 牝馬マイル決戦の注目ポイント
【ヴィクトリアマイル】両雄並び立たず! グランアレグリアとレシステンシア、評価すべきはどっちだ?

おすすめ記事