【新潟大賞典】過去10年1番人気0勝、波乱傾向のレース ポタジェはジンクスを破れるか?

勝木淳

新潟大賞典インフォグラフィック1ⒸSPAIA

穴は高齢馬から

春の中距離戦線は後半戦に入る。宝塚記念はどうやらかなり豪華で強力な馬たちが集いそうで、ハイレベルな一戦になるだろう。そんなトップどころとは差がある組は、早くもサマーシリーズに目標を切りかえ始める。

その狭間のようなポジションにあるレースが新潟大賞典。例年大混戦、波乱の結末が多く、宝塚記念にはない馬券妙味がたっぷりある。大きな馬券を当てて、春後半戦に弾みをつけたいところだ。ここでは新潟大賞典の傾向についてデータ面から探っていく。なお、データは過去10年間のものを使用する。


過去10年人気別成績ⒸSPAIA


恐ろしいことに1番人気は【0-1-3-6】。勝ち馬が出ていないだけでなく、馬券圏内に入った馬も4頭止まりと少ない。混戦メンバーになり、買う側の事前評価が難しいという事情がこの数字に影響している。1番人気は毎年押し出されたような形になる。2番人気も【1-1-0-8】で頼りなく、3番人気【2-2-0-6】、5番人気【3-0-0-7】あたりがいい。10番人気以下【2-4-2-60】も含め、どこから入ってもいいレースだ。


過去10年年齢別成績ⒸSPAIA


次の指標は年齢別。ここもちょっと傾向をつかみにくい。4歳【3-2-3-20】勝率10.7%、複勝率28.6%、5歳【4-2-2-25】勝率12.1%、複勝率24.2%がひとまず好走ゾーン。6歳は【0-3-4-32】、連下級でいいが、7歳【2-3-1-26】が不気味。2勝はいずれも5番人気だが、2着は11、13、9番人気と穴が目立つ。4、5歳のポタジェ、ボッケリーニ、サトノエルドールらを中心に7歳ムイトオブリガードらまで気をつけたい。


過去10年斤量別成績ⒸSPAIA


ハンデ戦なので、斤量の傾向もみる。53キロ以下は【0-0-0-14】で軽量の一発は考えにくい。出走数が少ない56.5キロが【1-0-2-1】と目立つが、半端な斤量で該当馬がいるとは限らない。54~57キロあたりが好走ゾーン。トップハンデ扱いの58キロは【0-0-0-6】。もっとも今年はそこまで背負わされる馬はいなさそうだ。


ポタジェ好走の可能性は

どうにも絞りきれず、好走ゾーンが広いままなので、ここからは具体的な戦歴からなんとか好走ゾーンを見定めていきたい。


過去10年前走クラス別成績ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみると、重賞組【4-8-5-83】とオープン・リステッド【4-1-3-37】、3勝クラス【2-1-2-8】といった感じ。まずはオープン・リステッド組から。


過去10年前走オープン組レース別成績ⒸSPAIA


ステップレースにあたる福島民報杯が【3-0-3-18】勝率12.5%、複勝率25%で上位。今年は8着トーセンスーリヤがスタンバイ。まずはここに注目しよう。


過去10年前走福島民報杯組着順別成績ⒸSPAIA


ステップレースとはいえ、やはりローカルのオープンであり、格下感は否めない。新潟大賞典で好走するのは福島民報杯3着以内が【3-0-2-4】で大半。4着以下から巻き返したのは20年14番人気3着プレシャスブルーのみ。同馬は福島民報杯8着だった。今年も福島民報杯に出走、11番人気2着。同じ新潟で行われた一戦だけに出走すれば、注目だが……。昨年の勝ち馬トーセンスーリヤも不気味な存在ではあるが、同条件の福島民報杯凡走はどうだろうか。


過去10年前走重賞組着順別成績ⒸSPAIA


重賞組の着順別成績をみる。ローカル重賞らしく前走重賞好走馬は出走が少ない。3着以内なら【1-1-3-10】で好走率は高く、ポタジェ、ボッケリーニあたりは有力。ただし、4着【2-1-0-3】、10着以下【1-5-2-38】などほかにも好走ゾーンはある。日経賞4着ヒュミドールや小倉大賞典11着バイオスパーク、東京新聞杯13着ニシノデイジーなど狙って面白い。特にヒュミドールは、最後までしぶとく伸びた日経賞の内容からもスタミナ十分。今春の新潟の馬場で持久戦になれば、そこが活きるだろう。


過去10年前走重賞組距離別成績ⒸSPAIA


重賞組の前走距離との比較では前走2000m【2-4-1-42】、前走2000m未満【2-2-3-29】、前走が2000mを超える距離だと【0-2-1-12】。ポタジェら金鯱賞組やボッケリーニら小倉大賞典組を1着候補に、日経賞ら距離短縮馬を連下にといった感じで考えたい。

これら重賞組に3勝クラスを勝ったサトノエルドール、ダノンマジェスティらが好走候補。そこまで絞り切れなかったが、ポタジェはクリアしたデータも多く、やはり最有力候補。1番人気での勝利の可能性まで考えるべきか。ポタジェ以下は大混戦で、今年の新潟大賞典もデータからかなり難解な一戦といえる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。


新潟大賞典インフォグラフィック2ⒸSPAIA


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