【桜花賞】阪神ジュベナイルFの上位馬が主力も、穴馬は今年の重賞の上位馬

山﨑エリカ

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もっともレベルが高いのは、阪神ジュベナイルF

桜花賞出走馬のpp指数表,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


桜花賞の出走馬が経由したレースでもっともレベルが高いのは、指数「-17」で決着した阪神ジュベナイルFである。同レースで3着だった追込馬のユーバーレーベンは、次走のフラワーCで1番人気を裏切り、3着に敗れているが、これはフラワーCが超スローペースで前が楽な流れになったことが影響したもの。

一方、阪神ジュベナイルFで先行して17着に敗れたシゲルピンクルビーが、次走のフィリーズレビューで少し脚をタメただけで巻き返しVを決めている。つまり、阪神ジュベナイルFは案外と緩みないペースで流れており、逃げ、先行馬に厳しい流れだったということ。ユーバーレーベンは展開に恵まれ、シゲルピンクルビーは展開に恵まれなかったに過ぎない。

そうなると阪神ジュベナイルFで先行策からしっかりと結果を出したソダシが、本来であれば最有力となるが、同馬は別の要素で不安がある。それでも例年の傾向どおり、阪神ジュベナイルFの上位馬が主力と見るのが順当だろう。

能力値1〜5位を紹介

【能力値1位 ソダシ】
無敗で2歳女王の座についた史上初の白毛のGⅠ馬。速い流れを好位の内から馬群を捌いて、しぶとく粘った阪神ジュベナイルFは文句なしの強い勝ち方だった。先週のように馬場が悪化しなければ、スタミナが不足する休養明けでも大幅減点材料にはならない。また、この中間、坂路で自己ベストタイムを記録しているように、成長力も感じさせる。

ただし、その成長の方向がやや疑問。胸回りに筋肉がついて、これまでよりもダート色の強い体系になった。これが無敗で2歳チャンピオンとなったアジアエクスプレスのような成長曲線を描く予兆のようにも映る。父クロフネのように、基礎能力の高さで3歳GⅠで通用しても不思議ないが、中心視するには少し怖いものがある。

【能力値2位 サトノレイナス】
デビューから一度もまともにゲートを出たことがないという完成度の低さながら、デビューから2連勝し、前走の阪神ジュベナイルFでもソダシとハナ差の2着と好走。前走は中団中目でレースを運んだことで展開上は恵まれたが、押して押しての忙しい競馬になりながら、2着まで追い上げたのは立派。本来は全兄のサトノフラッグ同様に、もっと距離が伸びてこその馬なのだろう。しかし、素質の高さだけで、牝馬クラシック路線で通用してしまっている怖さがあり、この休養中に完成形に近づいていれば、ここで勢力図を覆しても不思議ない。

【能力値3位 メイケイエール】
折り合い難ながらも新馬戦、小倉2歳S、ファンタジーSを勝ち上がり、阪神ジュベナイルFでも外から早めに動いて4着と善戦した馬。前走のチューリップ賞でも最内枠から好スタートを決め、鞍上が抑え込んだら、引っ掛かって突進開始。前の馬を追い抜きだがる気性の持ち主でもあるようで、道中で進路を無理矢理こじ開けていく恐ろしい競馬だった。同馬を内に閉じ込めて前の位置を取ったシャーレイポピーが進路を開けてくれなければ、落馬まであっただろう。

あの内容だと包まれないことに最善の注意を払った騎乗になるはず。今回は8番枠。ゲートを出てから内に進路を切らずに、距離ロス覚悟で内を開けたままレースを進め、他がハナを主張すれば、それに行かせてその外から。他が行かなければ自身がハナを切ることも考えられる。

同馬が逃げた場合には、これまで前をぶっ潰してきた実績から他馬が競りかけようとはしない可能性が高く、まんまと逃げ切られてしまうことも考えられる。逆に道中で捲るように動いた場合には、同馬も前が潰れて、後続勢の餌食となる危険性もある。展開の鍵を握る、吉凶含みの馬である。

【能力値4位 ヨカヨカ】
新馬戦からひまわり賞まで3連勝を果たし、阪神ジュベナイルFでは他馬に競られて厳しいペースで逃げながらも4着と好走した、九州産馬の星。前走のフィリーズレビューでもポールネイロンがハイペースでレースを引っ張る中、勝ちに行く積極的な競馬をしたためにシゲルピンクルビーに差されたが、2着は死守した。メイケイエールが逃げてスローペースになった場合には残り目がありそうだが、逃げて阪神ジュベナイルFと同じような展開になった場合には、厳しいものがある。

【能力値5位 ホウオウイクセル】
デビューから上昇一途で、前走のフラワーCを優勝。同馬はサトノレイナスと違ってゲートは決められるが、二の脚で置かれて後方からレースを進める馬。前々走のフェアリーSは激流に恵まれての2着だったことから、前走のフラワーCでは評価を下げたが、1Fの距離延長が功を奏したこともあり、超スローペースの好位でレースを運んで、しっかり結果を出した。

前走から1Fの距離短縮は好ましい材料ではないが、前走で早めに動いて結果を出したのは収穫。マイル戦でもそこまで追走に苦労しないだろう。前が崩れる展開なら通用の余地がある。

今回の穴馬は、アカイトリノムスメとストゥーティ

【アカイトリノムスメ】
新馬戦こそ7着と完敗だったが、その後に休養させて成長を促し、3連勝でクイーンC優勝と軌道に乗った。同馬もサトノレイナス同様にゲートが決められない馬ではあるが、二の脚が速く、出負けしても好位に取り付ける脚を持っている。このように道中で動ける馬だけに、外枠が欲しかったが、5番枠なら致命的に悪い枠でもない。キャリア4戦と浅い馬だけに、伸び代もあるだろう。

【ストゥーティ】
新馬戦ではレッドベルオーブを2着に下し場を作って勝利し、デビュー2戦目のアルテミスSでは、ソダシと0.4秒差(4着)と好走した。前走のチューリップ賞では、マイペースで逃げたところを3角でメイケイエールにこじ開けられて同馬が先頭に立ったので、それを見ながらレースを運んで行く形。完全にメイケイエールにレースを崩されたが、それでも3着に粘れていたのは収穫。また、前走で同馬本来の実力を出し切れなかったあたりから、ここでの上昇度が伺える。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ソダシの前走指数「-17」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.7秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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