【桜花賞】まずは馬体重を見ろ!一発の可能性を秘める伏兵はファインルージュ

佐藤永記

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クラシック初戦に必要なのは馬体重

いよいよ3歳G1の開幕戦となる桜花賞がやってきた。今年はなんといっても白毛のヒロイン・ソダシの注目が高そだし……なんとか当てたい。

まずはデータを出す前に桜花賞というレースをイチから考えてみよう。桜花賞は距離が1600mと、クラシックで一番短い距離のレース。血統や距離適性を探るのが大事そうである。

だが、私はもう一つの特徴である「早い開催時期」に注目したい。この後皐月賞やNHKマイルカップ、オークス、ダービーと続く3歳G1戦線の最初となる桜花賞。以前、朝日杯FSを予想する際に「生まれた日の早さ」が2歳戦では重要であるという解説をしたが、桜花賞でもそれに近い理由で、あるデータが際立った傾向を示している。

それは馬体重だ。3歳の4月は人間でいえば大体高校生から大学生になったくらいの成長時期である。体としては9割前後の成長度といえる時期で、まだ完成したとはいえない。成長度にはまだまだ個体差が大きく出てくる。加えて短距離向きのスピードも求められる舞台で、長距離選手のようなスラリとした体型が向かないのは想像に難くない。

桜花賞の馬体重別勝利数,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

桜花賞の当日馬体重別成績ⒸSPAIA


実際に桜花賞の馬体重別成績を見てみる。過去10年の勝ち馬で一番軽かったのは2011年に452kgで勝ったマルセリーナ。2番目に軽かったのが2012年、456kgだったジェンティルドンナとなる。3番目になると462kg(2018年アーモンドアイ)と460kg台に突入し、勝ち切るにはある程度の筋肉を伴う馬格が必要だということが一目瞭然だ。

もっとわかりやすく絞ると当日馬体重が450kg未満だった馬の過去10年成績は【0-5-6-75】。ヒモには入れてもよいが、1着となると厳しいことがわかる。単勝や馬単、3連単を考える上では心強いデータとなるはずだ。

圧倒的優勢の「前走同距離組」

桜花賞・前走レース距離比較成績ⒸSPAIA


そしてもうひとつ、どの馬もキャリアが少ない桜花賞において圧倒的に有利となるデータがある。それは前走の距離だ。前走が桜花賞と同じ1600mだった馬の成績が過去10年で【9-10-7-79】。つまり、ほとんど前走1600m組で桜花賞上位が独占されているのである。

勝ち馬で唯一の例外だったのが2017年の優勝馬レーヌミノルだ。前走は1400mのフィリーズレビューで2着だが、元々1600mのG1・阪神JFで3着と好走していた馬だった。このように前走の距離が違う馬を狙うには「1600mだったら」という根拠がなければ厳しそうだ。近年のフィリーズレビュー組は不振が続いているが、やはり出走回数がまだまだ少ない3歳牝馬にとって、前走と距離が変わって大舞台というのが厳しい条件だということは想像できよう。

一つ目の「馬体重450kg以上」というのは前走馬体重から推測するとして、「前走同距離組」も加えて両方満たしているのが登録馬から5頭。エリザベスタワー、サトノレイナス、ソダシ、ファインルージュ、メイケイエールだ。有力馬の割合は当然高くなるが、その中で私が注目しているのはファインルージュだ。

桜花賞といえば前走中山組の散々な成績が有名で、過去10年では【0-0-0-32】という明らかな「消し条件」。前走が中山だったファインルージュはそれに当てはまるように見える。だが、この前走中山を簡単に消すのは個人的には「データの罠」だと考えている。なぜなら、前走中山だった馬の大半は3月のアネモネSかフラワーCで、1月のフェアリーSだった馬は3頭しかいないレアケースだからだ。そしてファインルージュの前走はフェアリーS。

果たして前走中山だから消し、の一言で片付けて良い馬なのだろうか。サンプルが少ないパターンであれば「データではわからない」と示すことも、データ予想として大事なことだと個人的には考えたい。

フェアリーSからの直行成績を見ると【0-0-0-3】となるが、昨年桜花賞3着のスマイルカナはフェアリーSを勝っており、チューリップ賞7着からの巻き返しだった。なので「消しローテ」ではない可能性は大いにある。ピックアップした他の4頭は有力馬のため、馬券としては人気にならなさそうなファインルージュの一発に期待して、単勝と他4頭へのワイドで夢を買ってみたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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