【桜花賞】「トライアルを経由しない」など5つの好データ 全て満たすのはサトノレイナスと意外な穴馬

門田光生

桜花賞出走馬のキャリア別成績(過去10年)ⒸSPAIA

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「トライアル以外」がトレンドに?

牝馬が強いといわれる近年の競馬。2010年代に活躍した牝馬といえばジェンティルドンナ、アーモンドアイ、そしてまだ現役だがグランアレグリアの名前が思い浮かぶ。この3頭はいずれも桜花賞で初GIのタイトルを獲得し、その後の活躍へとつなげていった。今年のメンバーからも、のちに「名牝」と呼ばれる馬が現れることを期待したい。

その桜花賞は2021年4月11日(日)に阪神競馬場で行われるが、この週を含めて施行される第2回阪神開催は、すでにネット申し込みによる指定席限定での入場制限が決定済み。ここに合わせて咲き誇るであろう桜を、多くのファンが生で見ることができないのは残念で仕方がない。そのうっぷんは予想、そして馬券を的中させて晴らすしかないだろう。今回も過去10年のデータを基にして、的中への近道を探り当てたい。

 桜花賞出走馬の所属ⒸSPAIA


桜花賞を東西の所属別で比べると、美浦所属が4連対に対して、栗東所属は16連対。勝率はさほど変わらないが、連対率では倍以上の差がある。ただ、上記に名前が出たアーモンドアイとグランアレグリアの2頭は美浦所属馬。ここ4年だと東西で2勝を分け合っている。

チューリップ賞組の成績ⒸSPAIA
桜花賞出走馬の前走クラスⒸSPAIA


桜花賞といえばチューリップ賞、というぐらい結び付きが強い両レースなのだが、最近は少し傾向が変わってきたようだ。確かに、ここ10年で見るとチューリップ賞組は5勝しており、勝ち馬の半分を輩出している王道レースとなる。しかし、近5年だと1勝、しかもここ4年続けてチューリップ賞組以外から勝ち馬が出ている。

さらに2018年のアーモンドアイはシンザン記念、2019年のグランアレグリアは朝日杯FS、そして2020年のデアリングタクトはエルフィンSと、トライアルレース以外から勝ち馬が出ているのも見逃せない。近年のGIと同様、間隔が開いて出走してきた馬が活躍する傾向にあるようだ。

前走をクラス別で比較してみると、GⅢクラス経由組が12連対と他路線を圧倒している。もちろん、これはGⅢ時代のチューリップ賞が大きく貢献しているのは間違いない。GⅡに昇格してからのチューリップ賞から勝ち馬が出ておらず、同じくGⅡのフィリーズレビューも頭数の割に好走馬が少ないこともあって、GⅡ組の勝率が極端に悪くなっている。ただチューリップ賞(GⅡ)に関しては連対率自体は悪くないので、割り引くのはフィリーズレビュー組だけとする。

追い込み馬が活躍

桜花賞出走馬の前走脚質ⒸSPAIA
ディープインパクト産駒の成績ⒸSPAIA


桜花賞は芝マイルの外回りで行われる。脚質の有利・不利はさほどない印象だが、このレースに限っては前走で追い込んだ馬が7連対、差す競馬をした馬が6連対。これだけ追い込み馬の成績がいいのも珍しい。本番を見据えてじっくり構えるレースをした馬が好結果を出しているようだ。

直線の瞬発力勝負はディープインパクト産駒が得意とするところで、9連対と好成績を残している。2位がダイワメジャー産駒の3連対だから、いかにこの舞台が得意かを物語っている。しかし、これもチューリップ賞と同じ傾向が出ており、過去10年の【5-4-2-28】に対して、近5年だと【1-1-1-20】。明らかに好走率が下がっている。

桜花賞出走馬のキャリアⒸSPAIA
桜花賞出走馬の前走着順ⒸSPAIA
桜花賞出走馬の前走人気ⒸSPAIA


桜花賞における理想のキャリアは3~4戦。連対馬20頭中、この2組で15頭を占めている。キャリア5戦を超えると極端に数字が落ちてしまい、キャリア7戦以上の馬から馬券に絡んだ馬は出ていない。

前走着順だと、前走で3着以内に入っていた馬が17連対。トライアル好走馬には優先出走権が与えられるので、当然ながら前走好走馬の出走頭数が多くなり、この結果にも納得。ちなみに、前走4着以下だと勝率が1%台になる。トライアルで権利を取れず抽選で回ってきた馬の多くもここに含まれていると思うが、この数字を見ると抽選をくぐり抜けた運はあまり関係ないようである。

前走人気に関しても、1、2番人気に支持されていた馬の好走率がよく、3番人気以下とは大きく差がついている。

桜花賞出走馬のマイナスデータⒸSPAIA


最後に、桜花賞でのマイナスデータを。まず前走馬体重、または当日の馬体重が500キロを超えていた馬は馬券に絡んでいない。最近は大型馬が活躍しているレースが多かったが、当然ながら逆のパターンもあるということか。サンプル数は少ないが、気になったので取り上げてみた。続いて前走で1秒以上負けていた馬も勝率0%、連対率は5%を切っている。やはり負け過ぎは精神的にもよくないのかもしれない

一冠目はサトノレイナス

桜花賞の好走、凡走パターンをまとめてみる。まず好走パターンは、A「前走がトライアル以外」B「前走で差し、追い込みの競馬」C「キャリア3、4戦」D「前走3着以内」E「前走2番人気以内」の5つ。

一方、凡走パターンは、F「フィリーズレビュー組」G「キャリア5戦以上」H「前走馬体重が500キロ以上」I「前走で1秒以上の負け」となる。

今回、好データをすべて満たしたのは、阪神JF2着馬サトノレイナスと、フェアリーSの勝ち馬ファインルージュ。この2頭が今回の本命候補となる。

ともに3戦2勝の美浦所属馬で、ノーザンファーム生産馬。共通点は多いが、当然ながら違うところもある。まず父親。サトノレイナスの父ディープインパクトはここ10年で5勝を挙げており断トツの実績だが、文中で書いたように近5年だと成績がガクンと落ちる。一方のファインルージュの父キズナは種牡馬になって日が浅く、この桜花賞には2頭しか出走していない。

続いて前走。サトノレイナスは昨年12月の阪神JFで、ファインルージュは1月のフェアリーS。ともに3か月以上の間隔あきとなるが、冒頭に出てきた関東馬、アーモンドアイとグランアレグリアも3か月以上の間隔あきで桜花賞を制している。これは両馬にとって、何より心強いデータといえる。個別に見ていくと、フェアリーSからはこれまで3頭が出走してすべて着外。一方の阪神JFは4頭が出走し、2014年のレッドリヴェールが連対を果たしている。今回はその差で◎サトノレイナス、◯ファインルージュとする。

今回、最も強いデータは「キャリア3、4戦」の馬となるか。何せこの2組で15連対、しかもここ3年だと6頭中5頭がそれに当てはまり(残る1頭はキャリア2戦のデアリングタクト)、近年のトレンドにもなっている。この項目をクリアし、かつほかの好データも複数持っている馬はアカイトリノムスメ、ストライプ、ソダシ、ソングラインの4頭。このうち、マイナスデータのH「前走馬体重が500キロ以上」を持っているストライプ以外の3頭が相手候補となる。

◎サトノレイナス
◯ファインルージュ
▲アカイトリノムスメ
△ソダシ
×ソングライン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
経験上、三強対決は悪くても2頭の決着で決まることが多いのですが、大阪杯は3頭とも連を外すとは。馬場と展開。この恐ろしさを改めて感じました。ちなみに、グランアレグリアとレイパパレのワイドを持っていた筆者は、ゴール前で鼻血が出そうになりました。

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