【阪神大賞典】アリストテレスは能力値1位も気になるのは?

山崎エリカ

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阪神大賞典は芝3000m以上での実績が重要

芝3000m戦の阪神大賞典は長距離適性が求められる。実際に過去10年の連対馬20頭中10頭に、前年~同年の芝3000m~3400mの重賞で連対実績があった。

今年、該当するのは昨年の菊花賞の2着馬アリストテレスと昨年の阪神大賞典の覇者ユーキャンスマイルだ。昨年のダイヤモンドSで3着馬に8馬身差をつけた、新興勢力のグロンディオーズやオーソリティが不出走となれば、前記2頭が上位人気に支持されるのも当然のこと。

しかも、アリストテレスは菊花賞でコントレイルとマッチレースを演じており、同世代では最もコントレイルを脅かした存在。先週の金鯱賞のデアリングタクトやグローリーヴェイズのように、スタミナが不足する休養明けの馬は、道悪になるほど取りこぼしが目立つが、アリストテレスは不良馬場の前走AJCCで人気に応えており、ここでは能力値、最高値ともに1位だ。

しかし、「不良馬場で好走」というのは危険もともなう。2012年のルーラシップも不良馬場のAJCCを勝利し、続く日経賞では断然の1番人気に支持されながら3着に敗れている。

不良馬場での好走、善戦は消耗度が高く、次走で疲れを残しやすいことを忘れてはいけない。それにここを勝たなくても天皇賞(春)に出走できる立場であるのも事実である。

ユーキャンスマイルは逆転まである?

アリストテレスの逆転候補は、昨年の阪神大賞典を制したユーキャンスマイルだろう。昨年は大出遅れしたキセキが向正面で一気に上がて、前にいた2頭に競りかけたことで、一気にペースが速くなった。

後方2番手の内々で脚をためていた同馬は展開に恵まれた感が強い。また、長距離戦は特に距離ロスが致命的となるが、3~4角でも中団馬群の中目を押し上げ、4角でうまく2列目の内のスペースを拾い、直線ではキセキの内からというロスを最小限に止めた運びも完璧だった。

こう書くと、ユーキャンスマイルは強いように感じないかもしれない。しかし、同馬はもともと金鯱賞に出走する予定だったが、体が絞り切れずに回避し、阪神大賞典に出走。それでも追い切りの動きに物足りなさを感じ、当日も馬体重12㎏増と太目残りだったが、それでも優勝した。自己最高指数「-23」を記録というおまけ付きでもあった。体を絞り切れなかった昨年の天皇賞(春)でも4着に善戦しているので、よほど長距離適性があるのだろう。

今回は立て直されての一戦である。昨年の古馬GⅠで通用しなかったことで、GⅡであるここを目標にしての出走してくるはず。実際に追い切りの動きが最悪だったジャパンCの時と比べると太目感なく良化しており、及第点は与えられる。昨年の走りを見せられれば馬券圏内には食い込めるだろう、

その他の、能力値2~5位を紹介

【能力値2位 ナムラドノヴァン】
意欲の連闘策、芝3000mの万葉Sで一変したステイヤーだ。スタートも二の脚も遅く最後方からの競馬となったが、向正面で中団外目まで押し上げながら、4角で外々を回って勝利した。決して展開に恵まれたわけではないが、ハンデがメンバー中最軽量の51㎏と恵まれた面はあった。

最内枠だった前走のダイヤモンドSは、中団内で包まれて3角からに出していく競馬。後半が速い流れになった中で、ロスの大きい競馬になってしまったが、これは二の脚が遅く、いい位置を取れない弱点だからこそ。うまく前の位置を取って、ロスの少ない競馬ならステイヤーズSのタガノディアマンテのような大仕事をやってのけそうだが、上位2頭に大きく離されたことを考えると狙いにくい。

【能力値3位 ショウリュウイクゾ】
格上挑戦した前走の日経新春杯では、7番人気ながら優勝。今回はダークホースのような位置付けだが、前走は馬場の内側が悪化した状況下で、スローペースの2列目外と、展開も馬場も味方した。また、ハンデも53㎏と軽かったが重賞を勝ったことで、今回はアリストテレスよりも重い斤量57㎏を背負うことになる。その上、今回は休養明けで自己最高指数「-22」を記録した後の一戦。反動が出る危険性もある上に、初めての長距離戦となると狙いにくい。

【能力値4位 アドマイヤジャスタ】
ホライゾネットを着用した函館記念で一変し、重賞初制覇を達成。函館記念はトーラスジェミニが逃げて、ゴールに向かって減速していく超絶ハイペース。やや出負けから中団外目でレースを運んだ同馬は展開に恵まれてはいるが、ここで自己最高指数「-22」を記録したことは大きい。

その後は休養を挟みながら3戦。順調さを欠いた面もあるだろうが、序盤から置かれて前の位置が取れないので、芝1800m~芝2000mは本質的には忙しい。3000mが正解かはともかく、中距離よりは可能性が広がるのも事実。

【能力値5位 ダンスディライト】
良血馬で上位人気に支持されるが、期待を裏切る走りが続いていた。前々走オリオンSでは、最内枠を利して好位の内を立ち回り、直線では最後までしっかり伸びて完勝。ペースが遅かったにせよ、レースの流れに乗って結果を出したことは本格化を感じさせるものだった。

前走の京都記念は重賞初挑戦。4番手ラヴズオンリーユーの直後から動いていく形。結果的にラヴズオンリーユーとともに動いたことでしまいが甘くなった、現状では重賞のメンバーを相手に勝ちに行く競馬では苦しい。道中でしっかりと脚をためて後半に特化させた競馬なら、通用の余地はあると見る。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)アリストテレスの前走指数「-24」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

2021年阪神大賞典PP指数

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