【金鯱賞】デアリングタクトに全幅の信頼は置けず 開幕週の馬場で逆転可能な馬とは?

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金鯱賞4角通過順位別成績インフォグラフィックⒸSPAIA

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実績馬の春始動戦

3月14日(日)に中京競馬場で行われる金鯱賞 (GⅡ・芝2000m)。出走頭数は10頭とやや少なくはなったが、今年緒戦を迎えるデアリングタクト、キセキ、グローリーヴェイズ、ペルシアンナイトのGⅠ馬を筆頭に、例年以上の好メンバーが顔をそろえた。

そんななかでも昨年の三冠牝馬デアリングタクトが抜けた人気を集めているようだが、馬券で狙うべきは果たしてどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、3月の中京開催で施行されるようになった過去4年の傾向を分析する。

金鯱賞のタイムと4角通過順位(過去4年)ⒸSPAIA


冬季に開催されていた頃は、典型的なローカル重賞とメンバーレベルに大差がないこともしばしばあったが、春季に開催されるようになって様相が一変。ここ3年はスワーヴリチャード、ダノンプレミアム(2着リスグラシュー)、サートゥルナーリアが制しており、久々でも有力馬たちがきっちり結果を残すのがひとつのパターンとなっている。そういう意味で大きな波乱は起こりにくい条件と考えるべきかもしれない。

レースの質という点では、特に近3年は手頃な頭数に収まっていることもあり、スローの上がり勝負が続いている。さらに開幕週(2020年のみ1回中京6日目に施行)という条件も重なって前残りが頻発しており、逃げた馬は17年ロードヴァンドール(7人気2着)、18年サトノノブレス(8人気2着)、20年ダイワキャグニー(6人気3着)としばしば穴をあけている。伏兵サイドが番狂わせを起こすためには、とにかく先手を取る必要があるものと心得ておきたい。

少頭数でも内枠重視

過去5年の中京芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA


続いて枠番別成績をチェック。過去5年では勝率と連対率で2枠がトップの数字を残しており、比較的に真ん中から内目の枠が好成績を残している。このような傾向は8~12頭の少頭数のレースに限った場合でも同様であり、1~5枠が複勝率32.2%に対して6~8枠は25.4%という数字にとどまっていた。

少頭数なら枠順による有利不利は小さいとみなしたくなるところだが、この条件に限っていえば考慮する必要はあると考えるべきだろう。開幕週の馬場という条件を考えても、やはり内で運べそうな馬を中心視せざるを得ない。

久々の10F戦でも

本命はグローリーヴェイズとする。前走のジャパンCでは積極的に出していく競馬で勝負に出たが、最後は後続に差されての5着。3強の一角崩しはかなわなかったが、初の府中であれだけのメンバーを相手にしていたと思えば善戦した格好だろう。もともと気性は前向きなタイプのため久々の2000mへの短縮に大きな不安はなさそうで、開幕週の中京という条件も併せて考えれば前走で先着を許した相手でも逆転のチャンスはある。

鞍上の川田騎手は前に付ける競馬で結果を残す印象が強いジョッキーだが、実際に過去5年の継続騎乗の重賞レースで前走4角2番手以内だったときは【13-5-2-20】で複勝率50%、複回収率104%と結果を残している。馬券の軸として信頼したい。

対抗はデアリングタクト。ジャパンCは直線で外に出すことができず3強のなかでは一番苦しい競馬を強いられたが、最後は地力だけで3着まで押し上げて見せた。前哨戦のここで崩れるとは考えにくいが、いつものように中団以降で運ぶ形になれば、差し届かないおそれもある。その点で全幅の信頼は置きにくく、2番手までの評価としたい。

3番手はブラヴァス。大舞台での実績はないものの、芝2000mの重賞に絞って安定感のある競馬を続けているのはやはり評価すべきポイント。休み明けで【3-1-0-0】と鉄砲が利くタイプでもあるし、力を発揮できる条件は整っていると言える。福永騎手の継続騎乗というのも心強い。

4番手にキセキ。ゲート難を抱えるが、GⅡのメンバーなら、やはり力上位。もう7歳になるが昨年の秋の天皇賞でも善戦しており、2000mという距離への対応も心配はないだろう。ただ条件的に後ろからでは厳しいのは明らかであり、何とかスタートを決めて、いい位置を確保してほしいところだ。

以下、相手には4連勝中の良血馬ポタジェまで押さえておく。

▽金鯱賞予想▽
◎グローリーヴェイズ
○デアリングタクト
▲ブラヴァス
△キセキ
×ポタジェ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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