【ディープ記念】ダノンザキッド、シュネルマイスターら素質馬集結 中山適性抜群の1頭は?

坂上明大

2021年弥生賞ディープ記念の参考レースインフォグラフィックⒸSPAIA

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「成長著しい2戦2勝馬」

今年の3歳牡馬路線は素質馬揃い。年明けだけでも京成杯のグラティアス、セントポーリア賞のグレートマジシャン、共同通信杯のエフフォーリアなどが本番も楽しみになる走りを既に見せている。最優秀2歳牡馬ダノンザキッドも負けていられないが、今回は他にも強敵が集結。本番に向けて目が離せない一戦だ。

【ひいらぎ賞】
1着馬シュネルマイスターはゲートは速くなく、前半は馬群で折り合いに専念。3角から促し始めて、直線は内目から楽々抜け出して3馬身差の快勝。勝ち時計は翌日の古馬2勝クラスより速く、ラストは流す余裕もあった。新馬戦でも高い素質を見せたが、身体を増やしてさらにパフォーマンスを上げている。

Kingman産駒らしい筋骨隆々の好馬体で、特に立派なトモは目立つところ。Never Bend血脈を豊富に内包し、立ち肩で掻き込みの強いフットワークだから力のいる馬場向き。ひいらぎ賞でのレースぶりなら2000mまでこなせてもいい。

「粗削りの大器」

2020年ホープフルSのトラックバイアスⒸSPAIA



【ホープフルS】
ランドオブリバティが掛かり気味に引っ張り、前後半1000m61.9-60.9の後傾1.0秒の平均ペース。内が荒れ始めていたが、同日12Rが内々決着だったことを考慮すると、馬場状態もフラットと見るべきだろう。

1着馬ダノンザキッドは先団外目で運び、3角から促し始める形。ただ、3角では逆手前のまま強引にポジションを上げようとしており、ここでのスタミナロスは相当大きかった。さらに、4角ではランドオブリバティの煽りを受ける形でもあり、その中での勝利には大きな価値がある。

気性面も身体面もまだまだ完成途上ではあるが、先行力のあるハーツクライ→ジャスタウェイの産駒はなかなか崩れることがない。本馬はLyphardの5×5も利いており、先行粘着型としては一級品の素質馬だ。

4着馬タイトルホルダーは道中からやや行きたがる面を見せ、4角ではダノンザキッドとともにランドオブリバティの逸走による距離ロスも受けた。ただ、ダノンザキッドとの差は決定的であったか。母父にMotivatorを持つピッチ走法の先行馬。小回り中距離戦に強い先行力と機動力がある。決め手に欠けるタイプだが、中山芝2000mは合っているだろう。

「ハイペース巧者の2頭」

【京成杯】
タイムトゥヘヴンが枠なり、発馬なりにハナを切ったが、掛かり気味だったところを抑えたことで3~4Fは14.0-13.3と大きくラップを落とした。ここでペースダウンに付き合わされた先行馬や内目の馬はやや不利を受けた形だったか。とはいえ、前半1000m63.7とかなり緩い流れだっただけに「前有利」であったことは間違いないだろう。

2着馬タイムトゥヘヴンは上記の通り展開に恵まれた感は否めない。ただ、Hyperion色の強いタフな馬だけに3戦目のようなハイペースの方が相対的に強さを発揮するタイプだろう。さらに、ラストは3完歩ほど流してのゴールインでもあり、3着以下には力差を見せつけた形だった。

3着馬テンバガーは母トップセラーの仔らしく背中の長い持続力タイプ。加速部での反応はイマイチだったが、ラスト1Fの伸びは悪くない。父がモーリスでもあり本格化はまだ先だろうが、積極策に出れば粘り込むチャンスはあるだろう。

「素質馬の成長度に注目」

先行粘着型としては一級品のダノンザキッド。G1級との瞬発力勝負ではやや分が悪いだろうが、中山では本馬から逃げ切るのも差し切るのも至難の業だ。ただ、賞金に余裕がある分、仕上がりには要注意。中山適性ではシュネルマイスターも外せない。力のいる馬場になればさらに高いパフォーマンスを見せそうだ。前哨戦らしく素質馬の成長度に注目したい。

注目馬:ダノンザキッド、シュネルマイスター

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。


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