【京都記念】今年は「持久力」と「ロングスパート力」が必要 ダービー馬ワグネリアン復活の可能性は?
山崎エリカ
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差し馬有利
今年の京都記念は、例年の宝塚記念や昨秋のエリザベス女王杯と同じ阪神芝2200mが舞台。阪神芝2200mは外回りの4コーナー奥からスタートして、前半が下り坂。1コーナーまでの距離が長く、前半のペースが上がりやすい。またラスト1Fで急坂があるため、先行馬よりも坂の下りで勢いに乗せられる差し馬の方が有利。また、スピードや瞬発力よりも、持久力やロングスパート力が求められる。
能力値1〜5位は?
【ラヴズオンリーユー 能力値1位】
4戦4勝でオークスを制した実績馬。オークスで倒した相手はカレンブーケドール、クロノジェネシス。ライバルたちの成長度を考えると、同馬は伸び悩みの感がある。そうは言っても強敵が揃った阪神芝2200mのエリザベス女王杯では、ロングスパートで伸びてラッキーストライクと0.1秒差の3着に好走。ここでは能力値1位、最高値も1位タイとなる。
前走の有馬記念は、エリザベス女王杯で展開に恵まれ、激走の疲れが残ったようで、不甲斐ない敗戦。エリザベス女王杯の走りで疲れが残ってしまうようでは、3歳時のイメージほど強くないのかもしれない。高速馬場の阪神芝2200mという条件は合うが、馬場がタフになると、3走前の府中牝馬Sの二の舞になる危険性もある。
【ステイフーリッシュ 能力値2位】
芝の中距離の重賞では、安定して好成績を残している。同馬はあまり瞬発力がないので、自ら動くレースをしなければ上位争いに加われない。このため苦しい展開を強いられがちだが、粘り強く好走を続けている。
このように安定して走るタイプは、成績面よりも高い潜在能力を秘めていることが多い。極悪馬場の前走AJCCも苦しい展開だったが、とにかくしぶとかった。ただ、休養明けであそこまで頑張った直後の一戦だけに、体調面の不安はある。高い潜在能力でカバーできるか。
【ジナンボー 能力値3位】
現状では前でレースをすると渋太く粘るが、待機策だと最大能力を出し切れない。昨夏の新潟記念では途中から先頭に立って持ち味を生かし切ったことで2着に好走した。ただし、同馬は出負け癖があり、その点で自分の得意な形に持ち込めない危険性がある。一発の可能性は秘めるが、半信半疑の存在。
【ダンスディライト 能力値4位】
母ダンスインザムードの良血馬。その為か上位人気に支持されることが多く、期待を裏切る走りが続いていたが、阪神芝2200mの前走オリオンSでは、最内枠を利して好位のインを立ち回り、直線でしっかり伸びて完勝。楽にレースの流れに乗れた内容は、本格化を感じさせるものだった。ここからグンと上昇するのか、それともハンデGⅢで勝ったり負けたりの存在になるのか、試金石の一戦。
【ワグネリアン 能力値5位】
2018年のダービー馬。古馬になってからはやや期待外れな成績が続いているが、着差はいつも小差で能力は高いところを見せている。前走の宝塚記念は激流を先行した為に、キャリア初の2桁着順に大敗してしまった。ただ前走の厳しいペースの経験は、中途半端な状態だった同馬の覚醒を促す可能性がある。今回は休養明けになるが、喉鳴り手術を無事に終えて、順調にきているよう。ここで復活の可能性は十分に期待できる。
【ダンビュライト 能力値5位】
この馬もステイフーリッシュ、ジナンボー同様に前に行って粘ることで能力を発揮することが多い馬。一昨年の京都記念の勝ち馬であり、その前年にはAJCCを制しているように、この距離を得意としている。しかし、去勢後の昨年の3戦は不振に終わった。以前のようにあまり前半で無理が利かなくなっており、前走から距離短縮となる今回は前にすら行けない可能性もある。今回が休養明けというのも、いかにも始動戦で叩き台と言った感が強い。
穴馬はモズベッロとサトノルークス
モズベッロは昨年の日経新春杯勝ちの実力馬。キセキの暴走で激流となった昨年の宝塚記念でも勝ち馬クロノジェネシスに離されたとはいえ、中団の外で脚をためて3着と善戦している。極悪馬場の前走AJCCでは出負けしたものの、馬場の良い外目に出しながら5着と善戦。ここも前がしっかりとレースを引っ張って持久力勝負になれば、上位争いに加われる可能性が高まる。
サトノルークスは昨秋の菊花賞で2着と好走しているように、ステイヤー適性が高い。距離が忙しい鳴尾記念や小倉記念の敗戦は仕方ないにせよ、前走のアルゼンチン共和国杯で13着に大敗したのは、スローペースの後半勝負の展開だったことを考慮してもいただけない。しかし、今回は再調整されての一戦。3歳時にはセントライト記念で2着の実績があるように、芝2200mは主部範囲。阪神に変わるのも好材料で、ここで一変する可能性もある。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ラヴズオンリーユーの前々走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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