【AJCC】アリストテレスの取捨は枠次第 ハイブリッド式消去法で確実に残るのは?

八木遊

過去10年のAJCC『非社台系生産馬』かつ『中8週以上』の成績インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

5つのデータから絞れた馬は?

先週の『愛知杯』では、1番人気センテリュオを消したまでは良かったが、消去を免れた4頭の着順は1、9、10、12着。2~3着馬を消しており、的中はならなかった。

今週は中京で東海Sも行われるが、中山の『AJCC』の方を取り上げる。過去10年のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、消去対象を1頭でも多く見つけたい。登録17頭から最後まで残るのは一体どの馬になるだろうか。

『前走初角4番手以内』×『前走4角3番手以下』★0.0%★

最初は、前走の位置取りから複勝率0%のデータを探した。それが、前走の最初のコーナーを4番手以内で通過後、4コーナーでは3番手以下だった馬だ。前走初角4番手以内の馬は過去10年で【5-2-1-33】(複勝率19.5%)。このうち前走4角を2番手以内で通過していた場合は【5-2-1-16】(複勝率33.3%)だが、3番手以下だと【0-0-0-17】とすべて馬券圏外に消えていた。

あくまでも前走の位置取りを取り上げたが、ロングスパートの競馬になりやすい中山外回りでは、先行馬のスタミナは非常に重要。今年は、前走のエリザベス女王杯での通過順が「3-3-3-6」だったウインマリリンなど3頭が1つ目のデータに当てはまった。

【今年の該当馬】
・ウインマリリン
・ソッサスブレイ
・ナイママ

『非社台系生産』×『前走から中8週以上』★0.0%★

続いては生産者別データを取り上げる。いつものように社台系と非社台系に分けると、前者は【6-7-5-41】(複勝率30.5%)、後者は【4-3-5-63】(複勝率16.0%)で、社台系が優勢だ。非社台系の好走条件は前走からの間隔が空きすぎていないこと。中8週以上の間隔を空けて出走してきた場合は【0-0-0-13】で好走例がなかった。

今年この条件に当てはまったのは5頭。アルゼンチン共和国杯から中10週で参戦するサンアップルトンなど3頭が新たに消去対象となった。

【今年の該当馬】
・(ウインマリリン)
・サンアップルトン
・(ソッサスブレイ)
・ノーブルマーズ
・ベストアプローチ

『前走が重賞以外』×『キャリア15戦以上』★3.3%★

3つ目は、前走クラス別成績から消去データを探した。前走が重賞以外(リステッド以下)からの参戦は過去10年で41頭。その成績は【1-2-2-36】(複勝率12.2%)である。この41頭をキャリアで分けると15戦未満の場合は【1-1-2-7】(同36.4%)で好走率は高い。一方、キャリア15戦以上を消化していた場合は【0-1-0-29】。馬券圏内は、2016年スーパームーンの2着があるだけだ。

今年この条件に当てはまったのは消去済みも含めて5頭。新たにランフォザローゼスなど3頭の消去に成功した。

【今年の該当馬】
・ジャコマル
・(ソッサスブレイ)
・(ノーブルマーズ)
・マイネルハニー
・ランフォザローゼス

『前走距離2600m以上』×『前走上がり4位以下』★5.9%★

4つ目は、前走の距離にスポットを当てたい。距離短縮組は【7-2-2-38】(複勝率22.4%)で信頼度は高い。しかし好走組のほとんどが2400mか2500mを走っていた馬だ。2600m以上からの参戦に絞れば【1-2-0-19】(複勝率13.6%)で数字は落ちる。さらに前走の上がりが4位以下という条件を加えると、【0-1-0-16】と一気に信頼度は低くなる。

今年このデータに当てはまったのは2頭。タガノディアマンテはステイヤーズS2着、ヴェルトライゼンデは菊花賞7着からの参戦。どちらも前走で速い上がりを使えていなかったため、消去対象となった。

【今年の該当馬】
・タガノディアマンテ
・ヴェルトライゼンデ

『馬番11番~』×『父もしくは母父がSS系』★4.0%★

最後は、枠と血統を掛け合わせて消去データを探した。過去10年のAJCCを馬番別に3つに分けたところ、外枠が圧倒的に不利ということが分かった。馬番1~5番は【3-5-5-37】(複勝率26.0%)、6~10番が【5-3-5-36】(複勝率26.5%)なので、10番枠まではほぼ変わらない。しかし、11番から外に入ると【2-2-0-30】(複勝率11.8%)で複勝率は半減する。さらに外枠に入った馬の父か母父がサンデーサイレンス(SS)系だった場合は【0-1-0-24】で、複勝率は4.0%という結果になった。

4つの消去データを経て残っていた6頭のうち、父か母父がSS系という馬は5頭に上る。菊花賞2着のアリストテレス、同3着のサトノフラッグなど、以下の5頭が11番より外に収まれば、消去対象としたい。

【今年の該当候補】
・アリストテレス
・サトノフラッグ
・ステイフーリッシュ
・モズベッロ
・ラストドラフト 枠順にかかわらずジェネラーレウーノだけが消去を免れた。長期休養から復帰した近2走は溜め逃げの形を取っており、持ち味を生かせていない。鞍上に若手の武藤雅騎手を据え、思い切ったロングスパートでスタミナ勝負に持ち込めば復活の金星も夢ではないだろう。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2021年から、恥を覚悟でTwitter(@Yuuu_Yagi11)にて全重賞の予想、買い目、年間収支を掲載中。東西金杯から現在7連敗中!

《関連記事》
・【AJCC】「菊花賞組は未勝利」でアリストテレスは危険?超難解な一戦で覚えておきたいデータ
・【東海S】「4枠が断トツの勝率30.8%」も意外な事実とは?インティ信頼で大丈夫?当日まで覚えておきたいデータ
・昨年はキャリアハイ 福永祐一騎手の「買える条件・買えない条件」

おすすめ記事