【凱旋門賞予想】「牝馬有利」でエネイブル以外にも注意 日本馬ディアドラに立ちはだかるのは?

SPAIA編集部 鈴木佑也

2020凱旋門賞インフォグラフィックⒸSPAIA

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ディアドラ参戦、ジャパンは無念の取消

10月4日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われるのは凱旋門賞(GⅠ・芝2400m)。日本のホースマンにとって「宿願」になっている欧州最高クラスのGⅠ競走だ。これまで数多くの日本馬が出走してエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル(2回)の2着が最高。

今年は日本馬ではディアドラが出走。武豊騎手がジャパンに騎乗して参戦する…はずだったのだが、所属するオブライエン厩舎で使用されている飼料から禁止薬物が検出された影響で、オブライエン勢は4頭全て無念の出走取消となった。極めて残念でならない。

さて、今年もJRAによる馬券発売が実施されるこの一戦。果たして日本勢の悲願は成るのか、それとも欧州の強豪が再度壁の高さを見せつけるのか、データを見ながら検討していく。

3歳有利はウソ、牝馬有利はホント

凱旋門賞年齢別

凱旋門賞は斤量の軽い3歳馬が有利とよく言われるが、数字を見てみると実はそうでもない。勝率6.8%は4歳馬の6.7%とほぼ同じ。連対率は4・5歳馬の方が高い。しかも、2017年に斤量が見直されて、それまでより古馬との差が0.5キロ小さくなった。

誤解を招く原因として、確かに斤量見直し前の20年(1997~2016年)で3歳馬が14勝と勝ちまくっていたことが挙げられる。ただこれは、欧州では一流馬を早期に引退・種牡馬させる傾向があるため、そもそも3歳馬の出走数が割合的に多いからだ。

凱旋門賞性別



一方、3歳有利とならんでよく言われる牝馬有利の傾向はデータでもその通り。勝率16.7%、連対率23.8%は牡馬の同2.3%、7.7%を圧倒しており、迷ったら牝馬狙いが鉄則。少々強引かもしれないが、ディアドラにとっては追い風となるデータだ。

ディアドラに立ちはだかる強敵

パリロンシャン競馬場では週中から雨が続いているらしく、週末も雨予報。かなりタフな馬場コンディションが予想される。こうなると日本馬には苦しい気もするが、意外にも日本馬が過去2着に入った4回はいずれも(日本的に表現すると)重・不良にあたる馬場状態の年だったので、チャンスが潰えたわけではない。

ラブを始めとするオブライエン勢の不在で断然の1番人気になりそうなのがエネイブル。17,18年にこのレースを連覇しており、昨年も2着。通算でGⅠ・11勝を誇る歴史的名牝だ。

ただ、今年は初戦のエクリプスSでガイヤースに敗れ、キングジョージは完勝とはいえ3頭立て。前走はAWのGⅢ競走というように、文句なしの一線級相手に能力健在を示したレースがまだない。さすがにもう6歳馬なので、多少の衰えはありそうだ。

ブックメーカーのオッズだと2番人気グループにいるのがストラディバリウス。エネイブルと同じ、ゴスデン厩舎の所属馬。GⅠ・7勝馬とはいえ、主戦場は手薄な超長距離戦。中距離では前走のフォワ賞2着など、あくまで挑戦者の立場。スタミナに不安がないためタフな馬場状態は歓迎のクチだろうが、データ上いまいちな牡馬であり、人気しすぎると魅力がない。

ソットサスは昨年も雨で荒れた馬場で行われたこのレース3着。重馬場適性、コース適性があるのは確認済み。前走の愛チャンピオンSは敗れたが、初の海外遠征だったので仕方ない。地元に戻る今回は巻き返しが期待できる。

マイル戦線からここに矛先を向けてきたのがペルシアンキング。GⅠ・3勝の実績は伊達ではないが、今回は未知の2400mで重い馬場。同馬の父キングマンも現役時代にマイルGⅠを4勝した馬で、日本にいるキングマン産駒は好走実績が1500mまでという短距離血統。今回の条件が合うとは思えない。

個人的に注目しているのが牝馬のラービアー。前走のヴェルメイユ賞は1400m通過1分29秒という非常に遅い流れの中、最後方から鋭い脚で伸びるも届かずの2着。シーザスターズ産駒はクロスオブスターズやシーオブクラスなどがおり、このレースとの相性も悪くない。馬場悪化にも対応できるだろう。

ディアドラは昨年勝ったナッソーSを今年は全く伸びずに最下位の7着。この馬も6歳で、本来2000mくらいが得意な馬だけに厳しい戦いになりそうだ。心情的には応援したいところだが、馬券の上では牝馬有利のデータを加味しても少々押さえる程度にとどめておく。

▽凱旋門賞予想▽
◎ラービアー
〇エネイブル
▲ソットサス
△ストラディバリウス
×ディアドラ

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