【キーンランドC】PP指数の能力値・最高値1位はダイアトニックも不安要素が 本当に函館スプリントSの再現となるのか?

山崎エリカ

2020年キーンランドC PP指数

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函館スプリントSよりもハイペースの可能性大

8月30日に札幌競馬場で行われるキーンランドC(GⅢ・芝1200m)。出走馬の中でPP指数の能力値・最高値とも1位だったのはダイアトニック。同馬の最高値は前走の函館スプリントS・1着時にマークしたものであり、ライトオンキューが優勝した京阪杯と並ぶ数値となっている。つまり、前走と同等のパフォーマンスで走れれば、ここでも勝ち負けできることになる。

2020年キーンランドC出走馬のPP指数インフォグラフィック


しかし、キーンランドCが行われる札幌芝1200mは、ほぼ平坦コース。前半で坂を上る函館芝1200mの函館スプリントSと比べると、ハイペースが発生しやすい。そのうえ開催終盤で時計の掛かる洋芝で行われることもあり、1分9秒台の決着タイムも視野に入るほどだ。開幕したばかりの超高速馬場で行われた函館スプリントSよりも、顕著にハイペースになる条件が揃っているうえ、今週末は雨模様。函館スプリントSよりも逃げ、先行馬にとっては厳しい流れになる可能性がかなり高い。

ダイアトニックは時計を要した昨秋のスワンS・1着時をはじめ、後半型の競馬で何度も好走歴がある馬。前走の函館スプリントS時のように勝ちに行かずに、スワンSの時と同様に末脚を生かせば、再度の好走があっても不思議ない(スワンSでは、函館スプリントSと同等の指数を記録)。しかし、今回は最内枠。人気を背負う立場だけに、包まれないようにある程度は出して行く必要がある。また今回はスタミナが不足する休養明けだけに、勝ちに行って最後まで粘り切れるかがやや疑問である。

能力値2位のフィアーノロマーノは条件が好転

一方、能力値2位のフィアーノロマーノは、条件が恵まれたと考える。同馬は前走の函館スプリントSが初めての芝1200m戦となったが、前と内が有利の馬場&展開の中、中団の外から伸びて4着。五分のスタートを決めたものの、超高速馬場だったこともあり、その後の加速がひと息。中団からの競馬になった。一転して今回は差し馬向きの流れとなれば、展開に恵まれる可能性が高い。馬場が悪化するほど、本命も視野に入ってくる。

また同じく能力値2位のライトオンキューは、冒頭でもお伝えしたとおり、昨秋の京阪杯・1着時の指数が高かった。京阪杯はモズスーパーフレアが逃げてはいるものの、例年の同時期の京都開催と比べると時計を要していたこともあってか、珍しく控え気味の逃げ。平均ペースとなった中、4コーナーの中目から直線で外に持ち出し、一気に抜け出しての完勝だった。

しかし、長期休養明けから復帰してからの近2走がひと息。前走のUHB賞は勝利しているものの、前が競り合ってペースが上がって行く中、五分のスタートから控えて位置を下げたことで展開が恵まれたもの。騎手の判断が功を奏した面が大きく、完全復活を窺わせるほどのものではなかった。ただし、今回は休養明け3戦目。ここで変わっても不思議ではなく、末脚を生かす馬だけに外目の枠も悪くない。

その他、能力値上位馬の評価は?

能力値4位のビリーバーは、なかなか準オープンを卒業できずにいたが、前々走のTVh杯を勝利すると、前走のアイビスサマーダッシュで3着。この馬が準オープンをなかなか卒業できなかったのは末脚特化型で、前が崩れないとチャンスが生まれなかったため。前走も前々走もハイペースの展開に恵まれた面が大きく、ここでは厳しいだろう。

能力値5位のカッパツハッチは、昨夏の韋駄天Sとアイビスサマーダッシュで強敵ライオンボスの2着と好走した馬。昨秋以降は不振だが、前走のUHB杯では最内枠のショウナンアンセムと競り合ってオーバーペースを演出。そのうえで2着に粘った。ショウナンアンセムが最下位に敗れたことからも、前走は強い内容だったと言える。ただ消耗度の高い一戦だっただけに、疲れが心配。また今回はさらなる相手強化で逃げ、先行馬にとって厳しい流れが予想されるとなると軽視したい。

今回の穴馬候補は?

今回の穴馬候補として、前走のUHB杯では先行してバテて敗れたが、これまでに好指数がある馬に注目したい。しかし、カッパツハッチのように今回も逃げ、先行する馬ではなく、後半型の競馬もできる馬が好ましい。その点を考慮するとイベリス、メイショウショウブ、エイティーンガールの3頭が候補となる。

その中で一番を挙げるとすれば、昨秋のセントウルSで3着と好走したイベリスだろう。セントウルSでは、五分のスタートから行きっぷり良く飛び出し、ハナを窺える手応えだったが、内からマテラスカイ、外からラブカンプーがハナを主張したため、控えて好位の中目でレースを進めた。セントウルSがレコード決着だったことから、高速馬場でこそのイメージがあるが、時計を要した昨春のアーリントンCを逃げ切り勝ちした実績を考えると、極端に馬場が悪化しなければ、通用する可能性がある。

他に枠の並びを見て、ここで最高値を記録することになると感じたのはアスタールビーだ。前々走のTVh杯は、最内枠から出遅れ、押してハナを主張した形。前走のしらかばSも札幌の開幕日の超高速馬場を意識して外枠ながら強引に逃げた。今回も外枠となったが、内枠にテンの速い馬が入ったことで、逃げられないと見ている。人気の呪縛から開放された今回は思い切って控えることで、展開が嵌るパターンも考えられる。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ダイアトニックの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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