【中京記念】人気の3歳馬ギルデッドミラーの過信禁物?今年は古馬が優勢の力関係

山崎エリカ

2020年中京記念PP指数ⒸSPAIA

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今年も3歳馬でいいのか?

昨年の中京記念で、3歳馬のグルーヴィット(3番人気)とクリノガウディー(6番人気)がワン・ツーを決めた影響もあるのか、ギルデッドミラーが人気を集めている。

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昨年のグルーヴィットはデビュー3戦目の初芝のファルコンSで2着、クリノガウディーはデビュー3戦目の朝日杯フーチュリティSで3着と、キャリアの浅い時点で3歳馬としては十分な指数があった。一方、ギルデッドミラーはデビューから7戦してNHKマイルC・3着。やっと、グルーヴィットのファルコンS2着時や、クリノガウディーの朝日杯フーチュリティS・3着時に準ずる指数を記録した。

同等指数の競走馬は、キャリアが浅い時期に記録を残している方が「伸びしろがある」と考えられ、価値がある。しかし、今回のギルデッドミラーは前走・GⅠで好走。これがいただけない。実際にGⅠで好走した後の休養明けの馬は、よく人気を裏切る。昨年このレースで2番人気だったカテドラルは、NHKマイルC・3着後のこのレースでは8着。2016年に2番人気だったトウショウドラフタも、NHKマイルC・5着後のこのレースで12着と敗れている。

これはGⅠを目標に仕上げて好走すると、その後の休養で楽をさせることが多いからだ。NHKマイルC好走後のギルデッドミラーやプリンスリターンはハンデ52kg以下だが、それでも狙いづらいというのが正直なところ。

ベステンダンク、ソーグリッタリングが能力値上位

能力値1位のベステンダンクは、超高速馬場のマイラーズC・2着、重馬場の都大路Sで勝利しているように馬場不問。2018年の米子Sでは、逃げ馬不在だったので、同馬が逃げて5馬身差の圧勝を飾った実績もあり、それが最高値。しかし、今回はコース&馬場がタフな阪神。行き切ってこその逃げ馬トロワゼトワルや、テンのスピードがあるディメンシオンが出走しているとなると、先行馬に厳しい流れになる可能性がある。それでも、人気に反して実力ある馬なので侮ってはいけない。

能力値2位のソーグリッタリングは、抜群の安定感でここまで10戦連続で掲示板入り。前走のメイSでは、先行策からしぶとく粘って2着を確保。昨年の都大路S勝利時と並ぶ、最高値をマークした。また、不良馬場でトーラスジェミニがハイペースで逃げた前走のエプソムCでは、最内枠を利して3~4コーナーの内々を通ったにせよ、2着と善戦。昨年の関屋記念で3着の実績もあり、芝1600mも問題ない。

ソーグリッタリングは、勝ち切れないが幅広い距離や馬場に対応できているのが魅力。芝1600mでは差す競馬をする馬だけに、ハイペースが濃厚のメンバー構成も好ましい。ここでは中心視したい馬だ。

能力値上位も危険度の高い3頭

能力値3位はケイアイノーティック、トロワゼトワルの2頭。

ケイアイノーティックは、メンバー中唯一のGⅠウイナーで、NHKマイルC優勝の実績がある。昨年の安田記念で7着、今年の安田記念で5着の実績があるが、これまでGⅠ好走後はことごとく凡走しているので狙いづらい。

また、トロワゼトワルも昨秋の京成杯オータムHで超絶高速馬場を利して、レコードタイムでベステンダンクの米子Sと並ぶ最高値1位で勝利している。いかにも逃げ馬らしい破壊力と、それを見せつけた後に凡走してしまう脆さがある。前走のヴィクトリアマイルで4着と、ある程度好走している以上狙いづらいだろう。

能力値5位は近走充実のエントシャイデン。前走の安土城Sで自身の最高値タイを記録しているように、勢いはメンバー中でNO.1。だが、瞬発力型でスタミナがあるタイプではない。実際にスローペースの上がり勝負だった3走前の谷川岳特別では、メンバー最速の上がりを駆使して大接戦の2着と好走している。一方、平均ペースだった六甲Sでは終い伸びあぐねて、上位2頭に離された3着に敗れている。

前記2レースは標準馬場だったが今回はさらに馬場がタフ。ペースも速くなるとなれば、末脚不発の危険性が大いにある。

危うい能力値3~5位馬に付け入る隙のある穴馬

3歳春以来の芝のレースとなった3走前から芝のレースを使われるようになり、不良馬場の前々走・トリトンSでは、大外一気に追い込んで1着だったペプチドバンブーが面白い。スピード不足の馬だけに今回も後方からの競馬になるだろうが、前々走以上に展開に恵まれる可能性がある。前走の大敗と休養明けにより超絶人気薄だが、もとはタフな馬場で指数を上げた馬。ここは一発狙いたいところ。

また、ペプチドバンブー同様に、後半型のロードクエストも面白い。2016年の京成杯オータムHで、速い流れの中、優勝しているが、その年は超のつく高速馬場ではなかった。2018年にもスワンSを制した実績があるが、そのレースも標準馬場のハイペースを差し切ったもの。

つまり、時計の掛かる馬場のハイペースでこその馬。これまで関東馬で阪神芝1600mを使われる機会がなかっただけで、実はベストに近い条件だったとも考えられる。全盛期ほどの勢いはないにせよ、近走で善戦している以上狙う価値はある。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)のベステンダンクの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

<ライタープロフィール>
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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