【CBC賞】秋のセントウルSとの違いは?クリノガウディー・タイセイアベニールの評価は?

山崎エリカ

イメージ画像

ⒸSPAIA

阪神開催で予想されるのは?

今年のCBC賞は、開催日程の変更に伴って阪神芝1200mで行われる。同条件で行われる重賞に秋のセントウルS(今年は中京開催)があるが、これは例年野芝100%の軽い馬場の開幕週に行われるため、前と内が有利のスピード重視の馬場で行われることが多い。

一方、この時期の阪神開催は梅雨のため、路盤が緩く、重めの馬場状態になることがほとんど。阪神競馬場はラスト1Fに急坂があるなど、もともと上がりのかかるコースのうえに、阪神の連続開催、さらに今週末も雨模様。前に行く馬にはより粘り強さが求められ、差し、追い込み馬が有利となるだろう。

クリノガウディー、タイセイアベニールの評価は?

今回の主役は高松宮記念で1着降着となったクリノガウディー。高松宮記念で繰り上がり2着のグランアレグリアが次走の安田記念を完勝したことなどからも、1番人気が予想される。

しかし、高松宮記念のグランアレグリアは休養明けで距離も短く、本来の能力を出し切れていない。つまり、今年の高松宮記念は凡戦。このためタイセイアベニールと横並びの※PP指数の能力値1位となった。

2020年CBC賞PP指数



ただ、クリノガウディーは、自在脚質で安定感のある馬。今回も芝1200mで高松宮記念同様に、重めの馬場状態となれば、条件は向くだろう。トップハンデ58kgは疑問だが、芝1200m戦ならば休養明けでも息も持つ可能性が高い。

一方、タイセイアベニールは、高速馬場で前半3F35秒1-後半3F32秒6(前走・鞍馬S時)など、極端な後半型の競馬で指数を上昇させてきた。前走は逃げたグランドロアが12着大敗を喫したように、2F目からのペースが速くて先行馬には厳しい流れ。展開に恵まれた面がある。標準馬場の前々走・春雷Sでも3着と善戦しており、近走の充実度もあるが、展開に注文のつくタイプだけに本命にするには危うい。

クリノガウディーの逆転候補は?

能力値上位なのは、前記2頭の他、ディメンシオン、グランドロワ、ロケットなど。その中で安定感あるクリノガウディーの逆転候補としてあげるなら、不良の2勝クラスを制し、稍重の3勝クラス・心斎橋Sを制したロケットだろう。同馬は心斎橋Sで緩みないペースで逃げたゼセルの2番手から、押し切って勝利しているように粘り強い。

ロケットは芝1200mが初めてになるが、阪神芝1600mのうずしおSで8着に敗れているように、マイルでは明確に距離が長い。また、先行しているが、芝1400mではしまいが甘くなっていることから、タフな馬場の芝1200mはフィットするとみている。

その他の能力値上位馬

ディメンシオン、グランドロワは能力値上位だがどうか?

ディメンシオンは前走・ヴィクトリアマイルを跛行で取消となり、ここへ出走。一気の距離短縮となる。昨秋の京成杯オータムHで5F56秒7で通過し、1分30秒9で走破していることから、芝1200mのスピード競馬にも対応できるはずだ。しかし、一気の距離短縮は騎手にとってペース配分が難しいので、前走(阪神牝馬S・3着)以上の走りは難しいだろう。あくまでもヒモ穴候補まで。

また、グランドロワは道悪の3勝クラス・大阪ーハンブルクCをハイペースで逃げ切り勝ちした馬。高速馬場でマイペースで逃げられたことが大きいにせよ、前々走のリステッド競走・安土城Sでも、大接戦の2着と好走している。逃げ馬は好走と凡走を繰り返すものだけに、前走のパタダイスSで凡走した後のここは面白いだろう。ただ、道悪の前走同様に今回も展開に恵まれない可能性が高い。この馬もヒモ穴候補までか。

最高値上位のショウナンアンセムとレッドアンシェル

一方、近走のPP指数の最高値が高いのがショウナンアンセムとレッドアンシェル。

ショウナンアンセムは昨年の高松宮記念、レッドアンシェルは昨年の1600万下・彦根SとCBC賞で、クリノガウディーの高松宮記念と同じPP指数の最高値がある。

ショウナンアンセムは昨年の高松宮記念で17番人気で3着と好走。3連単400万馬券の大波乱の主役となった。好走の理由は、逃げて芝1400m~芝1600mの1600万下、オープンを連勝したが、芝1200m戦に矛先を向けてからは脚質転換をし、見事に成功したからである。決してフロックではない。再び立て直されての今回は、変わり身があっても不思議ではないだろう。

むしろ、危ういのはレッドアンシェルの方。この馬は昨年の不良馬場のCBC賞では、アウィルアウェイやショウナンアンセムを撃破しているものの、近2走が不振。前走の京王杯スプリングCは致命的な差の負けではないが、昨年のCBC賞1着が支持されて人気になるなら危険な人気馬だろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)クリノガウディーの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

<ライタープロフィール>
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

おすすめ記事